じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

柴田哲孝「初鰹」

2022-03-19 13:13:52 | Weblog
★ 日本推理作家協会「ミステリー傑作選 プレイ」(講談社文庫)から柴田哲孝さんの「初鰹」を読んだ。

★ 麻布十番の「味六屋」は主人の久保田銀次の腕前と女房兼女将である町子の艶姿に魅かれて各界の名士が集まる店だ。今日は初鰹が入ったとかで、馴染みの客がその味を楽しんでいる。

★ 客の中に木崎という男がいた。どこかの会社の役員らしいが、その男は鰹を刺身でしか食べない。どうやら先ごろ亡くなった奥さんが和歌山の出身で、そこで食べた鰹の味が忘れられないらしい。

★ 鰹など和歌山産であろうと千葉産であろうと、新鮮なものであればそれほど味が変わるものではない。かつて「流れ板」として、全国各地で修業を積んだ銀次、考えたあげくはたと思い当たった。

★ ある週末、女房の町子を伴って鰹探しの旅に出る。向かったのは和歌山でも海でもなく、埼玉県の山間部だった。


★ 味ミステリーと言う感じ。木崎はなぜ、銀次の鰹を和歌山産だと思ったのか。

★ 刑事モノや探偵モノもいいけれど、料理モノでもミステリーができるのだ。いい味が出ている。和歌山湯浅の角長か埼玉・弓削多の生醤油で鰹の刺身が食べたくなった。酒は「八海山」か。舌の上でとろけるもっちりとした食感。醤油の風味。文章を読んで涎が出てくる。「もろみ」って「諸味」って書くんだと改めて感心した。 
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今野敏「薔薇の色」

2022-03-18 15:00:19 | Weblog
★ ドラマ「准教授・高槻彰良の推察」第1シーズンを観終わった。予想以上に面白かった。1回ごとの怪奇現象(実は本当の怪奇現象ではない)とシーズンを通しての謎(高槻准教授の過去と新入生・深町君の苦悩)がうまくミキシングされていた。高槻准教授役の伊野尾彗さんの語り口調が良い感じだ。(伊野尾さんが週刊誌を騒がせているのがちょっと心配)

★ さて、今日は日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 プレイ」(講談社文庫)から今野敏さんの「薔薇の色」を読んだ。

★ 一仕事終えて、行きつけのバーでささやかな休息を楽しむ4人の刑事。1人の刑事が他の刑事にクイズを出す。そのバーでは一輪挿しを飾っているが、時には赤い薔薇を、時には黄色い薔薇を挿している。今日は黄色で、回数的には赤が圧倒的に多い。黄色い薔薇の意味は何かという。

★ 余興のつもりで始めたものの、そこは観察眼と推理力が試される刑事。つい本気になってしまう。刑事それぞれの個性が出て楽しい。読みながら読者も推理ゲームに参加させられてしまう。果たして黄色い薔薇の意味は・・・。

★ ページ数にして30ページ弱。昼食後に読むにはちょうど良い長さだ。
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奥田英朗「彼女のハイヒール」

2022-03-17 16:09:46 | Weblog
★ 京都府公立高校中期入試、塾生は全員第一志望に合格。これで肩の荷がおりた。塾の1年が終わった。そして新たな1年が始まる。

★ すでに前期入試で合格した生徒が高校の課題をしていた。現代文、読解の基礎のようだ。前半を終えて、すでに後半。後半は文学作品だ。

★ 生徒が「ここのところがわからない」と言った。三浦しをんさんの「舟を編む」の一節だ。馬締くんが香具矢さんと遊園地でデートをするシーン。地味な遊具、観覧車に乗りながら、料理人の香具矢さんが仕事のことを語り、馬締くんも自分の仕事(辞書づくり)も一緒だというところ。映画は観ていたが、記憶に残っていなかった。文章で読むと含蓄のあるやりとりだ。

