「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
どのような仕事にも必ず前工程と後工程があります。少なくとも自分が行った仕事のアウトプットは、自分以外の誰かに渡されます。それは開発門なら製造部、総務部なら社員全員、営業部なら顧客・・・いずれにしても自分の仕事のゴールが後工程の仕事のスタートになります。つまり、仕事の出来不出来を決めるのは後工程ということです。
この数年でテレワークが一気に普及し、仕事の進め方が大きく変わってしまいました。テレワークのプラス面は多々ありますが、最大の難点はコミュニケーションの取り辛さでしょう。それによって後工程からのフィードバックが十分になされなくなってしまう恐れがあります。特に営業部門では「目立たない形で」その難点が問題になっているようです。
「いや、そんなことはない。当社はSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)を導入してから営業担当者別の案件の進捗状況を把握しやすくなった」、「顧客とのやりとりも十分かどうかデータを見ればわかる。何かあれば私から担当者に直接アドバイスできる」これは、ある中堅商社の営業担当役員の言葉です。
しかし、この会社の営業部長はこう言っています。「役員が直接担当者に指示を出すのは極力控えてもらうよう頼んでいます」管理者の頭ごなしに担当者に「アドバイス」されては現場が混乱するというわけです。営業担当者も、役員からの言葉がたとえ「ズレて」いたとしても無視することができず困ってしまうとのことです。
テレワークの普及により、企業では様々なITツールが使われるようになってきました。コミュニケーション上の問題を解決するために大いに役に立っている反面、こうしたマイナス面も無視できなくなりつつあります。
さて、役員をはじめとした経営層の後工程は誰でしょうか?それは株主、社員、顧客、取引先など「全て」です。正確に言うならば「ステークホルダー」です。「後工程はお客様」という言葉があります。多少極端かもしれませんが役員にとっては、いち担当者も「お客様」です。
では、役員は勝手に口を出さないようにすれば良いのでしょうか。ところがそう簡単には行きません。まず役員自身のフラストレーションが溜まります。それが溜まりに溜まると「大噴火」することもあります。それをまともに食らった管理者や担当者はたまったものではありません。
こうした事態に至らないための特効薬はないのですが、有効な手段の一つとして「会議」の有効活用をお勧めしています。会議という一種「公(おおやけ)の場」でしっかりと話し合うのです。多少の叱責やお小言もやむを得ないでしょう。ただし、会議以外の場では役員クラスからの「直接指示」は厳禁とします(多少の例外的なルールは仕方がありません)。
その前提として、経営層はステークホルダーとは何か(誰か)を十分に理解しておくことが重要です。そして会議は控えめにするよう心がけましょう。