「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「対面型研修では考えられないくらいに、質問が多いですね。まるでラジオのディスクジョッキーになったような気持にさえなってきます。対面型よりもオンラインの方がずっと良いですね」
これは、先日私が受講したオンラインでの公開型セミナーの際の講師の発言です。
7月15日のこのブログでも取り上げたように、対面型研修と比べるとオンライン研修の方が感想を述べたり、質問をしたりする人が多いのです。ご存じの通り、対面型研修では他の受講者の目の前で挙手をして質問をしなければなりませんが、オンライン研修ではチャット機能を使用すれば、こっそりと質問することが可能だということが大きな理由だと考えられます。
冒頭のオンラインでのセミナーでは他の受講者の顔は見えず、さらに質問や感想はすべて非公開で投稿することがルールになっていました。そのため各受講者がどのよう表情で受講しているのか、また、どのような感想や質問をアップしているのが確認できない状況でした。
したがって、画面に見えているのはスライドと講師の顔だけでしたが、どうやら受講者から寄せられる感想や質問が想定していたよりも多かったらしく、どんどん気持ちが乗ってきたようでした。
そして「オンラインの方が対面型よりも良い。コロナ禍が過ぎてもオンラインにすべて変更した方がよいと感じてきた」と何度も繰り返していました。
ところが、受講者である私は講師の盛り上がりに反して、何だか置いてきぼりにされているような気持になり、セミナー自体にどんどん冷めていってしまったのです。
前述のように、私には他の受講者の様子がわかりませんので、もしかしたら他の受講者は講師と同様なテンションになっている人もいたのかもしれませんが、それを確認するすべはありませんでした。しかし、同じような気持ちになった人もいたのではないかと思います。
もちろん、講師だけが盛り上がってしまい受講者がそれについていけないというようなことは対面型研修であってもありうるわけです。しかしオンラインで視覚の情報が限定されている状態では、それがより顕著になってしまうことが懸念されるわけです。
コロナ禍の中、半ば強制的に導入されたオンライン研修ですがメリットも多いことから、今後コロナ禍が収束したとしても一定の割合で導入され続けるだろうと推測されます。
しかし、言うまでもなく研修の主役は受講者であり、講師だけが盛り上がって受講者が置いてきぼりにされてしまうような事態は避けなければなりません。
冒頭のセミナーの講師の様子を見ながら、同じ研修に携わる者として、あらためて自戒の念とともに強く認識した次第です。