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第1,045話 ダブルバインド上司にならないために

2021年08月08日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

ダブルバインド(Double bind)とは「二重拘束」という意味です。本来の精神医学上の用例については省略しますが、2つの矛盾した命令を受けた側がストレスを感じることです。

たとえば飲み会で上司が部下に「今日は無礼講だからなんでも言いたいことを言いなさい」と言ったとします。やがて酔いが回ってきた部下が上司に本音を話し出したところで「おい!その言い草はなんだ!言って良いことと悪いことがあるぞ」と怒り出しました。

また、課長が配属されてきた新人に「わからないことがあったら、いつでも遠慮なく質問しなさい」と言ったとします。しばらくして新人が質問をしたところ、「なんでもかんでも聞こうとするな。少しは自分で考えろ」と不機嫌そうな口調で言われました。

上司にしてみれば、別に矛盾したことを言ったつもりはないのです。

無礼講といっても常識を踏まえた上で発言をするのは当たり前だ。

なんでも質問して良いと言ったがある程度自分で考えてからするものだ。

しかし、部下にしてみればそうした上司の「常識」はわかりません。立場が変われば「常識」も変化していくものです。当の上司にしても、自分が新人だった頃と今の自分の頭の中にある「常識」とは明らかに異なっているはずです。

ただ、その変化がゆっくり起こるので、自分では気付かないだけです。こうしたズレがダブルバインドを生む原因になっています。仕事上のダブルバインドは回数を重ねるうちに職場での信頼を壊していきます。

ダブルバインドを防ぐ処方箋は「もっとコミュニケーションを!」ということになります。よくあるのは「コミュニケーション研修」を全社で実施することです。

ところが多くの「コミュニケーション研修」はHow(どうやって)のみに集中しがちです。しかし、ダブルバインドの問題は、一方がダブルバインドだと思っていないことです。研修を実施するならば必ずWhy?(なぜ)をしっかり押さえておかなければなりません。

特に今現在「上司」の立場にある方や同じ職場に「後輩」をお持ちの方は、自分の発言がダブルバインドになる可能性があることを是非知っておいてください。

もし指示命令したことがうまく部下・後輩に伝わらなかっとしたら、Why?と自問してみてください。

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