山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

議員定数削減しか方法がないのか?

2016-02-24 | 政治・経済・社会
 先日、異例の元首相による国会質問が行われました。野田元首相が現首相に対して、過去の党首討論の時にした約束を守れと迫ったものです。
 野田首相からすれば、議員定数削減の実現と引き換えに解散を実行したのだから約束を守るのは当然のことだとの思いもあるのでしょう。国会という公の場で党首同士が約束をしたのだから約束を守るのは当然と言えば当然のことではあります。しかし、これが守られないというのも現実なのです。そう言った政治家を持っているのが我が日本国の現実であることを直視しなければならないでしょう。

 それはそれとして、果たして議員定数を削減することが最善の方法なのでしょうか。このテーマについて、このブログで再三指摘してきました。(参考:「議員定数削減は本当に国民の要望か?」など)

 野田元首相は、増税(消費税)を国民に求めるには、先ず国会議員が身を切る必要があると仰いました。確かに議員定数を削減すれば落選の憂き目を見る人が出てきます。そう言った意味では、身を切ることになるのでしょう。しかし、身を切られるのは落選した議員だけということになり、当選してきた議員先生方には今まで通りの特権が与えられるのです。

 これで本当に身を切ったことになるのでしょうか。はなはだ疑問に感じるところです。
国民はそのようなことより、政治に掛かる費用自体を問題にしているのではないですか。費用対効果に疑問を感じているのです。費用に見合った仕事をしているならば、誰も文句を言いませんよね。

 政治に掛かる費用としては、国会等の物理的な維持費、運営に掛かる費用等々は議員の多寡によってそんなに多くの変動はないでしょう。議員定数に関わるものとしては、議員報酬や諸々の議員特権と政党助成金が大きいでしょう。例え議員定数を10%削減したとしても、これを大幅に削減することはできないでしょう。
 だったら、先ず政治に掛かる費用の総額を決めてしまい、そこから議員同士で分捕り合戦でもすれば良いではないですか。例えば、現在の費用総額の50%削減するとし、これに基づき議員報酬や政党助成金を分配するといったことにすれば、これぞ本当に身を切ったと言えるのではないですか。

 そうすれば費用を増加させることなく議員定数を増やすことを可能とし、間接民主制を採っている我が国の制度にも適うこととなります。ひいては、一票の格差是正問題を解決することも可能です。

 議員の数が増えると質が下がると言われておりますが、議員の数が減れば議員の質が向上するかといった問と同様に本質的な議論ではないように思われます。遅かれ早かれ質の低い議員は淘汰されるでしょうし、これを見過ごしていたとすれば、それはそのような議員を選出した国民がその責めを負わされるべきことでしょう。


 議員定数削減にこだわらず、広く政治改革に関する議論をした方が建設的なことであると思うのですが?



消費税の軽減税率について(7)~混乱は覚悟の上?

2016-02-23 | 政治・経済・社会
 先日、ラジオで国会中継を聴いておりましたところ、麻生財務大臣が軽減税率の導入である程度の混乱は起きるだろうと答弁しておられました。元々財務大臣は軽減税率導入に反対していただけに、その馬鹿々々しさは十分にご承知のはずで、この率直な答弁には敬意を表します。その後、潰れる事業者云々といった失言もあったようですが・・・。

 税金は本来ならば国家が直接徴収すべきところですが、間接税という性質上、直接徴収することは不可能です。そこで消費税は事業者に徴収・納税義務を負わせております。つまり、一民間事業者が国家の肩代わりを行っているのです。それも無報酬で!
 今回の軽減税率で事業者は多くの対応を迫られます。POSレジやシステム改修など多くの費用が発生します。これに対しては補助金で対応するそうですが、これも費用の3/4とかで全額ではないようです。
一部政党のゴリ押しで、事業者に余計な負担をさせることになります。どう責任を取ってくれるのでしょうか。
 更には一時費用だけにはとどまらず、恒常的に労務負担が増加します。世の中生産性向上に躍起になっているのに、わざわざ生産性を低下させるようなことをなぜ行おうとするのか一度頭の中を覗いてみたいものです。
 これまでにも色々と不都合な点を指摘してきましたが、接客に大きく影響しそうな問題が提起されております。その最たるものが、販売時点での購入者の意思表示が持ち込まれることでしょう。外形的には同一の行為でも、購買時点での意思によって税率が異なる。そして、販売者はそれを一々確認することが要求される。こんないい加減なことが課税で許されるのか!
 当然のこととして種々クレームが発生するでしょう。これらがすべて事業者に転嫁され、販売の最前線が矢面に立たされるわけです。
 消費税の徴税代理をさせられるのですから、せめて手数料ぐらいは欲しいところなのに、負担増ばかり押し付けられたらたまったものではありません。
 もっとも、手数料を貰えたとすると強烈に批判されるでしょう。フランス革命の時、哀れ徴税請負人の多くはギロチンの露と消えたそうです。(参考:「消費税の軽減税率について (2)」)こんな目に遭いたくはないですよね。

