1.6 一番面白かった部分を抜き出し、専用の手帳またはノートに書く。
この面白かった部分を抜き出すには、いくつかの基準がある。
1) 十年単位で、十冊以上に渡って、数百冊単位の読書記録の専用ノート(手帳)を作る。ここに、題名、著者、原題(翻訳のとき)、面白かった部分を書く。(後から再度、図書館から、本を検索出来るように)
2) 面白さの基準とは、思わず笑った、今後に役立つと感じた、流石この道のプロと感じた、文体が流れるように美しい、図が本質を言い当てている、二人の会話が胸を打った。1行でも自分の波長に共鳴したものである。
3) 一番面白かった部分を探す。これは、1冊の本を読み終わった後であるが、この一番おもしろかった所を示せと言われても、かなり難しい。もし、それを百字くらいで書けたら、かなりの読解力と記憶力と文才の持ち主であり、2,3百人に一人の確率でしょう。この一番面白かった所を書く、このためにかなりの時間が必要になる。
大きい本だと、どこに書いてあるか解らなくなる。そのためには、時には、別の作業用のノート、またはコピー用紙に、メモを取りながら、読むことも必要である。更には、目次をコピーして、横に並べながら、読むことも必要である。
この本の面白さが、どこを抜粋すれば、どのように要約すれば、伝えることが出来るのか。そのためには、もう一度、目次からそれらしい頁をめくって、候補となる箇所を選択する。意外と迷うが、ある程度妥協し、手帳の1頁程度で選択する。
4) 一番面白かった部分を抜き出し、又はそのおもしろさを要約し書き出す。その手帳の1から3ページ以内を基本に、抜き出す、又は要約する。ほんの1部分でも、書いてみると意外と書き手は丁寧に書き、作者独自の文体を感じることが出来る。
1.7 如何に名著、おもしろい本に出会い自分の人生を豊かなものにするか。
その人がどんな人間かは、その人の友人を見れば分かり、その人の読んで感銘した本の履歴を見れば分かる。面白い本に数多く出会い、好奇心の触手のネットワークを構築し、背表紙でハナを利かせて、面白い本の著者の他の著書を探索し、感銘した本の中に書名があるときその書物を当たる、参考資料の中にある書籍をあたる。自分のテーマを視点にして、あらゆる分野を横断的に、あるテーマを追求し、自分のあるテーマの世界を構築する。(第2回)
1. ブックハンターについて
1.1 ブックハンターの目的
おもしろい本をどのように、見つけるか。私は、道立図書館で、ブックハンターをしています。読書は、優れた人に、時間と空間を超越して、会話することが可能である。会話など出来る分けないと考える人は、本をあまり読まない人である。例えば、感銘した名著の最もおもしろい部分を抜き出し、それを読書手帳に書き出した時、その著者は、「そうだ私もそこが気に入ってるんだ」と答えてくれます。
1.2 ブックハンターの定義
おもしろい本を何とか自分なりに読み切り、どの部分が一番おもしろかったかを専用の手帳に記録する。ここで言う面白い本とは、自分にとって、役に立つ、知恵となって集積する、自分の生きる活力になる、ことでもある。従って、面白い本とは、小説だけではなく、分子生物学、言語学、宇宙物理学、音楽、古美術、株式投資、人類学から、マンガ(ナルトは世界中で読まれている)、日本語以外の本も含む(ただし自分で読み切ること、自分の能力の及ぶ限りの本の範囲とする)。
1.3 ブックハンターの工程
ブックハンターは、大きく3つの工程となる。
(1) おもしろい本を探す。
(2) 面白い本を、様々な工夫をして、読み切る。
(3) 一番面白かった部分の抜き出し、自分なりの要約、意見を、専用の手帳またはノートに記述する。
この3つのステップで構成される。現在の学校教育では、本を読むこと、漢字の引き方すら、怪しく、さらには、自分のなりの要約を文章にすることを多くの人たちが訓練されてはいない、私もその例外ではない。
1.4 面白い本を見つける
1) このためには、先ず自分が、いくつかのテーマを持つことである。私の父は、作物の種子を物心ついてから、死ぬまで持っていて、園芸作物と育種を自分なりに、工夫して追い続けた。このようなにテーマ、自分の興味、好奇心が、どんなものかを知ること。このようなテーマは、3つ以上持つと1つのテーマで壁に突きあっても乗り移れるので多く持つこと。
2) 自分の好奇心のおもむくままに、本棚と対峙する。当然ながら、本の背表紙の題名を読んでいく。この題名と本の持っている雰囲気で、当たりを付ける。次に、このような本を数冊、図書館の自分の席に積む。ここまでは、砂金取りに例えると、砂金板に川底の砂を入れた状態であり、この数冊の中に砂金があるかどうか次により分ける。
3) この数冊の本を面白いかどうか判定する。表紙で、題名と著者をみる。次に、目次を見てどのような視点で何について書いてあるかを推測する。本の書かれた年代、著者の経歴から、推測する。 ここで、パスして、次に行っても良い。名著は、本の表紙、装丁、題名は、著者、編集者、装丁者、翻訳者が、良く考えて作られているので、その雰囲気を感じ取る。
4) 1頁目を読む。私が、現在までの経験で、最初の1ページが、面白くなくて、おもしろい本に出会ったことはなかった。名著は、必ず1ページ目からおもしろい。それだけ著者は、1ページ目に力を注いでいるものである。ただし、内容が難しく、よく理解できない時は、その前に読むべき本を、2,3冊読んで、出直す場合はある。
しかし、名著は、レベルの低いものにとっても、それなりにおもしろいように作られている(数式や、英語力により困難なときは、除く)。この中で、何となく面白そうと、判定したものを借りる。数冊でその中に面白そうな本が1冊あれば、上出来である。図書館には百万冊もの本があるから、この作業を繰り返す。
1.5 面白い本を、様々な工夫をして、読み切る。
面白く難なくよみきれれば、ハッピーであるが、そうは問屋が卸さない。5頁目まで読んで、どうも価値が無いと考えれば、ここで終了する。価値がありそうだと考えれば、以下の方法で読み切る。
1) 漢字、言葉の意味が、解らない。私も漢字が読めない、カタカナ英語が解らない、言葉の意味が分からない、世界の地図の位置関係名称が解らない、生命が誕生してから、現在までの年表が解らない、人間の脳の各名称と機能が解らない等々のトラブルが発生する。
このような場合、完全に調べると先に進まない、キーとなる言葉と枝葉なものをより分け、キーとなる言葉は、調べる。次々に調べなければならない、言葉に出会う。しかし、一番言葉を知っている人が、一番沢山辞典を引いていると言うことを知る事で、自分ごときが、引かないでどうするんだと考えて調べる。
2) 途中まで、読んで止まる。価値ある内容と思われたら、後ろの章から、前の章読み進む。これをスイッチバック方式と呼ぶ。さらには、目次から、興味ありそうな章から、読み進む。これを摘み食い方式と呼ぶ。更には、見出し、写真、図に目を通し、ページを1枚づつめくる。とにかく、内容に価値があるが、自分の力不足のせいで、読みきれない時は、なりふり構わず読書を完了する。これを仮完了方式と呼ぶ。(途中半端に、簡単に諦める癖をつけてはいけないが、読む価値がないと思ったら、なるべく早く読むのを放棄する。このとき自分の選球眼のなさを反省する)(第1回)