「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
日経ビジネス1983年9月19日号の特集「会社の寿命は30年」は、当時のビジネスパーソンの大きな話題となりました。その内容は、主に大企業の過去のデータを集約してみると企業が繁栄できる期間は30年というものです。会社の寿命を「繁栄期」と定義していますので、30年で倒産してしまうという意味ではありません。
では中小企業はどうなのでしょう。大企業とは違ってズバリ「寿命」が示されています。東京商工リサーチによれば、2021年の全国企業倒産は6,030件(新型コロナが原因の倒産は1,668件)で、会社の平均寿命は23.3年でした。そのうち負債1億円未満の「小規模倒産」は4,503件(構成比74.6%)ですから「中小企業の寿命は24年くらい」と言えそうです。
倒産理由ですが、1位が販売不振71%、2位が既往のしわ寄せ 10%、以下連鎖倒産、過少資本、放漫経営と5%程度の要因が続きます
さて、「既往のしわ寄せ」とは聞きなれない言葉ですが、経営者が会社の状態が悪化し始めても「具体的な手を打たず放置すること、それによって経営が危うくなってしまうこと」を言います。たとえば、売上が徐々に低下してきたときに「そのうち景気が回復して売上も戻るだろう」と、何の手も打たないでいると、やがて致命的な事態に至り倒産してしまうことです。
「既往のしわ寄せ」の原因は、設備の老朽化、社員の高齢化、デジタル化への対応の遅れなどが挙げられています。こうしたまずい状況に対して経営者が何の手も打たないことが「しわ寄せ」となって会社を倒産させるのです。
たとえば、昨今話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、最新のシステムを導入しただけでは「手を打った」とはいえません。なぜならシステムを稼働させ、有効活用するのは人=社員だからです。社員に知識とスキルを与えることではじめてシステムが動き出すのです。
それはDXに限ったことではありません。販売を拡大する手法も、製造を効率化するノウハウも、品質を維持するための知識も・・・すべては人(社員)に属するスキルであり知識です。それは社員を教育する以外に身に付ける術はありません。
「企業は人なり」と言います。特に中小企業は「人」が全てだと言えます。経営者が社員に投資しなければ、確実に将来大きな「しわ寄せ」となって会社を襲うことになります。
会社の寿命を24年で終わらせないために、今こそ社員に対する教育投資を実行するときです。