じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

ETV特集「連合赤軍 終わりなき旅」

2019-09-17 22:52:22 | Weblog
☆ ETV特集「連合赤軍 終わりなき旅」(2019年)を観た。力のこもったドキュメンタリーだった。

☆ 1971年から72年にかけて「あさま山荘事件」や「リンチ殺人事件」など起こした連合赤軍。当時の構成メンバーの証言を基に、なぜ彼らの「革命」という理想が「私刑」という現実に終わってしまったのか、服役を終えた彼らがどのようにその後の人生を歩んできたのかを描いてきた。

☆ 若松孝二監督の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(2008年)では、森や永田と言ったリーダーの在り方に焦点が当てられていたが、この番組ではその点は軽く抑えるにとどまっていた。

☆ オウム事件との類似性を改めて感じた。ある条件がそろえば、誰でもそういう組織に入り込む可能性があり、組織自体が変質、先鋭化、過激化する中で、もはや抜けられなくなっていく人間の性向と言うものを感じた。

☆ 戦争と言う国家的犯罪についても考えさせられた。
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横山秀夫「動機」

2019-09-17 21:05:38 | Weblog
☆ 横山秀夫さんの「動機」(文春文庫)から表題作を読んだ。

☆ 貝瀬正幸、44歳。ある県警警察本部企画調査官。階級は警視。父は交番勤務の警察官として職務を全うし、彼はその父親の姿を見て警察官を志した。

☆ 彼は若手のホープとして着々とキャリアラダーを登ってきた。非番の日は警察手帳を署内で一括管理する。古手の刑事などからの反発を受けながらも、彼はこの提案を実行までこぎつけた。ところが、署内で保管されていた警察手帳30冊が紛失したという知らせが飛び込んできた。

☆ 彼に対する評価は一転。彼は紛失の謎を解明しようとする。

☆ キャリアとノンキャリア、星の数で階級が変わるピラミッド社会。刑事畑と管理部門、それに任官の先輩後輩が絡んで、警察官の複雑な人間模様が迫力満点で描かれていた。

☆ 単に事件の解明だけではなく、登場人物の内面まで考えさせてくれるところが良かった。
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池波正太郎「食卓の情景」

2019-09-17 18:38:00 | Weblog
☆ あまり時間がなかったので、池波正太郎さんの「食卓の情景」(新潮文庫)から「惣菜日記」「母の好物」「鮨」「料理とサービス」を読んだ。

☆ 「惣菜日記」は毎日の献立を記録したもの。執筆に入ると4日も5日も家に閉じこもりになるとか。そんなとき食事が唯一の楽しみだという。奥様のご苦労は大変だろうなぁ。でも料理と言うのは人に食べてもらうと思うと気合が入るもの。

☆ 池波さんの生活リズム、昼食、夕食、夜食、そして朝の5時まで仕事というのに驚いた。作家の仕事も大変だね。

☆ 「鮨」は本当にうまそうだ。京都の三条小橋あたりにも名店があったんだ(今は移転したようだけれど)。店主が命がけで握る鮨って食べてみたいなぁ。

☆ ふぐ料理。なかなか庶民には縁遠いが、池波さん御贔屓の店は旬の半年間しか店を開けないという。そうしたすべてのおもてなしが値段に反映しているようだ。

☆ そして「しゃぶしゃぶ」。家で食べてもうまいが専門店で食べると格別だ。私も大阪の専門店で食べて感動した覚えがある。最近はなかなか行けないが、食道楽ができればいいなぁ。

☆ 今はイマジネーションでご馳走様ってところかな。
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江戸川乱歩「D坂の殺人事件」

2019-09-16 23:38:42 | Weblog
☆ 「江戸川乱歩傑作選」(新潮文庫)から「D坂の殺人事件」を読んだ。明智小五郎の登場だ。

☆ D坂の古本屋の細君が殺された。絞殺だった。犯人はどこから侵入し、どこから脱出したのか。犯人を目撃した2人の学生の証言も食い違う。

☆ 作者が導いた結論は、明智小五郎が犯人だというもの。明智は高笑いをしてこれを否定。事の顛末を解説するというもの。

☆ 大正時代にこれほどの作品があったとは。明智小五郎は現代で言えばガリレオか、古畑任三郎か。それともコナン君か。
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谷崎潤一郎「途上」

2019-09-16 21:20:50 | Weblog
☆ 江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」を読んでいたら、谷崎潤一郎の「途上」が紹介されていたので、まずそちらを読んだ。

☆ 谷崎潤一郎と言えば艶めかしい作品のイメージがあったので、犯罪小説を書いていたのが驚きだった。

☆ 先妻をチフスで亡くした男のもとへ私立探偵がやってきた。路上を歩きながら、探偵が男の完全犯罪を暴いていくというもの。

☆ ある意味完全犯罪で、男の殺意を証明する証拠は何もない。ただ実に偶然性に頼った犯罪だと思った。気長に時間をかければ、そして運が良ければ、完全犯罪も可能だということか。

☆ さて、「D坂」に戻ろう。
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映画「FLU 運命の36時間」

