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ポイ捨て

 福田康夫首相が辞任を表明した。安倍晋三前首相が辞任表明をしたのが1年前の9月12日。その日、私はこのブログに次のような感想を書いた。 

 しかし、考えようによっては、この安倍ちゃんの退陣表明は喜ばしいことである。こんなにいい加減な人間に国の舵取りを一年近くも任してきたのだから、私を含めた日本国民の能天気さには今更ながら驚いてしまうが、これでもっとこの国の行く末を真剣に考えてくれる人に国政を委ねる機会が生まれたのだから、まさに喜ぶべきことだ。

 このとき選ばれた福田首相が、わずか一年後に辞任してしまうとは誰も考えなかったであろうが、彼のこの一年間を振り返ってみれば、いつ辞めてもおかしくなかったし、逆にいつまでも首相でい続けたところで構わなかった気もする。要するに彼は首相としてこの一年ほとんど何もしてこなかったように思うからだ。確かに洞爺湖サミットではホスト役を無難にこなしたと言えなくもないが、あえて彼でなければできなかった役回りでもなく、周りのお膳立てに乗っかってニコニコしていただけに過ぎない。歴代の日本の首相の中でもその無策ぶりではまさしく歴史に名を残すであろう・・、彼の辞任の報に接してもそんな嫌味しか思い浮かばない。
 ただ一度だけ前面に立って世間を騒がせたことがあった。民主党の小沢代表に大連立の話を持ちかけて、小沢を代表辞任表明まで追い込んだ時のことである。この時、私は福田のことを「のび太首相」と読んで、彼の寝業師としての力量を評価したものだ。

 しかもこののび太にはドラえもんが一緒にいるわけではない。困ったことがあってもドラえもんが助けてくれるわけではないから、自分ひとりの裁量によって政権を維持しなければならない。彼を茫洋とした顔つきで判断してはいけない、なんと言っても父親は田中角栄と争ったあの福田赳夫なんだから。

 だが、この奇策も結局は頓挫し、小沢も元の鞘に戻り、自らの政権の支持率は下がる一方だった。それも当然といえば当然だろう。例えば、ガソリン価格の高騰に対して何らかの有効な策は一切施さず、国民が値上げラッシュで悲鳴を上げているにもかかわらず、言動がどこか他人事のような印象を与えてしまうようでは、彼を支持する人などいるはずもない。のび太はやはりドラえもんがいなければ、何もできないようだ・・。
 
 ではこの後を継いで誰が首相になるというのか?早くも麻生太郎の名が一番に挙がっているようだが、もうそろそろ首相経験者の息子や孫を選ぶのは止めてくれないだろうか。安倍ちゃん、福田のび太と連続で政権を投げ出してしまったのだから、庶民の意識とかけ離れたところで生まれ育ってきた者達に政治を任すことはできないと多くの人たちが気づいているはずなのに、またこのラインから選ぼうとするのは余りに鈍感だ。自民党が国民の方を向いていない政党であるのは分かりきってはいるが、それでもやはり現在政権を掌握している政党であるから、少しは国民に目を向けてくれないものかと、思ってしまう。総理大臣経験者の末裔が首相にふさわしいというのなら、竹下登元首相の孫で、ロック歌手のDAIGOを抜擢したほうがまだ国民の受けはいいかもしれない・・。
 アメリカの大統領選のようなシステムだったら、こんなに簡単に政権を放棄してしまうなんてことはできないだろう。心から大統領になりたいと願い、そのためにはあらゆる誹謗中傷に耐え、長い選挙戦を常に先頭に立って戦って行けるだけの体力と精神力を持った者だけが大統領になれるのだろうから、おいそれと勝ち取った政権を投げ出すはずもない。日本も、いい加減な代表選挙でお茶を濁すのではなく、じっくりと時間を掛けた候補者選びができるような制度を作らない限りは、今後も「政権ポイ捨て」犯が後を絶たないように思う、いやだいやだ。
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