2週間ほど前の「日本経済新聞」に大きく一面を使って「日本人の夢を大調査」という記事があった。
そのうちのランキングベスト3を紹介してみよう。(調査の対象は全国47都道府県から各300人、総勢14,100人)
第1位 健康な生活を送りたい(810件 11.1%)
第2位 好きな趣味に打ち込みたい(724件 9.9%)
第3位 マイホーム(一戸建て)に住みたい(626件 8.5%)
「夢」とはいいながら誰にでもちょっと手を伸ばせば届きそうな、いかにも堅実でささやかなものばかりですねえ(笑)。
取り分け第2位の「好きな趣味・・・・」は簡単に実現できそうな気もするが、中高年の働き盛りにとっては日常の仕事に追いまくられているので趣味に割く時間がもっと欲しいという欲求の表れなのだろう。
好きな趣味に打ち込むことがいかに楽しいかということを改めて思い知らされるとともに、引退したら思う存分熱中したいという願望は自分にも切実だったのでその気持ちはよく分かる(笑)。
幸いなことに、ここ10年ほどはたっぷりある自由時間をフルに活用し、明けても暮れても「音楽&オーディオ」三昧だったのはこのブログでもご覧のとおりだが、実はこれでもう十分「夢」をかなえた気がしている。
たとえば、人間は「おぎゃあ」と生まれた時点で「100年以内にお前を死刑執行する。具体的な時期と執行方法は教えない。」と宣告される悲しい存在だが、もし「お前は明日死ぬ」と宣告されたとしても「ハイ、わかりました。もう思い残すことはありません。」と従容(しょうよう)として死を受け容れてもいいほど楽しませてもらった(笑)。
まるで達観したような物言いだが、実は先日(15日)の「2018九州ハイエンド・オーディオ・フェア」の影響もこういう気持ちの背景のどこかにある。
なぜかというと、アンプもスピーカーも数百万円もする高級機器群が期待以上の音を出してくれないことにガッカリしてしまった。お値段が高い機器はそれなりの実力を発揮してくれないと困る。もう「夢」がぶち壊し~。
つくづく「お金」だけではカタがつかないオーディオの限界を思い知らされたわけだが、「夢をもらう」積りで出かけたオーディオ・フェアが逆に「夢を断ち切る」方向に作用したのだからほんとうに困ったことです(笑)。
現実に高級機が期待できないなら自分の価値観に基づいて新たに発掘するしかないが、近年身の回りでどうしても手に入れたいという真空管やオーディオ機器がとみに少なくなってきたのも事実。
現状の音にほぼ満足しているし、いろいろやってみてもこれ以上のドラスティックな改善は望むべくもなく、所詮は五十歩百歩という気配がより一層濃厚になった気がする。
これが進歩か退歩かよく分からないが、オーディオは音に満足した時点で進歩が止まるのが通例で、その代わり音楽の方に専念できるという別の魅力的な世界が開けてくる。
「好きな音楽さえ気持ちよく鳴ってくれれば細かい音質の差なんかどうでもいい」という「オーディオ仙人の枯れた夢」に到達できればそれで良しとしたいが、はたしてこれからどうなることやら(笑)。
旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる(芭蕉)