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官邸機能の地下シェルター化を考えない防衛力増強は愚策

2022年10月11日 | 政治

 

首相の私邸住まいも禁止に

2022年10月11日

 北朝鮮が9日、弾道ミサイル2発を発射し、今年は25回、9月下旬以降では7回計12発という高頻度に達しています。9日は青森上空を通過し、太平洋に落下しました。精度が上がっており、その気になれば、日本を核攻撃できる能力を持ったと考えておくべきです。

 

 政府は全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、警戒と避難を呼びかけました。内閣官房の国民保護ポータルサイトには「弾道ミサイル落下時の行動について」の呼びかけが載っております。「地下か建物に中に避難して下さい」、「危険物には近寄らないで」などです。

 

 北が発射してから10秒程度で日本に落下、つまり瞬時のできごとですから間に合いますか。そもそも退避できる地下施設があるのかどうか。全国で9・4万か所が退避施設に指定されています。肝心の地下施設は1%といいますから、有事の際に役にたたないでしょう。

 

 米軍基地がある日本を核攻撃すれば、北は核の報復を受け、国は崩壊必至です。「だからまさか核攻撃には踏み切るまい。脅しだけだろう」と考えるのがこれまででした。それが「まさか」ではすまない時代になりました。

 

 プーチン露大統領が自暴自棄に陥れば、核使用がありうる。金正恩も同じような人物でしょう。金正恩が「日本などに核攻撃をしかけるぞ」と脅しただけで、日本はパニックに陥ります。なにしろ地下シェルター施設が整備が進んでいる海外の国に比べ、日本はほぼゼロなのです。

 

 「東京都はミサイルの落下に備えるために、地下鉄駅105か所を避難施設として指定した」とか、5年ほど前には「内閣官房、総務省消防庁、国交省、防衛省は地下鉄駅のシェルター化の検討を極秘に始めた」との記事が流れました。こんな当たり前のことが「極秘」とはそもそもおかしい。

 

 もっとおかしいのは、核有事の際の首相官邸、自衛隊の中央司令指揮所が地下シェルター化されているのか不明なのです。首相官邸の地下2階には、危機管理センターがあり、災害時、重大事故時に使用されています。とはいえ単なる会議室で、地下シェルター化された施設ではないでしょう。

 

 防衛省の地下3階には、100坪程度の中央指揮所があるとかの情報があります。備えはゼロではないにせよ、長期間にわたる有事の際の指揮所にするには規模は小さすぎる。自衛隊OBが「自衛隊もシェルターの準備を」という情報を発信しているくらいですから本格的なものではない。

 

 財務省(旧大蔵省)の元事務次官の話では「大規模な地下シェルターを構築するには巨額の財政資金がいる。当然、予算要求がなされるはずなのに、そうした計画を聞いたことはない」とのことです。密かに官房機密費を使用としても、何百億もの資金をひねり出せない。

 

 東京には大深度の地下鉄駅がいくつかあります。大江戸線の六本木駅、東中野駅、千代田線国会議事堂前駅などは地下40㍍前後の深さです。これらの地下鉄工事の際に、政府・防衛機能を移せる大規模なシェルターを同時に構築しておけばよかった。そんな話は聞いたことがありません。

 

 単に地下鉄駅に安全な空間があったとしても、通信施設、居住空間、医療設備、食料・飲料水の備蓄、発電施設など様々な備えをしておかないと、なんの役にも立ちません。

 

 北朝鮮には、10か所あまりの地下官邸があり、トンネルでつながっているそうです。金正恩は転々と居所をかえているのとかの情報です。隣接する韓国も当然、地下シェルターを備えている。米国もウェストバージニア州の地下に巨大な地下シェルターがあります。

 

 プーチン露大統領は「核戦争に備え、政府幹部らとロシア南東部のシェルターに移動した」(英紙)との報道もありました。ウクライナで露軍に抵抗したアゾフ大隊が籠ったが製鉄所には、地下5階のシェルターがあり、会議室、居住空間、診療所、発電施設、宿泊施設が整っていました。

 

 ミサイル発射で「Jアラート」で国民に警戒を促すまえに、政府のやるべきことは有事の際に、政府機能、防衛機能、敵地攻撃能力を統括する本格的な地下施設を持つことです。

 

 防衛予算をGDP比で2%に引き上げ、防衛力を強化しても、司令機能が失われれば、何の役にも立たなくなる。敵は当然、そこをついてくる。

 

 新聞、テレビなどのメディアはそうした問題提起をしていません。国会で自民党タカ派が強硬に主張してもよさそうなのに、そうした動きがありません。まず議員団でも組み、主要国の地下シェルターの現状を民間施設を含めて視察にいったらどうなのでしょう。

 

 「まさか核攻撃は受けないだろう」、「万一の時は、米軍が守ってくれるだろう」という安易な考えではいけない。反撃能力を維持できる有事体制を構築、準備しておくのが必須です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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