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小さな恋?

 「そんなに心配するなって。ちょっと体調が悪いくらいだって・・」
授業を終え、バスを運転していたら、そんな声が聞こえてきた。声の主はS君、元気な中3男子だ。相手は誰だかよく分からないが、その後も「元気出せよ」と励ます声が聞こえてくる。
 「どうした?S、誰に言ってるんだ?」
そんな声が聞こえたら黙っちゃいられない。私の問いかけに
 「いや、何でもないです」 
 「何でもなくはないだろう。気になるよ、誰が元気ないんだ?」
 「Kです」
 「Kか。そういや元気なかったかな?」
 「違います、僕じゃないです」
すぐにK君が反論した。
 「じゃあ、誰なんだ?」
 「Yです」
K君がきっぱりと言った
 「Y?どうしてYが元気ないんだ?元気だったじゃないか」
 「それは・・」
と、S君がさも曰くありげにお茶を濁す。どうやら彼の術中にはまったらしい。
 「そうです。僕です」
Y君が屈託なく後を継いだ。「僕を励ましてくれたんです」
 「何で?」
 「それは・・」さすがにY君も言い澱んだ。
 「Mが休んだからです」
ここからが本番だとばかりにS君が割って入ってきた。
 「Mさんは熱が出たらしいぞ、電話があった」
 「俺の言ったとおりじゃん、やっぱり」
とS君がY君に言う。
 「どうしてYがMのことを心配するんだ?」
 「YはMのことが好きだからです」
 「Yが?Mを?・・・本当か、Y?」
バスの中がざわついた。他の生徒も何人か乗っているのにこんなこと話してもいいのか?とも思ったが、好奇心は抑えられない。
 「そうみたいです」
Y君があっけらかんと答えた。みんなに知られても平気なのかな?よく分からんなあ・・。
 「そうみたいって、他人事みたいに・・。いつから好きなんだ?」
 「去年辺りからです」
 「去年て言ったって、今年はまだ始まったばっかりだし、最近好きになったってことか?」
 「そうみたいです」
 「で、コクったのか?」
まさに親爺の図々しさで思わず聞いてしまった。
 「してません」
 「そうか。Mはお前の気持ちを知らないのか?」
 「知らないみたいですね」
 「ふ~~ん、でも今日でみんなに分かっちゃったから、Mにもすぐに伝わるぞ。いいのか?」
 「仕方ないっすねえ」

 このY君はいつもこんな話し方をする。いい子なんだが、自分があるのかないのか、つかみ所のない子だ。それと同じように勉強に対してもやる気があるのか、ないのか、私にはよく分からない。たぶん本人も分かっていないだろう。そんなY君が恋をした。不思議な恋心だという気もしなくはないが、これだけみんなに知られてしまったら「秘めた恋」なんていう奥ゆかしさはまったくなくなってしまう。だけど今どきの中学生にはこんな軽い感じのほうが、気楽なのかもしれない。もしうまくいかなくても笑ってごまかせる、そんな予防線をはっているようにも思える・・。
 だが、結果はどうなるにせよ、心がときめくっていうのはいいことだ、羨ましい。うまくいくといいけどな・・。でしゃばって応援したりはしないけど・・。

 でも、君らは受験生だぞ、もうすぐ入試だぞ。浮かれてばかりいないで勉強しろよ!!
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みかんの木

 お千代保稲荷に初詣に行ってきた。あいにくの雨模様でもあり、先月のオービス疑惑もあるから、高速はずっと走行車線を走って行った。何かが光った場所を確認しようとそれらしき場所を探してみたが、どこにもオービスらしき物は見つからなかった。やっぱりあれはただの警告灯だったのかもしれない。少し安心したが、やはりスピードは控えめに走ったほうが、余計な気を張り詰めなくてもいいから楽に運転できる。これからもこんな感じで運転するようにしよう、と心に誓った。
 平日であったにもかかわらず、お稲荷さんはやはり混み合っていた。3日に初詣に行った人は余りの渋滞に恐れをなして途中で引き返てきた、という話も聞いたが、さすがにそこまでは混んでいなかったものの、いつもの平日の何倍もの人が訪れていた。参道に並ぶ商店のいくつかには縁起物の熊手がずらりと並び、まだまだ正月気分が味わえる。