★ 設問は「『観覧車』は、馬締と香具矢の仕事に対する姿勢を象徴的に表現している。その特徴が描かれた箇所を、二十字以内で抜き出そう」というもの。「静かに持続するエネルギーを秘めた遊具」あたりが解答だと思うが、そんなことはさておき、良い作品だと思った。そう言えば原作を読んでいなかったなぁ。

★ 続いての出題は南木佳士さんの「阿弥陀堂だより」から。この作品も映画で観た記憶がある。阿弥陀堂を守るおばあさん役が北林谷栄さんだった。寺尾聰さん、樋口可南子さんが夫婦役で、小西真奈美さんがかわいかった。それはともかく、出題部分は、奥さんが、イワナの燻製をおばあさんに食べてもらうところ。喜んでもらえると期待した夫婦だが、どうも期待外れの様子。おばあさんは長年繰り返した習慣を崩すのが苦手なようだ。この作品もいいなぁ。

★ 3作目が奥田英朗さんの「彼女のハイヒール」。そこで奥田さんの「東京物語」(集英社文庫)から「彼女のハイヒール」を読んだ。名古屋から上京した母親に呼び出され、主人公の男性はホテルに赴いた。「一緒に食事を」ということだったが、レストランには母の友人とその娘さんがいた。どうやら母親同士が企んで、お見合いをセッティングしていたようだ。

★ ところが当の本人たちはだまし討ちにあったようでまったく乗り気ではない。お互いに疎ましく思っている。最初は母親たちの顔を立て、形ばかり振舞っていた二人。遂に本音をぶつけ合うと、案外気が合わないこともなさそうだ。さて、これからの二人はどうなるやらって感じ。

★ 作品の中で女性の気分がまるで「ジェットコースター」のようにコロコロ変わるのが面白かった。その象徴が「ハイヒール」。背の高い彼女、気乗りしないときはハイヒールを履いてこれ見よがしに男を見下ろす。気分が乗ってくるとかかとの低い靴に履き替える。ある意味非常にわかりやすい人だ。

★ 作品の時代が1985年の1月ということで、作者と年齢が変わらない私にとっても懐かしい。そうそう、大晦日の紅白で、都はるみさんが引退するのを鈴木健司さんが「私に1分下さい」と言って無理に歌わせたよなぁ。ラグビー、新日鉄釜石と同志社大の戦い。松尾、平尾、大八木って、スクールウォーズの世代やね。北の湖が引退したのもこの年だったんやって感じ。

★ 今の高校生はこの作品を読んでどんなことを思うのかなぁ。
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逢坂剛「悪い手」

2022-03-15 18:12:27 | Weblog
★ 受験が終わって拍子抜けの日々。今日は近隣の中学校の卒業式。塾生とばったり道で会ったら「無事に卒業できました。ありがとうございました」と感動的なセリフ。ヤンチャな子で、中学校でも問題児扱いされていたが、無事に志望校に合格。真っすぐに生きて行って欲しいものだと思った。

★ ドラマ「准教授・高槻彰良の推察」を観始めた。ミステリーに民俗学の蘊蓄が入っているのが面白い。

★ 逢坂剛さんの「悪い手」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 ダウト」講談社文庫所収)を読んだ。ある精神科のクリニックを女性が訪れた。暑い最中だというのに長手袋にサングラス。これだけでもミステリアスだが、彼女は自分の「左手がない」という。いや「あるにはありそうなのだが、自分の手ではない」という。サイコセラピストは、彼女の心の奥をのぞこうとするのだが・・・。

★ 長手袋と言えば、「スチュワーデス物語」の片平なぎささんを思い出す。何か怖かったなぁ。

★ 巻末の解説でモーパッサンの「手」が紹介されていた。読んでみたくなった。
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映画「バンデラス ウクライナの英雄」

2022-03-14 12:55:17 | Weblog
★ 確定申告書を提出。普段はあまり縁のない税務署、申告期限が明日までということで、非常に混雑していた。昨年、一昨年とは雰囲気が違う。コロナが身近になり過ぎて、脅威が薄れたようだ。

