三本柱※という言葉がありますが、何事も3つあると安定します。カメラの「三脚」、登山で岩登りをするときの「三点確保」、野球でも「先発投手の三本柱」などと言ったりします。会社経営も同様に3つの柱があると安定した経営ができます。
中小企業では、第1の柱は社長さんです。会社=社長と言っても過言ではありません。第2の柱は社員です。「企業は人なり」は真実です。ここまでは納得いただけると思います。
では、第3の柱はなんでしょうか。様々な答えがありそうですが、「お金」という答えが多いかもしれません。しかし「金は天下の回り物」会社が存続するために必要な「栄養」ではありますが「柱」にするのはいかがなものでしょう。
私は、3本目の柱は「企業理念(経営理念)」だと思います。前回のブログでも書きましたが「企業理念とは、創業者や経営者が示す企業活動の基本的な考え方、価値観、思い、企業の存在意義」です。
あなたの会社の企業理念はなんでしょうか。
「人々の幸せのためにより良い製品・サービスを全世界に提供すること」・・・とても良い企業理念です。でも、いったいどの会社の理念なのでしょう。社員10万人の会社ならわかりますが、10人の会社の理念ではないと思います。
もし、あなたの会社にはっきりとした企業理念がないなら、あるいはあっても抽象的でピンとこないなら、是非「第3の柱」となる理念を作りましょう。
まず、あなたの会社がいまあるのは「なぜ」か、その答えを考えてみます。「なぜ」あなたの会社の製品やサービスをお客様を買ってくれるのでしょう。その答えが出たら、創業したときの「想い」にその答えを結び付け、言葉にします。そして社員に「言っている意味がわかるか」を確かめてください(社員に「評価」してもらう必要はありません)。
企業理念は「第1の柱」である社長が一所懸命考え、「第2の柱」である社員が受け入れることで「第3の柱」になります。中小企業にとって「理念づくり」のプロセスは、まさに「3本目の柱」を立てる大事なイベントです。
その際、わかりやすく覚えやすい言葉が出来上がれば成功です。もし上手くいかなければ何度も「理念づくり」を繰り返してください。できたものが企業理念(仮)でも構いません。
次はソニー株式会社の現在と創業時の経営理念(いずれも一部)です。ご参考までに。
(現在)
クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たす。
夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。
(創業時)
真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
※三本柱の元々の意味ですが、狂言の「三本の柱」から来ています。主人が三人の家来に「家の柱にする木を山から三本持って来い」と命じます。ただし条件があって「三本の柱を、三人がそれぞれ二本ずつ持って来い」というものです。単純に計算すれば3×2=6本になってしまいますし、3本を束ねて3人で担いだのでは「2本ずつ」になりません。どうやって解決したかは以下のWebページでご確認ください。
http://nagatabi.lolipop.jp/59.html