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「結婚させていただきます」

2016年02月17日 | コンサルティング

「検討させていただきます」「ご参考とさせていただきます」「お会いさせていただきます」

これらは最近、私が実際に対面でコミュニケーションの際や、受け取ったメールの中で使われていた表現です。

この「させていただく」表現、近年以前にも増して多用されていると感じます。

本来、「させていただく」という表現は自分の行為を許可してもらい、そのことで恩恵を受ける際に使う謙譲表現です。つまり、この表現を使う際は、相手に問いかけをしていることが前提になるはずです。

しかし、最近ではこの「させていただく」表現を相手の許可を得る際だけでなく、てんこ盛りにして使う人がいて、そういう人と話をしていると「一体誰に何の許可を求めているのか」がよくわからなくなり、話の本意をつかむのに苦労することがよくあるのです。

また、必要以上に「させていただきます」を連呼されると、逆に慇懃無礼な感じがしてきて、思わず苦笑いをしてしまうときすらあります。

「させていただきます」表現を多用する人のことを、近頃は「させていただきます症候群」という人もいるそうですが、一体なぜこういう状況が起こってきたのでしょうか。

NHKの番組「視点論点」によると、「させていただきます」は便利な言葉だということがあるようです。

「いたします」をつけて謙譲語にできない動詞、例えば「帰ります」「始めます」「終わります」には「いたします」をつけることができませんが、日常的に使う言葉であるだけに謙譲語で表現しようとすると、「帰らせていただきます」「始めさせていただきます」というように「させていただきます」を使うことが簡単なようです。

このように「させていただきます」は、考える余裕がないとき、言葉を選ぶ余裕がないときなどにも使いやすい言葉とのことです。

しかし、私が「させていただきます」で気になるのは、一見こちらを気遣っているように見せつつも、実際のところは自分の一方的な行動や意向を伝えるのに使われていることが多いと感じるからです。

たとえば、「お断りさせていただきます」というより、はっきり「お断りします」と伝えた方が、相手に対してどれだけ誠実で明確な印象を与えるだろうかと感じています。

この「させていただきます」表現は、政治家やタレントでも使う人が多いです。つい先日も、ある政治家が「辞任させていただきます」と言って辞任しましたし、タレントの交際発覚時や結婚記者会見のときなどでも、「いいお付き合いをさせていただいております」や「結婚させていただきます」がよく使われています。

お付き合いをするのも結婚も、誰かの許可を得るよりも前に自分の責任で選択した行為であるはずなのに、「させていただきます」と言うと」何だか自信がなさそうな覚悟が感じられない表現に思えてしまいます。

さて、2月も中旬になり、そこここに彼岸桜や河津桜が開花し、だんだんと春が近づいてきていると感じます。新人が入社する4月まであと1か月半ほどです。今年の新入社員研修では、あらためてこの「させていただく」表現についての話を取り入れたいと考えています。

(人材育成社)


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