「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

かけがえのない「音の記憶遺産」

2016年07月09日 | 音楽談義

毎週、日曜日の夜9時から放映されている「クラシック音楽館」~N響コンサート~(NHK・Eテレ)。

これまであまり興味のない番組だったが、東海地方にお住いのメル友「I」さんから教えていただいた「ピアニストのカティア嬢のナイスバディ」の放映を見逃してしまったことから、後悔の念ひとしおで、以来必ず録画して観るようにしている。

先週の6月3日(日)放映の番組では、武満 徹作曲「波の盆」、モーツァルトの「2台のピアノのための協奏曲K・365」などだった。

このモーツァルトの演奏は二人のピアニストのうちひとりがジャズ・ピアニストのチック・コリアと聞いてがぜん興味が湧いた。

チック・コリアといえばデヴュー盤の「リターン・ツ・フォーエバー」に尽きる。いい悪いは別にしてちょっとジャズらしからぬところがあり、独特のスィング感が気に入って若い頃は結構夢中になって聴いたものだった。

          

そのチック・コリアがモーツァルトを演奏するというからたまらない!久しぶりに胸をワクワクさせながら聴き入った。

しかし、聴いているうちに段々とガッカリ。これはイケませぬ。オーケストラとの息が合っていないし、一音一音のタッチの「ぞんざいさ」がちょっと鼻(耳)につく。

しかし・・・。そんな難しいことを言わないで、結局ジャズ風のアレンジで楽しまないといけないのだろうと途中から考えを改めた。

ちなみに、後ほど参考までに同じ曲を手元のアシュケナージ盤(画像右)で聴いてみたが、いかにもモーツァルトらしい、泉から水がコンコンと湧き上がってくるような演奏にウットリと聴き惚れてしまった。じぶんにはやっぱりこっちの方が断然いい(笑)。

そもそもジャズ・ピアニストがモーツァルトの作品を演奏するなんて無理じゃないかなあ。むしろバッハの音楽の方がジャズ演奏に合ってそうな気がする。

以上、あくまでも個人的な感想なので念のため。

さて、話は変わって、前述した東海地方の「I」さんから、このほど「ペンションすももの木の音は素晴らしかった!」というメールが届いた。

拝読させていただくと、明らかにじぶんのオーディオ記事よりもずっと上質だし、システム自体の新鮮さもあるのでご同意をいただいたうえで広くオープンにさせていただくことにした。

ちなみに「ペンションすももの木」といえば山梨県の山中湖畔にあって老舗の真空管アンプ工房としてもつとに有名。

    

「ペンションすももの木」に行ってきました。お客さんの少なそうな曜日を狙って行ったため、私達の他は家族4人連れの一組だけでしたので、チェックイン後に音を聴かせていただくことができました。  

装置の写真がうまく映っていませんが、部屋は24畳のダイニングルームです。アルテックのヴォイスオブシアターより少し大きな小池さん設計のフロントロードホーンに、ドイツ製でオイロダインの元になったという励磁型の40㎝ウーファー、ドライバーはヴァイタボックスのS-3、これにヴァイタボックスのホーン(クロス450HZ)ツイーターは、なんとヤマハのJA0506・・・当方の愛好品(クロス4000HZ・・記憶が曖昧です)以上LCネットワークです。 
 
アンプは300Bの交流点火(よくわからないのですが、全国で小池さんのアンプだけだそうです)。初めにジャズで、カインド・オブ・ブルーとアートペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクションを掛けていただきました。とにかく、シームレスのスムースさです。特上の大型フルレンジを聴いているようです。 
 
Fレンジも、拙宅のを比較に持ち出すのもおこがましいのですが、当家のシステムが、低域が100HZくらいからダラ下がりの限界が60HZくらいとすると、すももの木システムは、50HZまでフラットという感じです。
 
音色ももちろん素晴らしく、キャノンボール、ペッパーのアルトがなまめかしく響きます。リズムセクションも文句なし! 
 
クラシックに移り、モーツアルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(五嶋みどり盤)、弦楽五重奏曲(スーク+スメタナ四重奏団)がほんとにいい音で再生されます。音場もナチュラルで心地いい。 
 
次の展開が驚きでした。ムターの弾くツゴイネルワイゼンの時に、小池さんが「アンプを換えますね」といった後のヴァイオリンの音が絶品でした。 
 
きめが細かく、柔らかく、澄んでいて、伸びやかで、音像の定位もきまっている!! こんなヴァイオリンは初めて聴きました。B&Wの802Dなら出るのかも・・・。
 
換えたアンプはKRのPX25、交流点火。アンプによる変化にはびっくりしました。ブログで拝見している、〇〇様が楽しんでいる中身が、少し覗けたような気がしました。300Bも素晴らしいと思って聴いていましたが、このPX25のヴァイオリンには思わず拍手でした。 
 
小池さんのお話では、LCネットワークのSPシステムを練り上げて、ジャズには300B、クラシックにはPX25、それと大編成用に大型真空管のアンプと、計三種類のアンプで音楽をカバーするのが楽しいとのことでした。 
 
夕食後、一杯やりながらオーディオの話をしましょうと誘っていただき、ゴロゴロしているドライバーやフルレンジユニットをいろいろ見せていただきました。これも楽しかったです。 
 
今回はいい音が聴けて、本当に良かったです。あの音に、ヤマハのJA0506が一枚かんでいるとは愉快でした。」

以上のとおりだが、他流試合はいわばかけがえのない「音の記憶遺産」のようなもの。

これからの「音づくり」にきっと貢献してくれると思いますよ~。


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