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娘との絆?

 土曜の夜遅く娘が帰ってきた。「11時50分に駅に着くけど、タクシーで帰ったほうがいい?」などとメールが来たら、「お迎えに参上いたします」と返事するしかない。塾を終えて駅まで迎えに行った。
 1ヶ月前に京都で会ったから、久しぶりな気はしない。だが何となく痩せたように感じられた。「最近少し食べるとお腹いっぱいになるから・・」と説明してくれたが、元気そうなので少しくらいほっそりしたほうがいいのかもしれない。京都で友人と会っていたから帰りが遅くなったようで、家に着いたら12時を回っていた。私の父がまだ起きていたようなので、部屋の戸を開けて「おじいちゃん、ただいま」と挨拶していた。父が「おお、おかえり!」と答えた大きな声が聞こえてきたが、可愛い孫娘に久しぶりに会った喜びはその声にもあらわれていた。少しばかり会話をして、娘が「おやすみ」と言って戸を閉めたが、敬老の日に合わせたかのようなグッドタイミングな帰省だった。

 翌朝、喫茶店に行くことになって、玄関まで行って驚いた。ブーツだ!
「お前が履いてきたのか?」と私が聞くと、
「うん、でもぜんぜん暑くないよ」と娘が言う。
「お前が暑いとかはどうでもいいけど、こんな時期にブーツを見る周りの人たちが鬱陶しいだろう」と言う私に
「そうだよ、まだまだ暑いし」と妻も賛同する。
「平気だよ、そんなの」と言う娘を見ると、首に薄いショールのようなものを巻いている。
「何だよ、それ?」と私が聞くと、
「だって寒いじゃん」とわけの分からぬことを言う。
「寒くなんかないよ、暑いよ」と私が言ってもとろうとしない。こんな田舎に戻ってきてカッコつけたって仕様がないのに、と私などは思うが、娘は、家の外に出る限りはきちんとした格好をしなければ我慢できないらしい。誰がどう見たって暑苦しいのに、季節を先取りするファッション感覚とでも言うべきものをひけらかしたいのかもしれない。それ以上ブツブツ言っても仕方ないので黙ってしまったが、多少の無理でもしなければいけないのが今風のファッションなのかもしれない・・。(でも、変だ)

 日曜日は友達と会いに出かけていたし、月曜は私が塾で忙しかったから、ゆっくり話もできなかった。だが、妻とは夜遅くまで話し込んでいたようだ。SMAPのライブのチケット取りの相談や、来週出かける東京ドームのことなどをあれこれ話し込んだのかもしれない。何を話したのか聞かなかったし、聞いても教えてくれないだろうから、知らん振りをしておいたが、娘と母親の関係に父親が入り込むのはなかなか難しい・・。
 私と娘の関係は昔からさほど変わっていないように思う。仲がいいのかどうかは分からないが、悪くはないと思う。世間によく言われるような、「絶対お嫁に出したくない」などとは決して思わないが、私を父親として頼ってくるならばどんなことでもしてやろうという覚悟は常に持っている(口に出して言ったことはないけれど・・)。そんな父と娘をつなぐ絆の象徴と私が勝手に思い込んでいるものがある。それは、少し前にこのブログで紹介したことのあるガッチャピンの小さなフィギュアだ。この前娘が帰省した時に全部渡したが、しばらくして娘が写真を送ってくれた。


 研究室のデスクに飾ってあるそうだ。ガッチャピンが私の代わりに娘を見守ってくれているようで、この写真を見た時は、なぜかほっとした。
 
 火曜にはバイトがあるとかで、朝早く京都に戻って行った。相変わらずつむじ風のような奴だ・・。短い時間ではあったが、家に娘がいるのはやはり楽しかった。今度は年末にしか帰れないと言っていたが、それまで結構長い時間がある。
「それまでぼちぼち頑張ろうかな」
などと寂しさを紛らわすしかない私である。
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