「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ訪問記~2016.7.7~

2016年07月12日 | オーディオ談義

先週の7月7日(木)のことだった。午前11時ごろに手元の携帯が「誰も寝てはならぬ」(プッチーニ)のメロディを奏でたので画面を見るとオーディオ仲間のKさん(福岡)からだった。

「修繕に出していた245シングルアンプが先ほど戻ってきました。今聴いているところですが、とても満足のいく仕上がりです。〇〇さんに報告しておこうと連絡しました。」

Kさんはたしか10数台の真空管アンプを持ってあるが、その中でもやはりエース級という位置づけがある。出力管ごとに挙げてみると「71A」、「
245」、「250」、「2A3」、「WE349A」といったところだが、いずれも1930年代前後の古典管シングル型式で、とりわけ「245」はかねてから注目の逸品。

スピーカー「AXIOM80」(イギリス)の開発は245アンプでテストされたという曰くつきの球である。そういえば、あの懐かしいオーディオ評論家の「瀬川冬樹」さんが245とAXIOM80のコンビで音楽を愛でてあったことを思い出した。

「あっ、それは是非聴かせてもらいましょう。明日の天気予報は雨みたいですから、突然で恐縮ですが今からお伺いしてよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ。」

普段は“ものぐさな男”として自他ともに許しているが、オーディオとなるとどうしてこうもスッと腰が軽くなるんだろう(笑)。

この思い切りが結果的にも幸いしたようで、翌8日(木)は予報どおりの大雨。しかも高速道が霧に包まれて身動きできなかったのだから、文字どおりラッキー7のダブル(7月7日)の霊験は“あらたか”だった。


急いで早めの昼食を済ませてから「がら空きの高速道」をひた走り。順調に1時間20分ほどかけてKさん宅に到着したのは丁度13時頃。前回訪問したのは1月だったからおよそ半年ぶりになる。

「やあ、やあ、お久しぶりです」と、ご挨拶もそこそこにお目当ての新装なった245シングルアンプめがけてオーディオ室に突進。

          

開口一番「いったいどこをどう修繕されたんですか?」

「作ってから10年以上経つもんですから、ソケット、コンデンサー、配線材、主要な箇所のハンダのやり直し、そして整流管を違う種類の球に差し替えてもらうように仕様を変えてもらいました。」

さっそく試聴に移った。チャイコフスキーの「悲愴」(ムラヴィンスキー指揮)、ヒラリーハーンの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」(バッハ)、そしてジャズの「サキソフォン・コロッサス」(ソニー・ロリンズ)。

「いやあ、周波数レンジが恐ろしいほど広くなりましたねえ。サキコロのシンバルがとても生々しく響いて驚きました。しかもハーンのヴァイオリンも決してウルサイ鳴り方をしてません。とても改造がうまくいったようですね。」

この目の覚めるような変わり方は小物類の交換も寄与しているんだろうが、どうも整流管にカギがありそうな気がしてきたので「いったいどこの球に代えたんですか?」

「ハイ、これまで280(ナス型)を使っていたんですが、どうも245には役不足のように思えてきましたのでドイツ製に代えてもらいました。現在挿しているのは1940年代製のメッシュプレート型です。同じ型番で1930年代製の最初期版もありますので差し換えて聴いてみましょうか?」

周知のとおり整流管はアンプの中で交流を直流に変える役割を担っているが、どちらかといえば地味な存在。野球でいえば出力管がエースあるいは4番バッターとすれば、整流管は監督といったところだろうか。

しかし、この整流管が実は真空管アンプの命運を握っていることをイヤでも思い知らされるのはこの後すぐのことだった。

「ハイ、凄く興味ありますね。是非聴かせてください。」

以下、続く。 

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