★ 日本推理作家協会「ミステリー傑作選 プレイ」(講談社文庫)から柴田哲孝さんの「初鰹」を読んだ。
★ 麻布十番の「味六屋」は主人の久保田銀次の腕前と女房兼女将である町子の艶姿に魅かれて各界の名士が集まる店だ。今日は初鰹が入ったとかで、馴染みの客がその味を楽しんでいる。
★ 客の中に木崎という男がいた。どこかの会社の役員らしいが、その男は鰹を刺身でしか食べない。どうやら先ごろ亡くなった奥さんが和歌山の出身で、そこで食べた鰹の味が忘れられないらしい。
★ 鰹など和歌山産であろうと千葉産であろうと、新鮮なものであればそれほど味が変わるものではない。かつて「流れ板」として、全国各地で修業を積んだ銀次、考えたあげくはたと思い当たった。
★ ある週末、女房の町子を伴って鰹探しの旅に出る。向かったのは和歌山でも海でもなく、埼玉県の山間部だった。
★ 味ミステリーと言う感じ。木崎はなぜ、銀次の鰹を和歌山産だと思ったのか。
★ 刑事モノや探偵モノもいいけれど、料理モノでもミステリーができるのだ。いい味が出ている。和歌山湯浅の角長か埼玉・弓削多の生醤油で鰹の刺身が食べたくなった。酒は「八海山」か。舌の上でとろけるもっちりとした食感。醤油の風味。文章を読んで涎が出てくる。「もろみ」って「諸味」って書くんだと改めて感心した。
★ 麻布十番の「味六屋」は主人の久保田銀次の腕前と女房兼女将である町子の艶姿に魅かれて各界の名士が集まる店だ。今日は初鰹が入ったとかで、馴染みの客がその味を楽しんでいる。
★ 客の中に木崎という男がいた。どこかの会社の役員らしいが、その男は鰹を刺身でしか食べない。どうやら先ごろ亡くなった奥さんが和歌山の出身で、そこで食べた鰹の味が忘れられないらしい。
★ 鰹など和歌山産であろうと千葉産であろうと、新鮮なものであればそれほど味が変わるものではない。かつて「流れ板」として、全国各地で修業を積んだ銀次、考えたあげくはたと思い当たった。
★ ある週末、女房の町子を伴って鰹探しの旅に出る。向かったのは和歌山でも海でもなく、埼玉県の山間部だった。
★ 味ミステリーと言う感じ。木崎はなぜ、銀次の鰹を和歌山産だと思ったのか。
★ 刑事モノや探偵モノもいいけれど、料理モノでもミステリーができるのだ。いい味が出ている。和歌山湯浅の角長か埼玉・弓削多の生醤油で鰹の刺身が食べたくなった。酒は「八海山」か。舌の上でとろけるもっちりとした食感。醤油の風味。文章を読んで涎が出てくる。「もろみ」って「諸味」って書くんだと改めて感心した。