 軽減税率は自民党内部においても反対論が多いと聞きます。側聞によれば選挙協力を人質に公明党のごり押しで無理やり認めさせたとされております。元々公明党主張は軽減税率ではなかったのでは?
公明党内に反対論などないのでしょうか。

 とにかく軽減税率は百害あって一利なしです。強く導入に反対します。


 

佐賀県が4年連続ワースト~10万人当たりの人身事故件数

2016-01-28 | 政治・経済・社会
 佐賀県警が発表した県内で昨年発生した交通事故状況によれば、人口10万人当たりの人身事故件数が4年連続全国ワーストになったと報道されておりました。その前年も2位と不名誉な記録を続けているようです。以下、報道によるデータを記しますと、

 佐賀県(1,025件)、静岡県(877件)、宮崎県(849件)、香川県(798件)、福岡県(781件)、・・・、秋田県(207件)、北海道(206件)、岩手県(199件)、島根県(199件)、鳥取県(183件)

 となっております。また、負傷者数は11,493人でこれもワースト、死者数も48人でワースト5位となっているそうです。

 そしてざっとした原因分析があり、それによれば人身事故の全体の半数が追突事故によるものだとし、「携帯電話などを操作せず、運転中は運転に集中して」と呼びかけているといった県警交通部長のコメントが掲載されておりました。しかしながら、このような分析は他都道府県でも似たり寄ったりではないでしょうか。

 佐賀県における何がしかの特殊要因があるのではないかと考えさせられます。佐賀県と年齢構成などの社会的が似ている岩手、島根、鳥取とは対極にあります。
 運転者の気質の問題でしょうか。ワースト5に九州から3県が入っていますので、居住県別運転者のデータを分析してみる必要があるかも知れません。
 あるいは道路、信号、歩道などの整備状況に違いがあるのかないのか。これらが要因であるならば、運転者だけの問題ではありません。

 当然県警においてもっと詳しい分析が行われていると思います。これを県民に周知徹底し、適切な対策を講じることが汚名返上に資することになるものと思います。

 

農業基本法について

2015-10-31 | 政治・経済・社会
 食料・農業・農村基本法が制定されるまで、農業基本法は農業の憲法とも言われ、まさにこの法に基づき農政が行われてきました。その結果が現在の惨憺たる農業の現実を生みだしたともいえます。TPPが現実のものとなり、今後の農政を考える上でも農業基本法を振り返り、何が問題であったかを検討することは意義のあることと考えます。

 さて農業基本法前文は次の通りです。
「わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してきた。また、農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。
われらは、このような農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設にとつてきわめて重要な意義を持ち続けると確信する。
しかるに、近時、経済の著しい発展に伴なつて農業と他産業との間において生産性及び従事者の生活水準の格差が拡大しつつある。他方、農産物の消費構造にも変化が生じ、また、他産業への労働力の移動の現象が見られる。
このような事態に対処して、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、農業従事者の自由な意志と創意工夫を尊重しつつ、農業の近代化と合理化を図つて、農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにすることは、農業及び農業従事者の使命にこたえるゆえんのものであるとともに、公共の福祉を念願するわれら国民の責務に属するものである。
ここに、農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示すため、この法律を制定する。」

この前文では、これまでの農業が果たしてきた役割を述べ、日本の経済が高度成長しているなかで他産業に比べ生産性が低く、かつ経済格差が拡大していると分析しております。よって農業の近代化を図り、経済格差の是正することは国民の責務であると説いております。
 
 ここにこの法律の目指す方向性が示され、構造改善事業、近代化資金などの制度融資、各種補助金・助成金などの農政が展開されていくことになります。

 以降、各条文を参照しつつ農政が農業に与えた影響について考えてみたいと思います。

 



電話営業の功罪(4)

2015-10-28 | 政治・経済・社会
 本日の電話営業は新手(?)のものでした。電話に出るといきなり、録音なのか合成音声なのか分かりませんが、社名を名乗り電話帳に掲載されている番号に電話している(我が家は電話帳に掲載しておりませんが・・・)と述べ、今から1分ほどのアンケートに答えてくれとのことでした。

 この時点で相当にムカついておりましたが、このブログ記事を書くためにアンケートに答えたのでした。相手が人間ならば、色々とこちらから逆質問をしているところですが、機械相手には虚しいことですのでひたすら忍耐いたしました。

 内容的には電力自由化に関する市場調査によるものと思われます。まさか、九電がこのようなくだらないことをするとは思えませんので、新規参入に向けてのものと思われます。
 「電気料金に不満を持っているか?」、「同居人数は何人か?」、「65歳以上と同居しているか?」などといったものでした。

 結構つまらない質問をするものだと思ったのですが、ハタと、まさか、これって詐欺電話のターゲット絞り込みのアンケートではと思えてきました。最初の設問は尤もな調査に思わせておいて、知りたいのは家族構成とか老人がいるかどうかといったものなのかも知れません。それにアンケートに我慢して答えるのは、押し売りすれば売れる証拠とも言えます。つまり、断りにくい性格であることが知られてしまいます。

 このような電話アンケートを行い、名簿を作成して売られると思うと憂鬱になってきます。

 あーぁ、これでまた営業電話が沢山かかってくるようになるなぁ!