★ 昨夜は申告書が完成したので、映画を2本観た。1作目は「スパイの妻」(2020年)。1940年。日本は戦時色を強めていった。この時代、関東軍のある秘密を知ってしまったがゆえに、それを世界に告発しようとする夫婦が主人公。正義とは何か。幸福とは何か、と考えさせられた。時代の流れにとって個人の力はあまりに微力ではあるが。昭和初期のセットが良くできていた。大河ドラマの「いだてん」のを使いまわしたとか。

★ 2作目は「バンデラス ウクライナの英雄」(2019年)。多分この時期でなければ観なかった映画。ウクライナ東部の村はロシアの支援を受けた「分離派」が勢力を伸ばしていた。国軍の中にロシア側のスパイが潜んでいるとの情報を受け、諜報部の一部隊が前線へと向かう。指揮を執るのはその村出身の大尉。戦闘の場面あり、スパイ探しあり、愛憎劇ありと盛りだくさんな内容だった。

★ 「ロシアも、ベラルーシも、ウクライナもない。どちらも同じスラヴ人ではないか」「ウクライナを分断しているのは西側の陰謀だ」といったロシア側の主張が印象的だった。

★ 「ウクライナの英雄」はロシアからすると極悪人。村の普通の人々にとって物資を供給してくれるロシアはありがたいようだ。ロシアのアメとムチがよく分かった。プーチンがウクライナ政府や国軍を「ナチ」と呼ぶ思い込みもよくわかった。根深い歴史的な対立があるようだ。地政学上の不幸というほかない。

★ それにしても傭兵というのが曲者だ。
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薬丸岳「黒い履歴」

2022-03-13 11:26:55 | Weblog
★ 1年分の領収書の整理がやっと終わった。あとは確定申告書を記入し明日提出すれば終わる。毎日、少なくとも月に1回整理しておけばよいものをと、毎年この時期は反省する。特にこの2年間は申告期間が1か月延長されていたから、それに甘えてしまった。

★ 高校受験対策の土日特訓が終わり最初の週末。確定申告に追われながらも気分は楽だ。中期入試の結果が17日。良い結果が出れば良いのだが。

★ さて、昨夜は薬丸岳さんの「黒い履歴」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 ダウト」講談社文庫所収)を読んだ。少年院を出所した男。自業自得とはいいながら「黒い履歴」がつきまとう。今日、彼は解雇を宣告された。ミスをしたわけではない。会社は経営上の問題だというが、まず首を切られるのは自分のような人間だとふてくされる。

★ 折しも、近隣で殺人事件があり警官がやってきた。かつて鑑別所で法務技官(臨床心理士の資格を持つ専門職)として会ったことがある男だ。どういう経緯があったのか、警官として彼の前に現れた。暗い過去を持つ自分がまた疑われるのか・・・。

★ ところが、物語は意外な方向に。本当に裁かれねばならないのは誰だったのか。

★ 薬丸岳さんといえば「天使のナイフ」「友罪」「神の子」。いずれも長編で尻込みするが、読んでみようと思った。

★ ウクライナ戦争は長期戦になるのだろうか。高石ともやさんの「坊や大きくならないで」を聴いた。続いて高石さんと岡林信康「友よ」を聴いた。60年代の気分に浸りたくなった。

★ 高橋和巳の「悲の器」(「高橋和巳コレクション①」河出文庫)が届き、作品の後に収録されていた埴谷雄高さんの「苦悩教の始祖」を読んだ。高橋和巳との出会い、そしてこれからの期待が込められていた。「苦悩教」というのは面白い。「連帯を求めて、孤立を恐れず」、懐かしいフレーズを思い出した。
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連城三紀彦「夜の自画像」

2022-03-11 15:26:16 | Weblog
★ 高校入試が終わり、束の間の静かな時間が流れている。

★ ドラマ「ピカード」の新シーズンが始まった。映画「蜜月」は監督の問題から公開が延期だとか。主人公は佐津川愛美さん。佐津川さんと言えば「孤独のグルメ」第2シーズンでタイ料理店のウエイトレスが印象的だ。