 昨日は伯母が一緒に行けなかったので、いつもより出掛けが遅かった。そのためお稲荷さんに着いたらもう正午を過ぎていた。お腹が空いていそうな妻に「串かつ食べる?」と聞いてみた。このお稲荷さんの参道では串かつがおいしいと有名なのだが、今まで一度も買ったことがない。それも何だか不思議な話なので、一度くらいは食べておかなくちゃ、と妻に勧めてみたのだ。すると、「うん」と答えて、串かつとどて煮を1本ずつ食べた。


 揚がったばかりの串かつをどて煮の鍋の中に入れて味噌ダレを付けて食べる。これがこの店の流儀のようだが、「おいしい」と妻は満足していた。
 
 この後、拝殿に向かって今年もご加護を下さるよう手を合わせた。私の塾では「交通安全」がすべての根幹なので、初詣に行った先では常に最初に祈願することにしている。「焦らず余裕を持って運転すること」、そう自分に言いきかせた。


 参拝を終えて参道を歩いていたら、植木屋の店先に「みかんの木」が何種類か並んでいた。この冬、バスを運転しているとたわわに実を付けたみかんの木を何本も見かけ、自分の家の庭にも植えたいと思っていただけに、思わず立ち止まってしまった。「はっさく」や「夏みかん」などという大きな身をつける木もあったが、私は「温州みかん」を選んだ。店の人によるとちょうど今頃実をつけるらい。だが、「実がなるまでは3年待ってね」と言われた。3年はちょっと長い気もするが、丹精込めて世話すれば、もうちょっと早く実を付けるかもしれない。頑張ろう!

 というわけで、家に帰って早速車庫の裏手に植えてみた。


 楽しみだ!!!
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秘密の・・・

 昨日の朝、デニーズからメールが届いた。


デニーズでは本日よりデザートスタンプラリーを開催

なんと、「裏デザート」をもらえるチャンス


さらに文面を読んでいくと、
 ・1/8(木)~3/31(火)にデニーズへご来店していただきスタンプカードをGET
 ・300円以上のデザートメニュー1品で、スタンプ1コ押印します
 ・5コ集めると、メニューにはない「裏デザート」をプレゼント
 ・特別に「自家製 苺のミルフィーユガレット」をご注文のお客様にはスタンプを2コ
 ・今回のクーポンをご提示いただいた場合・・・スタンプラリーのスタンプを2コプレゼントいたします
 ・是非この機会にスタンプを集めてデニーズとっておきの「秘密のデザート」をお楽しみください♪

ほお、ちょうど木曜日だ。木曜はデニーズに行く日、ちょうどいい。早速「自家製 苺のミルフィーユガレット」を頼んでみようではないか。そうすれば、一度にスタンプが4個ももらえてしまう。「秘密のデザート」なんてすぐに食べられる!
 

 いやあ、本当においしかった。イチゴは「とちおとめ」だそうだが、こんなにも濃いイチゴは食べたことがなかった。びっくりしてしまった。「ミルフィーユガレット」も何だかよくは分からなかったが、おいしかった。まあ、生クリームとアイスクリーム、それにバナナまでが添えられていたらおいしいに決まってる。ちょっとした感動ものだった・・・。
 これであと1ポイント。簡単なものだ。でも、帰り際、レジの横で私が満足そうな顔をしていると、お店の女の人が「そんなに期待しないでくださいね」と苦笑交じりに呟いたのはどういうこと?

 家に帰ったら、このイチゴの濃厚さはいつか食べたことがある、という気がしてきた。何だったっけ?と、ずっと考えていた。そしてやっと分かった。これだ、この味だ。

 

このチョコも初めて食べたときはびっくりしたよな・・。
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ドラゴンボール

 「ドラゴンボール」の実写版が今年10月に公開されるらしいが、そんなものあまり見たいと思わない。やっぱり鳥山明のマンガで読むのが一番いい。なんといってもドラゴンボールは最初から最後まで「少年ジャンプ」で毎週読んでいた私であるから、アニメですら自分のイメージを崩してしまうからあまり好きではなかった。「実写なんて、しかもハリウッド映画なんて見れるか!」とついつい思ってしまうが、そうした私の思いをはるかに超えるほどすばらしい映画だったらどうしよう、見ちゃうかな、やっぱり・・。
 と言っても、「ドラゴンボール」にそれほど深い思い入れがあるわけでもなく、ストーリーも粗方忘れてしまっている。が、それでもやっぱりコンビニのレジの横に、ドラゴンボールのフィギュアが入っている、というプラスチックボトルがずらりと並んでいると、ついつい見入ってしまったのだから、いい年こいて恥ずかしい話である。それでも、その日が大晦日で、なんとなく半分以上お正月気分に浮かれていたからこその話で、他の日だったら見向きもしなかったかもしれない。500mlのペットボトルくらいの高さで、1.5倍くらいの太さのあるカプセル状の形をしているが、中身は見えない。その中になんと「世界中に散らばるドラゴンボールを七つ集めると出現して、どんな願いも叶えてくれる」あの神龍(シェンロン)のフィギュアが入っているという。これは欲しい、どうしよう・・。


 1個700円。神龍が入っている確率はおそらくかなり低いだろう。それ以外にはいくつかの種類のフィギュアの写真がポスターに載っているが、私が欲しいのは神龍のみ、それはまさしく運試しのようなもの、さあ、どうする?
 などと逡巡したのはほんの一瞬、すぐにレジのお姉ちゃんに千円札を渡してしまった。「どれでもいいですよ」と言いながらおつりを渡してくれたお姉ちゃんが見守る中、箱の中にずらりと並んだ5×5=25本の真ん中にあった1つを勢いよく抜いた。「やっぱり真ん中でしょう、当たりは」などと意味不明のことを言いながら、お姉ちゃんに「中身見たい?」と聞くと、「見たいですぅ」と調子のいいことを言う。「よおし、神龍出て来い!」と気合を込めて開けてみた。だが、出てきたのはこんなもの・・。

 

 左はベジータが変身した後の大猿の形をした高さ6cmほどのフィギュア。まあ、ベジータは好きだから、「これでもいいや」という感じ。右は、何だか訳の分からない緑の気持ちの悪い奴ら・・(後で高校生に聞いたら「サイバイマン」とかいう名前のザコキャラらしい)。この緑色の物体を見たら、さすがにちょっと勿体無かったかな、という思いがしてきた。
 
 明けて元旦にもコンビニに行ったことはこのブログにも書いたが、実はそのとき、前日のリベンジを果たしてやろうという思いを心に秘めていた。「やっぱり神龍欲しいよなあ・・」などと思いながら、勢いよく扉を開けたら、ない。わずか一日前にあんなにたくさんあったボトルが一本もない!びっくりして前日と同じお姉ちゃんにたずねてみた。「ドラゴンボールは?」「ああ、あれですか・・。午前中に来たお客さんが全部買って行ったそうですよ」「えっ、箱買いしてったの?」「はい、そうみたいです」「バカじゃん・・」
 そう言ってみたものの、自分も右手に何枚か千円札を握っていたのだから、同じくらいバカなのだけど・・。
 まあ、年末ジャンボも大はずれだった私では、いくら使っても神龍は当たらなかっただろうから、バカなことにお金を使わずに済んだだけよかったのかもしれない。でもやっぱり悔しいから、探してきた神龍の写真だけでも載せておこうっと・・。


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見つかったけど・・

 財布は昨夜遅くに見つかった。だけど、見つけた所がどうにも解せない・・。
 
 昨夜記事を書き終え、もう一度探してみるべく塾舎を出ようとしたとき、はっと思いついて初詣で引いた御神籤を取り出してみた。
  「失せ物 出る 高い処」
これだけはっきりしたご託宣があるのだから、「高い処」を探せば見つかるに決まっている、そう心を奮い立たせて家に戻った。息子に両替をしてもらったのは、台所の隣の、妻のPCが置いてある六畳ほどの部屋で、風呂への通路でもあり、納戸のような所でもある。PCの他にも日用品が色々置いてあり、その時は娘と息子の手荷物も雑然と置かれていて、さらには私の脱ぎ散らかした衣服も片隅に積み重なっていたりして、正月とはいえ、一番片付いていない部屋であった。そんな所で「高い処」と言えば、妻のPCが置いてある机の棚か、私の部屋に通じる階段くらいしかない。もうその辺りは何度も調べたが、念には念を入れてもう一度確かめてみた。が、やはり見つからない。あの夜はこの部屋と居間と台所をうろちょろしていただけだから、「高い処」が二階を指すとは思えない。じゃあ、と居間の戸棚も調べてみたが、やはりない。台所には「高い処」と呼べる所はないから、調べるまでもない。
 「どうもこの御宣託は残念ながら外れのようだ・・」
と嘆息しながら、今夜は諦めて風呂に入って寝よう、と部屋の隅に置いてあるパジャマを手に取ろうとした。するとその下に隠れていたジーパンまでもパジャマに絡んで一緒に拾い上げてしまった。
 「もうちょっとこのあたりも整理しなくちゃな」
と思って、ジーパンを軽くたたんでおこうと手元に寄せた瞬間、ポケットに何かが入っている感触がした。
 「えっ、まさか?」
と思いながらも慌てて探ってみたら、ビンゴ!!、財布だった!!
 「やったあ、見つかった!」
財布のことが一日中重く心にのしかかっていただけに、全身が安堵感でいっぱいになった。もしこのまま見つからなかったら、面倒なことになるところだった。だって、財布には○○○が入っていて、見つからなかったら○○不携帯のまま、◇◇を△△しなくちゃいけなかったから・・・。(伏字にしておかなくちゃまずい)
 本当によかった、安心した、嬉しかった!!

 でも、次の瞬間自分で自分ことが分からなくなってしまった。どうして財布がジーパンのポケットの中に入っていたんだろう?もちろん私が入れたのだろう、そんな記憶がないのは酔っ払っていた証拠なのだろうが、いくら酔っていたってジーパンに財布を入れるという行動がどうしても理解できない。私は家に戻るとすぐにズボンをジャージに履き替えることにしている。その夜も塾が終わって家に帰るとすぐに履き替えていた。初ゑびすもそのジャージのまま出かけるつもりだったから、ジーパンに履き替える気などまるでなかった。だから財布をジーパンに入れるはずがない。財布を捜していたときも、ジーパンのことなど考えもしなかった。それなのに・・。おかしい。
 いったいどうしたのだろう?無意識の行動といっても己の理解を超えるようなことはするはずもない。無意識だからこそ、余計に己のいつもの枠内で行動するのではないだろうか。だから、無意識に持っていたはずの何かが見当たらなくなっても、少し落ち着けばすぐに見つかるのが通常だ。なのに、今回は意識が飛んでしまった瞬間に、普段の自分なら絶対とらないような行動に出てしまっている。まさしく自分の枠を越えてしまっている。異常だ。これでは素面の自分が見付け出せるはずがないではないか。
 何だか近頃こうしたことが時々ある。大丈夫だろうか、私?
 
 最近父が少し酔っ払うと見るも無残なほどの醜態を晒すようになってきたのに手を焼いているが、私の体たらくぶりも父とさほど変わりがないように思える。父と私は25歳違うから、25年前の父が今の私ほど危なっかしかったかどうかを思い出してみればいいのだが・・。
 どうも私の方が老化が早いような気がする・・。これじゃあ、駄目だ。心せねば!!
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困った!!

 昨日娘が京都に戻り、今日は息子が東京に帰っていく。家の中の喧騒が消え、冬の寒さが一段と身に沁みてくる寂しさはあるが、わずかの日数であっても子供たちと共に過ごせたのは実に楽しかったから、それを心の糧にしてまた会える日まで頑張ろうと思っている(息子は成人式に参加するため、週末には舞い戻ってくる予定だが)。
 年が明けて2日から塾で授業をしているが、塾舎を見回してみると、大晦日の大掃除が例年と比べ、やり忘れた箇所がいくつも見つかって、いったい私は何をやっていたんだろう、と何度も嘆息している。思いつくだけでも、
 ・廊下の雑巾拭き
 ・一階の土間の掃き出し
 ・いくつかの教室のエアコンの掃除
などを忘れていた。例年だったら、これらはきちんとやり終えているはずなのに、どういうわけだかやってなかった。どうしてだろう?
 毎年末、塾の授業は30日の6時半で終わり、残りの時間は大掃除の下準備のため、机を廊下に出したり、少し掃除機をかけたりして、31日に掃除が手際よく進む段取りをしておく。それが昨年末は日程の関係で最後の授業を終えたのが11時だったので、そうした準備をする時間がなかったのが主たる原因だったと思う。だが、今思い返してみると、どうもそれだけではないようだ。準備ができていない分、私がいつもの倍くらい張り切って、釈迦力になってあちこち飛び回ったものだから、昼頃にはヘトヘトになってしまった。昼休みの後、掃除に取り掛かろうとしても、疲労で気力が萎えてしまい、塾舎の掃除を仕上げるのが面倒になってしまった。「もうこれくらいでいいか・・」とは思ったが、「それじゃあいけない」と気を取り直したものの、次の瞬間、「己の気持ちを再び高揚させるためにはやっぱりビールだろう」などという安直な考えに身を任せてしまった。それが午後の3時・・。
 確かに「やらねば!」という気は再び戻ってきたが、調子に乗ってどんどん缶を開けて、いつの間にかかなり酔っ払ってしまった。もうこうなると、気持ちはあっても体が動かなくなり、終いには「終了!!」といい加減なところで妥協してしまい、やり残したことをそのままにして、自分の部屋の掃除に取り掛かってしまった。
 かと言って、自室の掃除をきちんとしたわけでもない。こちらはもっといい加減で、毎年の半分くらいのことしかやってない。
 ・窓拭き
 ・トイレの掃除
 ・本棚などの雑巾がけ
これらがまったく手付かずのままだ・・。一応、本棚の整理はし、掃除機だけは念入りにかけたのは覚えているから、ぱっと見はきれいに片付いているようだが、細かいところは見るに堪えない状態だ・・。
 だが、年末から正月にかけて、酔っ払うと箍が外れるのがずいぶん早くなったように思う。家族の新年会では大して飲んでもいないのに、記憶がところどころ途切れている。まあ、後で家族からブーイングを浴びせられるような醜態は見せなかったようだから、それだけは救いだが・・。でも、今現在家族から大顰蹙を買っていることがある。それは・・、
 初ゑびすに行く前に、参拝に便利なように一万円札を息子に千円札10枚と交換してもらい、それを財布にしまい込んだ、そこまでは確かに覚えている。だが、次の瞬間からまったく記憶がない。その財布をどこにやったんだろう?「さあ、出かけるぞ」とみなに声をかけて準備をし終えて、「あれ?財布は?」とあちこち探してみたが、見つからない。「どこにやったんだろう?」と半ばパニック状態になってしまったが、もう出かけなくちゃいけない。仕方なく妻に一万円借りて大慌てで出かけた。落雁をもらって上機嫌で戻ってきて、改めて探してみても見つからない。ほんの一瞬のことなのに・・。財布を最後に見た時はすでにかなりビールを飲んでいたから、酔いとともに記憶がどこかに飛んでいってしまったようだ。
 諦めてその夜は寝たが、翌朝明るくなっても見つからなかった。結局昨日一日は隅々まで探してみたがどこにもなかった。お金は一万円入っているだけだが、カードなど色々と大切な物も入っているから、すぐに出てきてくれなくちゃ困ってしまう。「探すのを止めた時見つかることもよくある話で」などと悠長なことは言ってられない。本当に困った。
 「おーい、財布、すぐに出て来てくれぇ!!」
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初ゑびす

 正月5日は初ゑびす、夜中12時から祈祷が始まる。毎年4日の夜の授業を終えた後で出かけるものだから、お寺に着くのは12時近くになってしまう。ところが、今年は4日が日曜日なので授業は6時半で終わる。これはチャンスだ!と日程表を作ったときに思った。何がチャンスかといえば・・。
 私が毎年初ゑびすに行くお寺は、先着50人に鯛の落雁を配ってくれる。いつもなら私が着くころには長蛇の列ができていて、とてもそんな光栄に浴することはできない。もう30年近くも毎年行っているが、今までに3回くらいしか頂いたことはなく、列の前方で鯛を受け取っている人を見ると羨ましくて仕方がなかった。それが今年は早く出発できる!そう思うと何だかワクワクしてきて、年が明けてからずっと楽しみにしてきた。娘と息子もまだ家にいると言っていたので、11時に出発するぞ!と何回も念を押しておいたし、父にも「鯛がもらいたいから」といつもより早く出る理由を説明しておいた。父は「鯛なんかもらっても有難くないだろう」とへそ曲がりなことを言ったので、「娘がうまく就職できるように縁起担ぎをしたいから」と私が答えると、孫娘に弱い爺は「分かった」と素直に返事をした。
 
 などという思惑を秘めながら息子の運転で出発したのが11時過ぎ、これなら多分大丈夫だろうと高をくくっていたのに、寺に着いたらもう相当の数の人が焚き火を囲んで待っていた。これは微妙なところかな・・、と思いはしたがこれ以上早く出かけることは無理だったので、仕方ない、運良く50人以内になればいいが、さもなければすっぱりあきらめようと覚悟を決めた。

 

 例年と比べればさほど寒くはなかったが、さすがに長時間並んでいると手足がかじかんでくる。交互に焚き火で暖を取りながら、12時を待った。
 
 12時になったのは鼓の音が境内に鳴り響いて分かった。自分より前に並んだ人の数をざっと見ると50人近くはいるように思える。微妙なところだな・・、と娘や息子と話すうちに私の順番になった。前に並んだ人のところで落雁は切れてしまったように思えた。やっぱり駄目だったか・・、とあきらめた瞬間にもう一箱落雁が並べられた箱持ってこられた。「やった!!」と嬉しさは胸に秘めていると、後に続いた父・娘・息子、すべてが落雁をもらえた!!なんて運がいいんだろう!!


 何だかものすごく幸せな気持ちなれた。私の分は塾に祀り、父の分は家の神棚に祀った。娘と息子の分は、伯母と従姉妹の家に渡すことにしたが、早く家を出た甲斐が本当にあった。帰りの車中、父も私も子供たちも気持ちがハイになってやたら大声で喋ってきた。ちっぽけだけど大きい、そんな運だめしを重ねながら、私たちの新しい年は次第にその姿を顕わにしていくのであろう。
 がんばれ、私たち!!!
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レコーディング

 毎年のことではあるが、正月はビールばかり飲んでいる。自分としてはそんなに飲んでいるつもりはないが、翌朝目覚めると軽い二日酔いになっているから、やっぱりしっかり飲んでいるのだろう。まあ、折角のお正月だから周りに迷惑をかけない程度なら、少しくらい飲みすぎてもいいではないだろうか。
 と言っても、ビールが主食になると固形物をお腹に納める気がしなくなってしまうのは困ったものだ。以前はビールを飲んでもしっかりご飯を食べていたのに、ここ最近はあまり食べなくなってしまった。ビールでお腹が膨れてしまうわけではないが、何となく食べる気がしなくなるのは何故だろう。
 そこで31日から自分が食べたものを書き出してみて、これからの参考にしてみることにした。

31日
朝・・パン(チョコサンド)1個
昼・・モスバーガーでフィッシュサンド1個とエビバーガー半分
夜・・ビールたくさんと刺身少々
年越し蕎麦1杯

1日
朝・・雑煮3個
昼・・コメダでエッグサンド半皿
夜・・ビールたくさんとすき焼きで野菜をすする 柿ピーの小袋3つ

2日
朝・・とろろ、お茶碗に小盛り5杯
昼・・ワッフル1個
夜・・ビールたくさんと鰻の長焼き数きれと鰻巻き2きれ アイス饅頭1個

3日
朝・・雑煮3個
昼・・なし
夜・・カニ鍋とご飯1杯 柿ピー小袋2つ ビールひかえめ
 
 こうやって書き出してみると改めていい加減な食生活を送ったことがよく分かる。少し前に話題になったレコーディングダイエットも自分がどれだけ太る努力をしていたかを認識するためには有効な方法だと言われているが、確かに文字にして振り返ってみると看過しがちな己のいい加減さを知ることができる。
だが、いくらお正月の間だけの無茶だと言っても、もう少しちゃんと食べるようにしなくてはいけない。2009年最初の反省事項だ。


 なお、3日の夜に食べたのはアツアツのご飯にほぐしたカニの身をたっぷり乗せて、上からマヨネーズをかけたもの。かき混ぜて食べると、これが何とも言えず美味!!お試しあれ!



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お正月

 やはり2日が一番お正月な気がする。2日の朝はとろろと決まっている我が家は、8時半になると妻が私を起こしに来た。前夜のビールが残っている私は、かなりふらふらしながらも、何とか擂り粉木を握って役目を果たした。思わず力を込めたため全身汗びっしょりになり、サウナに入ったように酔いが醒めた。服を着替えながら、「今年も一生懸命がんばろう!」と気合を込め、ユンケルを飲んだらもういつもの塾長モードになれた。
 とろろご飯はおいしかった。正月2日の朝にとろろをすする習慣がどれだけの地方に広まっているのかは知らないが、私には当たり前のこととなっている。
 当たり前と言えば、この後の時間のすごし方はここ20年近く決まりきったものとなっている。3時に塾を終えると、母方の親戚が集まるところへお年玉の交換に行く。と言っても、二十歳になった息子は今年がお年玉をもらえる最後の年であり、「交換」と言えるのは今年までだ。


 これだけのお年玉を用意するのは大変だが、こういう機会にしか会えない親戚もいるので、正月の一大イベントとして私には欠かすことができない。この席でかなり酔いが回るのだが、続いて私の兄弟家族を集めた新年の食事会が父の主催で開かれる。ここでもしこたま飲んでしまう私は、もうヘロヘロの酩酊状態になってしまう。だが、誰にも気兼ねが要らないこの時こそが一番己を開放できるのかもしれない。(開放しすぎて周りに迷惑をかけるのもしばしばだが・・)


 甥っ子が注文したひつまぶし。弟が「4分の一に分けて最初はそのまま、次に薬味をのせて食べ、その後は出汁をかけて、最後は自分の好きなように」と薀蓄を傾けていたのは面白かった。その通りに甥っ子が食べたかどうかは、記憶がないのは酔っ払った印なんだろうな・・。
 そう言えば、書初めをした。娘が今年の抱負をしたためたいと言って何枚も己を鼓舞する言葉を書き連ねていたが、父と私がそれに便乗した。

 

 父はオーソドックスに「謹賀新年」。私はどういうわけか思いついた「我が心石に非ず」と書いたつもりが、「心」が抜けてしまった。確かに「心」無い男ではあるが、これじゃあ新年の抱負とはいかないよなあ、さすがに・・。
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元旦から

 寒い元旦だった。雑煮を食べてぼーっとテレビのお笑い番組を見ていたら、小腹が空いてきた。何か食べに行こうと外に出たら空気が冷たい。空を見上げると晴れ上がって気持がいい。こんな感じでいい年になればいいな、と思った。 Denny's に行くつもりで出発したら、娘の「コメダがいい」と言い出したので、おとなしくそれを受け入れた。しかし、コメダは特に混んでもいなかったのに注文したものがなかなか来ない。その間に私はまだ書いていない親戚や友人宛の年賀状を書いてしまった。それでもまだ注文したものが来ないので、先に郵便局まで年賀状を出しに行くことにして、一人歩いて行った。
 このごろは元旦と言っても交通量が多く、あまりお正月といった雰囲気は感じられない。外はやはり寒い。コメダでじっと待っていればよかったかな、と少し後悔したが、走れば暖まるかな、と小走りになってみた。頬を切る風は冷たいが、元旦早々から走るなんてことは初めてだから、何だか気分がハイになって妙に一生懸命走ってしまった。息を弾ませながらコメダに戻ったら、やっと注文した品がそろっていたので、アイスティーを飲んで息を整えた。だが、いったい何分待たされたのだろう。
 帰り道妻がスーパーに寄ると言う。「元旦から?」と聞くと、息子が蒲鉾を食べてしまって買い置きがなくなったので、買いたいのだそうだ。元旦からスーパーって言うのも何だか味気ない気もしたが、息子が「食べたい」と言ったので、寄ることにした。店内には驚くほどたくさんの人がいた。わざわざ元旦に買い物しなくても・・、と思ったが、「働いている人たちは大変だな」と心から思った。会社が開店すると言えば、それに従わねばならないのだろうが、出掛けはさぞや億劫だったろうな、と要らぬお節介を思ってしまった。
 その後伯母の家に新年の挨拶に行った。2時間ほどとりとめのない話をしてから、家に帰ったら、玄関の門灯の電球が切れているのに気がついた。散歩がてらコンビニまで買いに行くことにした。もう日暮れも近い頃で、一段と寒さもきつくなってきたが、一人ブラブラ歩いていった。途中、年末に火事で全焼したふとん屋さんの横を通って、惨状を眺めた。まだ焦げくさい・・。

 

何も元旦から写真を撮らなくてもいいのに・・とも思ったが、イスラエル軍がガザ地区を空爆して多くの犠牲者を出しているというニュースを聞いていたので、規模ははるかに小さいにせよ、今現在世界ではこうした惨状が日常的に起こっているんだ、と心の隅にでも覚えておくことは大切だと思って、写真を載せることにした。 
工事関係者のガスバーナーが火事の原因であると公式に認められたようだが、それにしても住む家と工場がなくなってしまったふとん屋さんは正月気分などまったく無縁なんだろうな、と思うと、くれぐれも火元には注意しなければいけない!という思いを強くした。
 コンビニに電球は売っていなかったが、帰り道見上げた空には三日月と金星が並んでいた。


 星や月の視点から私たちの暮らしを見たら、どう見えるだろう。ちっぽけなつまらないものに見えるかな、私は結構楽しいんだけど・・。
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