「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~名器「アキシオム80」のスペアをついに獲得!

2009年07月11日 | オーディオ談義

いつぞやのブログ「オーディオの衰退とその行く末」では、自らの非を半分タナに上げて一方的にオーディオ評論家と専門誌の頼りなさをつい無差別攻撃してしまったが、そのうち1冊だけは今でも少なからず恩義を感じている月刊誌がある。

それは
「MJ」誌、「オーディオ総合月刊誌~無線と実験~」

どちらかといえばメカニックに偏った編集でアンプ製作にかかわる記事が多く、残念なことにハードのことはあまりよく分からないので記事の内容についてはそれほど親しみを持っていないのだが、重宝しているのが巻末の「部品交換」という読者用の頁。

全国に散らばっているオーディオ愛好家の不要になったり、あるいは欲しいスピーカー、アンプなどの機器について「交換」「求む」「売りたし」の区分で掲載されているもので歴史は相当古い。.

もちろん売買に関してはご存知のとおり現在では充実したネット・オークションがあることはあるのだが「正体不明の出品者」にやや不安を覚えるところで、このMJ誌ではその点何よりも住所氏名が始めからきちんと明らかにされており、ある程度安心して取引できるところがいい。

13年ほど前にこの欄に不要になった真空管アンプを売りに出したところ、早速我が家に試聴にお見えになったのが湯布院のA永さんでそれを機縁に今でも親しくお付き合いをしてもらっている。というわけで
MJ誌サマサマなのである。

そして、そのMJ誌に今回またまた
「お世話」になってしまった。「売りたし」の欄を通じてあの待望の「アキシオム80」のスペアが遂に1セット手に入ったのである。

その経緯を記してみよう。

湿度が高い梅雨の時期になるとスピーカー(SP)のコーン紙が湿気を吸収して重たくなるとみえ、極めてデリケートなつくりの「アキシオム80」のご機嫌が悪くなる。それもいつものように右チャンネルだけがやや歪っぽい音を出してくる。

修理に出そうか出すまいか、ギリギリの状況で非常にデリケートな段階だがこういう音が気になりだすとことさら神経質になるのがオーディオ愛好家の悲しい習癖。

思案の挙句、SP修理の達人がいるという東北の有名な「オーディオ店」に修理打診のメールを入れたところ「修理品が殺到していて順番待ちの状態なので予約受付しかできない、それも時期が来年2月頃になる」との話。

「エッ、たかがSPの修理に来年の2月まで待てって言うの?」とビックリ。

この、額面どおりにはとても受け取れそうもない返答に対して、友人、知人に相談してみると、「アキシオムの修理がややこしい割りに儲けが少ないのでおそらく敬遠しているんだろう」「(修理に)自信がないのだろう」「人手が足りないのかも」とのいろんな憶測が飛び交う。

こうなると修理なんかアテにできず
「最後の決め手」として「何とかスペアをもう1セット持っておけば安心」と思うのが当然の成り行き。

とにかく、どんなに故障が多かろうと「アキシオム80」にしか出せない音があるので絶対に手放せないのが実状。極端に言えばこのSPが使用不能になると自分のシステムは崩壊の一途をたどってしまうほどの重要な位置づけ。

同じSPユニットでクラシックとジャズを両方満足して聴かせてくれるユニットは今でも”そうそう”はない。

                          

「本領を発揮したときの繊細でふっくらとした艶やかな響きは絶品!」

しかし、何しろ50年ほど前のSPなのでマニアが簡単に手放すはずもなくここ2~3年ほどはネットオークションで「アキシオム80」と検索しても「該当なし」と表示されるばかりで手に入れるのは夢のまた夢だった。

ところが先日、わらをもつかむ思いで図書館で「MJ」誌のバックナンバーを調べていたところ、何とこの「アキシオム80」を売りますという記事が掲載されていた。発信元は千葉県松戸市のSさん。

急いでご指定の往復はがきで問い合わせたところ、すぐに返事が来て「あいにく締め切った後で応募多数の中、抽選により別の方に譲ってしまったばかり」とのこと。やはりこのSP、マダマダ人気が衰えないものとみえる。

「ウーン、残念」とガッカリしたがその続きがあって、文面では実はもう1セット「アキシオム80」を所持しており、現在の相場は東京あたりで1セット30万円近くもするとのことで高価過ぎるという誠にまっとうなご意見


とにかく滅多に手に入らないSPだし「この方とは話せる」と思って以後メールのやりとりをしているうちに、Sさんが湯布院のまちづくりの”サクセス・ストーリー”に実に詳しい方で人脈も豊富、実際に湯布院音楽祭の創設者であるK藤氏の知人であることも判明。

松戸市と湯布院の距離の遠さを思えばまるで奇跡みたいな話。(別府在住の)自分もK藤氏とはA永さんを通じての知人であり、先日もA永さんと連れ立ってK藤氏宅に試聴に行ったばかり。

それやこれやで、いつの間にか「アキシオム80」を譲ってもいいという話になったが、肝心の価格の方も「ホントにこの値段でいいんですか」というほどの破格の金額で落着。小躍りせんばかりに喜んだのは言うまでもない。これで我がオーディオシステムも死ぬまで安泰となる、実にありがたいことである。Sさんには本当に感謝あるのみ。


現物が届いたのが6日の月曜日。早速アンプに応急的に結線して試聴したところ1台は完璧だったが、もう1台はジャリジャリといった雑音がする。もちろんこれは想定の範囲内で何しろ古いSPなので確率1/2であれば上の出来。値段のことを考えればなおさらである。

しかし、このままにしておくのも勿体ないので修理先を探して今度は岡山県の「リティル・マネジメント」に相談したところすぐに送ってくださいとのこと。修理期間は1週間程度、これまで「アキシオム80」の修繕を300台近くやってきたそうで、それなら経験豊富でひと安心。

お医者さんと同じで手術数が多ければ多いほど腕が上がってくるのと同じようなもんだろう。なにぶんスペアの修理ということなので失敗しても”もともと”と随分気が楽である。修理代の方も一律価格で想像以上に安かった。

因みに、「リティル・・」さんの話によるとアキシオムは、最初のツクリそのものから当たり外れがある微妙なユニットで”いい”のに当たるとずっと修繕が不要、その代わり悪いのに当たると悲劇の始まりだし、ユニットのネジ1本でも不用意に触るとガラリと機嫌が悪くなって素人では修復不可能になるとのこと。

たしかにこれまでの経験でもアタリ・ハズレの確率は前述したように1/2といえるが、
「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」まるで”剣の刃渡り”をするようなギリギリのツクリでなければいい音が出ないのも真理である。「工業製品」との違いもそこにある。

ン、「工業製品」? 

自分の勝手な定義によれば「故障しないことを第一義」にして大量生産されている製品のこと。しかし、残念なことにオーディオ機器にもときどき見られるんですよね~、この工業製品みたいなのが・・・。

音質は二の次というか、犠牲にされてしまい何ら美学の感じられない悲しい機器たち。

結局のところ、故障は少ないかわりに”そこそこの音”で安心して聴くのがいいのか、アキシオムみたいに故障が多い代わりに魅力的な音をヒヤヒヤしながら聴くのがいいのか、良し悪しは別として、この選択もオーディオという”遊び”の「際どい楽しみ方」になるのだろう。

さて14日(火)前後には修理を終えていよいよご帰還の運びとなるアキシオムだがどういう仕上がり具合で戻ってきてくれるのか、今のところ期待と少しばかりの不安が交錯している毎日が続く。




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