★ 佐津川さんつながりで、辻村深月さん原作のドラマ「鍵のない夢を見る」から「仁志野町の泥棒」を観た。ある転校生の母親に盗癖があり、それに翻弄される子どもたちが描かれていた。

★ NHK「100分de名著」、今月は、「エドガー・アラン・ポー」スペシャルだ。100年を生き延びた作品はさすがに面白い。

★ 日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 ブラフ」(講談社文庫)から、折原一さんの「音の正体」と連城三紀彦さんの「夜の自画像」を読んだ。

★ 「音の正体」は集合住宅を舞台に、2つの事件が同時進行で起こる。おぞましい事件だが、同時進行のトリックに、はまる。

★ 「夜の自画像」は、連城さんの雅な文章が映える。画商の父親と彼が育てた若手画家。二人に諍いが起こり、殺人事件に発展する。息子はその光景をのぞき窓から見ていた。どちらが加害者で、どちらが被害者なのか。そして二人の諍いの原因は。少々込み入った話になっているが、映像が浮かぶ作品だった。

★ さて、この週末、確定申告を仕上げてしまおう。すぐに春期講座が始まる。
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北山修「戦争を知らない子供たち」から

2022-03-07 13:17:39 | Weblog
★ こんな時だから、キューブリック監督の「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのをやめて水爆を愛するようになったのか」(1964年)を再び観た。被害妄想の司令官がソ連への核攻撃を命令し、大統領でさえそれを阻止することができず、結局、地球が破滅に至ったであろう、という物語。

★ キューバ危機が1962年だから、コメディタッチとはいいながら、当時の人々の危機感が伝わってくる。エンディングの軽やかな音楽を背景に、「これでもか」というほど繰り返されるキノコ雲の映像は衝撃的だ。

★ こんな時だから、北山修さんの「戦争を知らない子供たち」(角川文庫)を本棚から取り出した。かつての子どもたちは、父母となり、もはや老境の域に達している。戦後80年近く、少なくとも日本が戦争に巻き込まれなかったのは奇跡だったのかも知れない。

★ 「平和のつぶやき」の章は心を衝く。「徴兵制もなく、戦争に直面した経験のない私たちは<平和>と叫ぶのに何か抵抗を感じる」「戦後生まれの私達はどうしようもない世代かも知れない。しかし、唯一のとりえは戦争を知らないということだ」「『平和がほしい』とつぶやくことこそ重要なのではないだろうか。その感性こそ絶対に失ってはならないものだ」「『仕方がない』と言うあきらめや無関心が一番恐い」「つぶやきが集まれば叫びとなる」(31頁~32頁)

★ 「戦争はいやだ!! 人を殺したくない!! 平和がほしい!! 叫ぶ必要はない。小さくそしてはっきりと言ってほしい」(33頁)で締めくくられている。

★ こんな時だからこそ、心に響く。「戦争を知らない子供たち」、歌詞を見なくても歌える数少ない歌の1つだ。
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中島敦「弟子」

2022-03-06 11:43:02 | Weblog
★ 朝日新聞、土曜日恒例の「読書」のページ。「古典百名山」平田オリザさん担当の最終回だという。最終回に取り上げられたのが高橋和巳の「悲の器」。担当者との行き違いから連載が1回減って、三島か高橋か、迷った末の選択だったという。

★ 高橋和巳の作品、「邪宗門」や「憂鬱なる党派」は読んだが、「悲の器」は読んだことがなかった。本棚にもなかった。面白そうなので早速注文した。ある人物をモデルとした作品のようだ。

★ 平田さんのコラム、高橋と三島の対比が面白かった。1970年、三島由紀夫は割腹し、翌年、高橋は病で死ぬ。39歳だったという。平田さんは「戦後も、戦後文学も、いや近代日本文学自体がこの時期、一つの大きな峠を越えた」という。

