前回からの続きです。
およそ1か月ぶりに我が家にお見えになったYさん。クルマで10分ほどの近くにお住いなのでとても声がかけやすい。
遠路からわざわざ来ていただいた挙句に「しょうもない音だ!」となると、心から申し訳なく思うのでその点は実に気楽である(笑)。
それに日頃からYさんはフルートの名手として「生の音」に接しておられるせいかその耳は実に鋭い。我が家のオーディオ機器に変更があったときは「いの一番」に来ていただいてご判断を仰ぐことにしている。
ただし、Yさん宅の豪華なシステムの音は自分の耳にはあまり馴染まないのでその辺は割り引く必要がある。こればかりは個々の感性がまちまちなので100%当てにするわけにはいかない(笑)。
まずは、テレフンケンの「RS289」プッシュプルアンプから聴いていただいた。先日のブログに搭載したように「一つのエンクロージャーで3つのSPユニットを愉しむ」シリーズに沿って、グッドマンの「AXIOM150マークⅡ+コーン型ツィーター」、「ワーフェデールの赤帯マグネット+コーン型ツィーター」、JBLの「D123+175ドライバー」を聴いていただいた。
2時間ほどかけて、ひととおり聴き終わった後でご感想を伺ってみると、
「とても駆動力のあるアンプですね。流石にプッシュプルだけあってスピーカーを完全にコントロールしている感じです。カチッと締まった質感がとてもいいし、単なる綺麗ごとの音では済まさないアンプだと思います。しかし、既存のシングルアンプの良さもありますからここは思案のしどころですね。
スピーカーとの相性ですが、クラシックを聴くのならワーフェデール、JBL、グッドマンの順番だと思います。ジャズならJBL、ワーフェデール、グッドマンというところでしょうか。」
意外にもグッドマンが不評だった。自分のようにクラシックをしんみりと聴くタイプには、たまらなくいいのだが、日頃から「生の音」を聴き慣れたYさんにはスピード感が物足りなかったのだろう。
それにしてもワーフェデールの善戦ぶりは去る11日(土)の試聴会のKさんのときと同様に際立っていた。
ワーフェデールの「淡い色彩の水彩画」を思わせるような音と、このアンプが持つ独特の「濃厚な味わい」がうまくマッチしたようだ。
また、JBLの2ウェイを「RS289」アンプで鳴らしたのはこれが初めてだったが、「ワーフェデールに比べるとちょっと乾いた音ですけどとてもシャープでジャズにはもってこいですね。感心しました。」
実はこのJBL2ウェイには不安があった。
ちょっと専門的になるがそれはインピーダンスの問題。使ったネットワーク(高音域のボリューム調整付き)のインピーダンスが8Ω仕様なのに「D123」のインピーダンスは16Ωでそもそも合っていない。
Yさんにはっきり実状を告げて「違和感はありませんかね?」とお訊ねすると「別に感じませんよ。これでいいんじゃないですか。」「そうですか・・・。」
機器同士のインピーダンスの適合性は目立たないが無視できない問題である。あまり理論的に自信がないので明言はできないがこれと同様のことがアンプとスピーカーの間にも言えるかもしれない。
たとえばアンプの出力端子8Ωに16Ωのスピーカーをつなぐのは許されるが、逆に16Ωの出力端子に8Ωのスピーカーをつなぐのは「ご法度」とされているのは周知のとおりで、実践経験からいくと信号系統の流れに沿ってインピーダンスは「低 → 高」へと繋いで行けば無難なのかもしれない。
ちょっと歯切れが悪いが(笑)、我が家では8Ω仕様と16Ω仕様が違うだけでそっくり同じネットワークを2個づつ持っているので、これは後日の実験材料として大いに楽しめそうだ。
「RS289」アンプで2時間ほど楽しんでから、いよいよウェストミンスターの試聴に移った。
詳細は前回のブログで述べたように、クロスオーバー「5000ヘルツ」(-12db/oct)のチャンデバを使った2ウェイマルチシステムである。
結論から言えばなかなかの評価だった。
「これまでウェストミンスターでは大味なばかりの音だと思っていましたが、まったく印象が変わりました。すっきり爽やかでベールが一枚も二枚も取れた感じです。D130用のアンプが凄く利いてますね。」
何だか「WE300B・6A3兼用アンプ」から「後光」が差してきたような気がした(笑)。