2019-09-15 22:57:23 | Weblog
☆ 映画「FLU 運命の36時間」(2013年)を観た。

☆ 最近、日本映画はコミックの実写化が多くてつまらない。それにひきかえ韓国映画は面白い。

☆ 「FLU 運命の36時間」は、鳥インフルエンザがアウトブレイクすればというパニック映画。町を閉鎖して住民を隔離したり、初期段階で政治家たちが有効な手を打てないところは、カミュの「ペスト」のようだ。

☆ 病原体が原因ではないが、「マーシャル・ロー」(1998年)も思い起こさせる。「感染列島」(2008年)はどんなだったかな。ダスティン・ホフマンの「アウトブレイク」(1995年)は記憶に残っている。あれは細菌兵器が原因だったよね。

☆ 大統領と首相、首相の後ろ盾の在韓アメリカ軍。ちょっと大統領がヒーローになりすぎているようにも思うが、そんなことを言ったら「インデペンデンスディ」などはもっとありえない。

☆ 子役の女の子が名演だ。
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荻原浩「トンネル鏡」

2019-09-15 14:15:23 | Weblog
☆ 荻野浩さんの「月の上の観覧車」(新潮文庫)から「トンネル鏡」を読んだ。ある男の半生。ジーンとくる話だった。

☆ 男は故郷に帰る新幹線の中にいる。日本海にある故郷に帰るところだ。繰り返されるトンネルの明暗に照らされながら、母親から逃げるように故郷を発った日を思う。

☆ それから、就職、結婚。夫になり、父になった。母を呼び寄せ同居もした。そして嫁姑の狭間でもがいた。妻との溝が深まり遂に離婚。今、50歳を前に再び故郷に帰ろうとしている。

☆ 年表で書けばそれだけのこと。しかし、そこには一人の男の人生が詰まっている。

☆ それを車窓の風景と共に描いてくれている。まだ半生が残っている。思わず励ましたくなる。
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江戸川乱歩「二銭銅貨」

2019-09-14 20:37:27 | Weblog
☆ 「江戸川乱歩傑作選」(新潮文庫)から「二銭銅貨」を読んだ。江戸川乱歩の処女作で大正12年に発表されたものだという。

☆ 少々翻訳調は気になるが、そのトリック(とその謎解き)と言い、ユーモアあふれる物語展開と言い、斬新さに驚かされる。

☆ 話はある工場の給料を奪った大泥棒の話から始まり、彼が奪った大金のありかを求めて、二銭銅貨に隠されたメッセージの解読に読者を誘う。

☆ 「踊る人形」の暗号を解読したのはシャーロック・ホームズ(コナン・ドイル作)だっただろうか。それに匹敵する面白さだった。

☆ 作品中、ホームズもポーの名前も登場するから、彼らの作品を読んだ上での、日本語に生かしたものなのだろう。

☆ 最後まで一ひねりがあって、面白かった。
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乙一「失はれる物語」

2019-09-14 18:11:15 | Weblog
☆ 学生時代に「ジョニーは戦場へ行った」(1971年)を観た。第一次世界大戦、戦場で傷を負い、首をわずかに動かせる以外のすべての感覚を失った男の独白が描かれていた。わずかに動く首で伝えたモールス信号の内容は・・・というものだった。

☆ 乙一さんの「失はれる物語」(角川文庫)から表題作を読んだ。交通事故に遭遇し、右腕のわずかな感覚だけを残してあらゆる機能を失った男性の話。

☆ 静寂と暗闇の世界。生きているのか死んでいるのかさえわからない。どれほど時間が経過しただろうか。わずかに右手の指の動きを感じた。誰かがそれに触れるのを感じた。妻の手のようだ。ピアノを弾く妻は、わずかに残った右腕の皮膚の上で曲を奏でてくれる。その微妙なタッチの違いから、男は妻の心の揺れを感じる。

☆ 数年の時が流れ、男が下した決断は・・・。

☆ なんともやりきれない物語だ。もし自分が同じ境遇ならと考えると恐ろしくて仕方がない。人間が生きているとはどういうことなのか。

☆ 「生きている人間と肉塊の境界はどこにあるのだろうか」。男の心の叫びが痛々しい。
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「誰が聖書を書いたのか」

2019-09-14 14:36:47 | Weblog
★ ヒストリー・チャンネルで「誰が聖書を書いたのか」を観た。面白かった。

★ 1から3まであり、1は主に旧約聖書について、2は主に新約聖書について、3はまとめといった感じだった。

★ 結論から言うと、聖書はさまざまな作者によって書かれ、それが書写され、小アジアから地中海地域に伝播し、ヘブライ語、エジプト語、ギリシャ語と翻訳され、誰か(複数の人々)が編集して「聖典」として今の形になった。聖書は全集であるという。

★ 旧約聖書の箱舟伝説がオリエントの物語を土台にしていたり、敦煌のように古い経典が石窟に隠されていたり、1000年に渡る国家の興亡があったりと、興味深かった。

★ 古代史、それも紀元前1000年とか2000年とか、遥か昔の時代が面白く感じる。文字がない時代にも人類の歴史は確実にあり、私の先祖もどこかで日々の生活にあくせくしていたのだと思うと近親感を感じる。
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