「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

海外で活躍する日本人

2013年11月15日 | 読書コーナー

海外で活躍する日本人を見るのは実に楽しいし、うれしくなる。「どうだ、日本民族は優秀だろう!」という気が湧き起こる。おそらく誰にでも心の奥深く眠っている愛国心というものの成せる業だろう。

最近話題になった日本人はMLBのレッドソックス優勝に貢献した「上原浩二」投手、そして先日のNHKスペシャル「日本人船長(コマンダー)」(11月10日)で放映していたが、「国際宇宙ステーション」の日本人初の船長となった「若田光一」さんがすぐに浮かぶ。

ここでふと、以前のブログで「宇宙飛行士」の話題を取り上げたことを思い出した。調べてみると2010年9月の記事だった。もう3年以上も前のことで、多くの方々の忘却の彼方にあることは必至なので改めて「時の話題」として掲載させてもらおう。

☆「宇宙飛行士選抜試験」(2010年6月 光文社刊) 

2008年2月、10年ぶりとなる宇宙飛行士の募集が日本の宇宙研究・開発を担う「JAXA」(日本宇宙航空研究開発機構)によって発表された。

その結果、応募総数は963人に達し、その後1年間の選考を通じて一次選抜で230人、二次選抜で48人、三次選抜で10人に絞り込まれ最終的には2名が合格という”思わずため息が出る”ような厳しい選抜試験で量もさることながら受験生の「質」において際立っている。

本書はこの選抜試験の取材を初めて許され、さらに候補者10人に絞り込まれた最終試験(日本とアメリカでの面接及び実技選考)に密着取材したNHKの番組スタッフによるドキュメンタリーである。

ざっと一読のつもりが、とうとう寝不足になるほど熱中して一気に読み上げてしまった。


人生に「試験」はつきものだが「出来のいい人」は別にして実にイヤなもの。そうはいっても避けては通れないものだし、その結果ほど人生航路を大きく左右するものはない。

たとえば入学試験、就職試験さらには資格試験・・・。「お見合い」だって面接試験の一つかも。

振り返ってみて、もし、あのとき、あの試験に合格(失敗)していたら今の人生は根底から覆っているという方は実に大いのではなかろうか。

その試験にしてもいろんなレベルがあるが、まあ「宇宙飛行士」の選抜試験ほどハイレベルなものはあるまい。

さて、どういう試験が行われるのだろうか。


まず宇宙飛行士に求められる資質とは?

 「ストレスに耐える力」

 「リーダーシップとフォロワーシップ」

 「チームを盛り上げるユーモア」

 「危機を乗り越える力」

以上の4点について選び抜かれた最終選考者10名に対し、7人の「資質審査委員」たちによって徹底的な考察が展開されていく。

因みにこれら10名の職業の内訳は次のとおり。

パイロット4名、科学者3名、医師2名、管制官1名で全員が30代。因みに科学者のうちの1名はずっと以前に狙撃されて瀕死の重傷を負われた国松元警察庁長官のご子息も含まれている。

なお、これまでの日本人宇宙飛行士は8人、うち毛利さん、向井さん、土井さんの3名は50代半ばを過ぎていて事実上引退。

現在、日本のエースとして活躍しているのは「若田光一」さん(前日本航空整備士、九大航空工学科卒)で、既に3度の宇宙飛行経験を経験し、宇宙空間の長期滞在者としても世界でトップレベルの経歴を誇っている。

NASAの評価でも最高ランクとされ、すでに「国際宇宙ステーション運用部門」の重要なリーダーに就任するなど、将来の〔宇宙船の)「船長候補」として大いに期待されている。(今回のロケット打ち上げで実現!)

今回の選抜試験も、この若田さんの活躍を背景に「船長になりうる最高の人材」を選抜することに主眼が置かれた。

「どういう人材を択べば船長候補になれるのか」、JAXAには過去の若田さんの選抜試験を通して確実な手ごたえがあったという。

さて、上記の4点を把握するために実に興味深いテストが連続して実施されたがひとつ、ひとつ、ていねいに紹介したいが長くなるので残念ながら省略。

とはいえ、結論としては超人が華々しくその天才振りを発揮するイメージでも、凡人には理解できない難解な試験が繰り広げられるわけでもなかった。

要約すると、「どんなに苦しい局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、その言葉と行動で人を動かす力があるか」

つまり「人間力」を徹底的に調べ上げる試験だったのである!

つまり何も特別なものではなく「人間味に溢れ、焦らず奢らず地道に各課題をまんべんなくこなしていく」ような人材で、これは実社会でも一番求められるタイプ。

つい最近、司馬遼太郎さんの「覇王の家」「関が原」「城塞」の戦国シリーズを読んだときの感想もそうで、覇権を争った戦国武将たちの命運を左右したのも各人の「人間力」だと痛切に感じた。

いかに時代が変わっても「人間力が基本」というのを改めて思い知らされたわけだが、現代においても、どんなに学業成績が優秀で学歴が良くても「実社会」に出ると”それほどでもない”ケースが沢山見受けられるのもこれでおおかた説明がつく。

また、学校の先生をはじめ公務員や企業などでストレス耐性の弱い人物の長期休職が増加傾向にあり「大きな損失」と喧伝されているが、採用するときに「人間力」を試す試験をみっちりやっておればある程度防げる気もする。

もっとも、自分だってあまり偉そうなことは言えない。「人間力」にやや乏しいし、学業成績もあまり冴えなかったし~(笑)。

最後に、既にご承知のとおり募集から1年間の選考を経て2009年の2月に発表された合格者は2名ともパイロットだった。

一人は自衛隊のF15戦闘機の操縦士、もう一人はANAの副操縦士。結果的に即戦力として通用し、職業柄から取り返しのつかない絶体絶命の境地に対して諦めず、瞬時に対処する能力に長けた人たちだったのは興味深い。

 


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