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神頼み

 日曜日に息子は東京の私大を受験した。近年は地方試験も多くなって名古屋で受験できる大学も増えたが、その私大はそうした便宜を提供していないため、前日に上京してホテルで一泊して受験した。妻が付き添いとして同道した。高3男子に親が付き添う必要はないだろうと思っていたが、万全の状態で試験に臨ませるには、交通手段などこまごましたことを引き受ける者がいた方がいいだろうということになって、妻が付き添うことになった。今週の金曜に再び上京して1週間近くホテル暮らしをしながら何校か受験することになっているため、その予行演習もかねての上京であった。
 センター試験で予想外(?)の大失敗を犯してしまった息子は、国公立大狙いから私大狙いへと志望を変えたため、元日に参拝した北野天満宮で合格祈願の絵馬に記した志望校とはかなり違う大学を受験することになった。そのため、京都に住んでいる娘に電話して絵馬に新しい志望校名を書きに、北野天満宮へ行ってくれるように頼んだ。すんなり合格してしまえば何も気にはならないことだろうが、万一失敗したときに「ああ、絵馬に志望校を書き直しておけばよかった」などと後悔するようなことはしたくない。ちょっとナーバスになりすぎているのかなと思わないでもなかったが、ここまで来ると神仏の力を借りてでも何とか合格させてやりたい。娘もわが意を汲んでくれて、天満宮まで走ってくれた。胸のつっかえが取れたようですっきりした。なんだか、考えが爺くさくなってきたなぁ・・。
 同じ思いからか、妻は妻で息子が試験に取り組んでいる間に湯島天神に合格祈願にいってきたという。「東京の大学を受けるんだから、東京の天神さんにお願いしなければいけない」、という理屈らしい。


湯島天神と通称されているが、一体どこにあるのかまったく分らない。私は東京には4、5回しか行ったことのない田舎者であるが、妻はSMAPのコンサートやいろんな舞台を見に行っているため結構詳しい。土地勘も少しはあるので、今回の付き添いでも今までの経験が役に立つことだろう。


これが合格祈願のご祈祷を受けて頂いてきたおさがりだ。お札、鉛筆、梅干、はち巻き、かなりの量だ。
「すごいな、こんなにもらえたの?」
「うん、それがね、ご祈祷料は3,000円からと受付で言われたから1万円札を出したの。7,000円おつりが来ると思って待ってたら、1万円の領収書がもらえた。どうしようかなと思ったけど、そのままにしてご祈祷受けてきちゃった」
「・・・」
まあ、ここまで来たら、菅原道真公の大徳にすがるしかないのだから、少々の出費は致し方ないのかもしれない。妻も大学の受験料や交通費・宿泊費などがかさんで、かなり金銭感覚が麻痺しているのかもしれない。しかし、ここからが息子の正念場だ。ほんの少しでもいいから息子に力を貸していただけるよう、八百万の神々にお願いするばかりだ。
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