「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
ワーケーションとは、ワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語です。都会を離れ、リゾート地に滞在してテレワークを活用しながら働いたり、休暇をとったりして過ごします。「3密」を避け、しっかり仕事をしたら遊びを楽しむという、まさに政府が推奨する「新しい日常」にぴったりの働き方です。
今年は「新型コロナウイルス感染症」と「働き方改革」という歴史的なインパクトに見舞われた年です。政府はこうした事態を踏まえて、国土交通省(観光庁)が「休暇の分散、ワーケーションの推進に向けた取り組み」を、環境省が「国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進」という資料を作成しました。
いわばワーケーションは国の「お墨付き」となったわけです。
もちろん、バラ色の話ばかりではありません。マイナス面もあります。まずテレワークに十分対応できていない状態で、いきなりリゾート地で仕事を100%こなすというのは無理でしょう。しかも、有給休暇が取りにくい(と言われている)我が国では「仕事と遊びをごちゃ混ぜにしている」というイメージがどうしてもぬぐえません。
では、日本でワーケーションが定着することはないのでしょうか。
私は定着すると考えています。ただし、二分化した形で。
「新しい日常」は大きく2つに分かれていくと思います。1つはワーケーションのような分散型、もう1つは大規模集中型の働き方です。
テレワークは多少の前進、後退を繰り返しながら徐々に定着していくでしょう。今は「やむを得ず」、でも「だんだん慣れてきて」、そのうち「これでも良いんじゃないか」となる企業が必ず一定の割合を占めると思います。
一方で、やはり社員が一か所に集まって、面と向かって仕事をしないと効率が悪いという企業も少なからずあります。そうした企業は都会を離れて安全、安心な環境を保つことができる場所に大規模な集中型オフィスを持つことになるでしょう。パソナが淡路島に本社機能を移した例がそれにあたると思います。
どちらのタイプも、今は称賛よりも批判が多いようです。それぞれ一長一短、メリットもデメリットもあります。
しかし、毎日満員電車に乗って都心の狭いオフィスに集まって仕事を続けているのが「現状」だとしたら、それがいちばんリスクが大きいといえます。なぜなら、新型コロナ禍のような事態はこの先も必ず起こりますし、大地震のリスクも低下することはないでしょう。
経営者ならワーケーションにしても会社の移転にしても、あるいは今の状態を維持するにしても、近い将来のリスクについて真剣に考えておく必要があります。
会社にとって最大のリスクは、経営者がリスクから目をそらすことです。
有給は取りにくい、まとまった休みも取りにくい。そのうえ、リモートワークの定着さえままならないのが日本企業の実情だ。ましてや旅先でのテレワークはハードルが高すぎる。