「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「3K」と言えば「きつい・汚い・危険」の略で、主に肉体労働を指した用語と言われています。しかし、現代の経営者が学ぶべき3つのKは「会計(かいK)、統計(とうK)、経済(Kざい)」です。なぜ学ばなければいけないのか、3回にわたってお話しします。今回はその(3)統計です。
最近、データ分析に関する本やセミナーが目立つようになってきました。今回は「DX時代は中小企業もデータ分析力が必要です!」などとコンサル会社のPRのようなことをお話しするつもりはありません。
DXを実現するにはIoTやビッグデータを使いこなし、経営に役立つ様々なデータを入手することが必要です。そして、それらのデータを正しく分析し、経営上の意思決定に役立てなければなりません。しかし、それを実際にやるためにはどれだけのコストと人材が必要になるのでしょうか。お金を使う前にまずは知識を得ることをお勧めします。
そこで、今流行りのデータ分析のセミナーや研修の内容を見てみると、大体こんな内容になっています。
・IoT、ビッグデータとは?
・データのばらつき
・需要予測
・グラフによる分析
・市場データを見る
・販売データを見る
・在庫データを見る
・定量分析と定性分析
・データ活用のポイント
・自社での活用するには
・AIによるデータ分析
・・・大変失礼かとは思いますが、経営者の皆さんがこうしたコースを受講しても、はっきり言って何の効果も期待できません。時間とお金の無駄です。
経営者や経営に関わる管理職の方々には、「統計学の入門」を学ばれることをお勧めします。統計学を学べばデータ分析ができるわけではありませんが、少なくとも「○○のデータを分析するためにお金を払う価値はあるのか?」といったときに、なんとなく「臭い」を嗅ぎ分けられるようになります。
「臭い」というのはあいまいな表現ですが、コンサル会社や大手のSIが売り込んでくるようなデータ分析のサービスに対して、まともな「疑問」を提示することができるようになります。
たとえば、あるデータ分析サービスで「貴社の顧客を分析し、最善の営業戦略を作ります」という提案があったとします。そのとき、統計学を多少知っていれば様々な疑問をぶつけることができます。
「売上の標準偏差を出してそれからどうするんですか?」
「Excelで回帰分析をするのとどこが違うんですか?」
「どのような検定をするのですか?」
こうした疑問に対して、煙に巻くような答えを返してくるなら要注意です。ひとつひとつ丁寧に答えてくれるなら、信用しても良いかもしれません。
統計学の考え方はDX時代のリテラシーです。別に統計学の勉強を一所懸命する必要はありません。統計学の考え方をなんとなく分かってもらえるだけで良いのです。それだけでIoTやビッグデータを理解できるわけではありませんが、少なくともそれが役に立つのかどうか(なんとなく)嗅ぎ分けられるようになります。
「いや、それは何も経営者がやることではなく、うちの技術者がやることだよ」はい。そうかもしれません。
余談になりますが、統計学に関する研修で講師を担当すると、たまに理系出身の受講者の方から「知っていることばかりだった。もっと応用的な話が聞きたかった」とアンケートに書かれることがあります。
「知ってる話だった」は研修講師なら誰もが経験する「あるある」なのですが、きちんと統計学を理解して仕事で使っている方は意外と少ないというのが私の実感です。
もちろん、工場での品質管理やマーケティングの需要予測では日常的に道具としての統計学が活躍しています。
経営者の皆さんが統計学を道具として使うことはないでしょう。それでも自社の中で統計学をきちんと理解して使っている社員がどれくらいいるのか、あるいはいないのか、それを知るだけでも会社が生き残るために役に立ちます。
さて、統計学は入門からいきなり「確率」という数学が立ちはだかりますが、私は「確率」は(ちょっとだけ)後回しにしても良いと思っています(統計学と確率はコインの裏表のようなもので、とても大切なのですが)。
数学はちょっと苦手だけど、統計学には興味ありという方はぜひお問い合わせください。貴社の仕事内容に合った入門レベルの本をご紹介します。