★ 手元に高橋和巳の「人間にとって」(新潮文庫)があったので、その中の「死について」を読む。当時、病床にあった高橋が三島の事件を知って、その直後に書いた文章だ。高橋は三島に対し、思想的には対立しながらも「相互に拮抗しあっている敵手に対してだけ抱く特殊な感情を持っていた」という。

★ 「三島氏がもし自衛隊総監室へ乱入しただけならば、私をも含む何千何万の人間が参加した全共闘運動を、三島由紀夫は彼一人の力でパロディ化しようとしやがったなと思ったに違いない。しかし、乱入のあと割腹自殺したその死によって、私の感じ方は変わらざるを得なかった」(56頁)という。

★ 高橋は三島との対談を回想し、彼の発言を紹介している。東大紛争で、反権力の言論をやった先生が、政府からおかねをもらって生きているという矛盾。戦後社会を否定しながら、本を書いてお金をもらって暮らしている自分自身への罪悪感の自覚。

★ 高橋は文末で「礼記」にある孔子の弟子、子路の最後とその死を知った時の孔子の激情慟哭を紹介し、三島の死を知った自らの感情としている。

★ ここまで知ると先を読まねばならない。本棚から中島敦「李陵・山月記」(新潮文庫)を取り出し、それに収められている「弟子」を読んだ。

★ 今で言う不良少年のような子路が孔子と出会ってその人柄に感服し、弟子となり、成長していく姿が描かれている。温厚にして形や徳を重んじる孔子に対して、子路は直情型。形など糞喰らえで、師匠をも煩わせたが、その敬愛の情は決して失わなかった。孔子もまた子路を好んだ。お互いに足らざるものを相手に見ていたのかも知れない。

★ 子路が最後、義に殉じる場面。切り刻まれたあげく血に染まりながら、落ちた冠をかぶり直し「見よ! 君子は冠を、正しゅうして、死ぬものだぞ!」と絶叫する場面は感動する。あれだけ形を否定していた彼をして、最後は師の教えを受け入れたのだ。いや、彼は本来的にそうしたかったのかも知れない。

★ 子路の最後を知った孔子の激情がまた感動的だ。子路が塩漬けの刑にされ、さらし者になったと聞くや、あの温厚な孔子が「家中に塩漬け類をことごとく捨てさせ、爾後、醢は一切食膳に上さなかった」という。

★ 学ぶべきことが多かった。
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門井慶喜「パラドックス実践」

2022-03-04 19:52:38 | Weblog
★ 学年末テストが終わった。高校入試まであと3日。折込広告を販売店に搬入した。毎年通り、平凡な日常の繰り返し。しかし、こんな生活も第三次世界大戦が勃発すると一瞬でなくなってしまうんだね。

★ 悲惨な世界情勢を横目で見ながら、今日は門井慶喜さんの「パラドックス実践」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 ブラフ」講談社文庫所収)を読んだ。

★ 新しい高校に赴任した能瀬教諭。雄弁学園というその学校は、名前の通り論理的思考、弁舌をみっちり鍛える学校だった。案外要領だけで世渡りしてきた能瀬教諭。初日から「テレポートの証明」やら「山を海とし、海を山とすることの証明」やら「サンタクロースの存在の証明」やらを生徒から要求される。場を和ませようと放ったジョークもすべりっぱなし。

★ 能瀬教諭はこの手強い生徒たちの問いにどう答えたのか、というストーリー。

★ まぁ私のように世の中の垢にまみれてしまうと、能瀬教諭の論理では納得できないが、そこは純朴な高校生、何となく明るい学園モノで物語が終わる。

★ よくよく考えると、この世の中、厳密には定義できなかったり、論理的に証明できないことが多い。学問はそれを究める営みだが、一方で芸術があるのが面白い。山田五郎さんの「オトナの教養講座」で紹介された、アンリ・ルソーの作品など、どうも変だけれど、独特の個性なんだよね。
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