多元的全体食のすすめ(七) 食べ物研究家 五十嵐玲二談
7. 日本人としての食事の基本形とは
ごはん、味噌汁、漬物という基本三品の組み合わせは、鎌倉時代から八〇〇年以上も続いています。ごはんは、五分搗き米(又は胚芽精米)で、麦やヒエやアワを混ぜて主食としてきました。
それを引き立てる発酵食品である味噌汁、漬物という名脇役、これに野菜、種実、海藻、魚介類を副食とすれば、ごはん食の基本形の完成です。(ごはん食の基本レシピ 幕内秀夫著 2002年)より
それでは、私たちは多くの選択肢の中から、どのようなバランスで食事をすべきなのでしょうか。一つの例として、私も日本人の食事の歴史から考えて、ほぼ妥当と思われる幕内秀夫氏の提案を見てみます。
穀物 (50%) (米、麦、ヒエ、黍,アワ)
野菜、芋類、海藻、きのこ (30%)
豆、種実 (10%)
魚介類・卵・肉類・乳製品 (10%)
まずは、主食のごはんをしっかり食べます。このためには、ごはん、漬物、味噌汁で栄養的に完成されていなくてはなりますん。そのためには、米は芽を出せるに必要な栄養分を持っていなくては、なりません。
そのためには、五分づき米、または胚芽米である必要があります。白米は確かに美味しいですが、陸軍の軍医総監であった森鴎外の誤った判断によって、日本陸軍の多くの若者の命が失われたことを忘れてはなりません。
さらに多くの医者が実効性に乏しい極端な意見である玄米を持ち出して、やっぱり食べずらいからといって、白米を食べて江戸時代の富裕層の病である、糖尿病患者の増大を招いています。(これは私の個人的見解ですが、私の60年の近い経験と観察の結果です)
美味しさを損ねてはいけない、お寿司のお店や、ハレの日の特別な場合、以外はこの原則は守るべきではないでしょうか。(これは私の意見ですが)
日本人の食卓では、歴史的に、三~五分づき米に、雑穀等の様々な食材を混ぜて、食べてきたと考えられます。なぜなら日本人にとって米は貴重だったからです。
二番目は、30%を占める、野菜や芋類、ワカメ、コンブ、ヒジキなどの海藻類は、季節を考えながら選びます。春は山菜(現在では、野菜としてほとんど栽培されてますが)、夏は、キュウリ、ナス、トマトなどの水分の多い野菜、秋はキノコや芋類、そして冬は大根やネギが旬です。
煮物、あえ物、お浸し、2種類くらいの食材を組み合わせ、味噌汁の具にするのもお勧めです。さらに糠漬けにすると、栄養やうま味が加わり、いうことありません。
現在は、野菜の種類が多くなり、それらを美味しく食べるための料理を工夫して、それらを、家庭で伝えていくことも、大切です。
三番目は、10%の豆・種実です。豆類には、大豆、小豆、インゲン、エンドウなどの種類があり、また、大豆を加工した大豆製品として、豆腐・納豆・油揚げなどがあります。
種実の代表は、ゴマやクルミ、ピーナツなどで、あえ物として使います。大豆は味噌、醤油の原料でもあり、タンパク質が豊富で、米との相性と栄養バランスに優れています。
種実類とは、クリ、クルミ、ゴマ、銀杏、松の実、ひまわりの種、カボチャの種、アーモンド、ピーナツ、トチの実などを指します。これらは硬い殻の中の実で、芽を出して成木になるための栄養分をもったほぼ完全栄養食品です。
四番目は、10%の魚介類、たまご、肉類、乳製品です。動物性食品は、魚介類、卵でとります。現代では、肉類、乳製品の比率が高まており、動物性食品の比率は、もう少し高くても良い気がしますが。(第7回)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます