じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

恩田陸「悪い春」

2021-09-23 17:59:13 | Weblog
★ 2000年頃だったか、森内閣で「奉仕活動」という言葉が賑わった。森首相の持論を具現化しようとしたのだろうが、「徴兵制」まで目論んでいるのではないかと批判され、結局、森内閣の倒閣と共に消えていったように記憶している。

★ さて、恩田陸さんの「悪い春」(小説トリッパー編集部編「20の短編小説」所収)を読んだ。近未来、あるいはパラレルワールドの出来事。そこの日本では「平和サポートボランティア」などという美辞をまとった「兵役」が実行されていた。

★ 「ボランティア」の原義通り「志願制」の兵役ではあるが、その参加が就職や進学に有利になるということで、暗に半強制的なシステムになっている。

★ 以前、現代のアメリカに関するルポ(岩波新書だったと思う)を読んだ。経済格差の拡大。進学や生計を得るために、軍隊に入る若者が描かれていた。

★ 安倍内閣は憲法の「(何人も)その意に反する苦役には服させられない」(第18条)を示して、徴兵制を否定していたが、「苦役」の解釈変更や集団圧力による実質的な強制がなされないとも限らない。

★ 恩田さんの作品の中にもあったが、「平和」と付けりゃ何でも許されるものでもない。権力の横暴を許すまじ。コロナ禍で「緊急事態条項(戒厳令)」がささやかれる中、一層気をつけねばと思った。
コメント