 相手をしてしまったことが悔やまれます。皆さんはこのような電話が掛かってきたら、速攻で叩き切りましょうね。電話が存在すること自体は認知されてしまってますが、少なくとも営業ターゲットとしての価値は低く認識されることになるでしょうから。


<参 考> 「電話営業の功罪」「電話営業の功罪(2)」「電話営業の功罪(3)




安保関連法案が成立しましたが・・・

2015-10-02 | 政治・経済・社会
 「悪法もまた法なり」といった諺があります。憲法に違反していようがいまいが、法に定められた手続きに従って成立した以上、違憲無効判決が確定したり、同法の廃止ないしは別の法律で効力を停止されない限り効力を有します。

 私見では、他の多くの皆さんの主張と同様に安保関連法案は憲法違反であるものと考えます。本来であるならば、憲法を改正するのが先でなければなりません。しかし、政府与党は現実的必要性を拠りどころとして、憲法を改正せずに安保関連法案を多くの批判があったにも関わらず、強引に成立させたのです。
 多くの憲法学者が同法案が違憲であると考えるのは、現実への柔軟な対応より現行憲法の下での法的安定性が重要であると考えているからだと思います。憲法学者の中にも憲法改正すれば、集団的自衛権を認める立場の方も多いのではないかと思います。しかしながら、憲法改正もせず、現実に差し迫った緊急性もないのに違憲立法がなされることに反対しているのであろうと考えます。
 国民の多くは、このような政府与党のやり方に危機を感じ、あるいは漠然とした不安を覚え、同法案成立への反対運動へと繋がったのではないかと思います。
 首相自ら議論が不十分であったと認めながらも採決に踏み切ったのです。議論が不十分であれば、継続審議とするなど他の手段があったのです。同法案の審議過程で政府の答弁が変わったりと多くの不確定要素が見られます。実際に命のやり取りといった後戻りのできない戦闘という行為を行うか否かの判断を行う上で、このように多くの不確定要素を含んでいて良いものでしょうか。また、今後多くの訴訟が提起されるでしょう。同法案に対する違憲判決の可能性もあり、数々の不安定要因をかかえております。

 しかしながら、冒頭で書いておりますように、多分に違憲と考えられる法律ですが有効に成立した法律です。今後、これらに基づき運用されていきます。しかし、憲法そのものが改正された訳ではありません。今後の選挙結果次第で同法案を廃止させることも可能です。そのためには、国民に判断材料がなければなりません。この度の違憲立法が議論のための格好の材料を提供してくれるのではないかと思います。
 少々姑息な考えかもしれませんが、疑似的に憲法改正が行われた(違憲である法律が運用されている状態)とした場合の一種のシミュレーションをしていると捉えることとします。これでどのように世の中が変化していくのか注視します。政府与党が主張したようなことになるのかならないのか見極めることができるのではないでしょうか。
 そして、一定期間経過後、安保関連法を廃止するのか、改正するのか、あるいは憲法改正をする必要があるのか判断することとします。この段階になれば、今回のように虚しい空疎な議論ではなく、具体的な議論ができるようになるものと思います。

 
<参 考> 「憲法第9条について」「解釈改憲の危険性」「解釈改憲の危険性(2)」「解釈改憲の危険性(3)



「一億総活躍社会」って・・・

2015-10-01 | 政治・経済・社会
 一億総活躍社会ってなんだか禍々しい印象を受けてしまいます。日本国民一人一人の発意でもって、これを一致団結させ崇高な理想を達成しようといったことであれば素直に頷けます。
 しかし、これは日本国のリーダーたる首相から出たスローガンです。過去の例を思い浮かべれば、お上がこのようなことを言い出した時にはろくなことがなかったのでは?
 皆がそれぞれの夢や希望をもって輝いていけるような社会の実現を目指すというのであれば、もっとましなスローガンがあったのではないでしょうか。

 国民はもっと厳しく現実を見ていると思います。というか厳しい現実に直面しているのです。少子高齢化が急速に進み、増税しなければ社会福祉が持たないと言われる。子供を増やせと言われても収入が少ないし、働こうにも保育所が足りない。年金は貰えるかどうかと不安を煽られ、年金納付額は年々増大し、支給額は引き下げられる。医療費は増加する。などなど挙げればきりがありません。このような状況で、総活躍社会などと言葉は如何にも尤もですが、要は労働力が不足するから皆働けということを言い換えたに過ぎないと思ってしまいます。

 私個人としては、身体が動く限り働き続けたいと思っております。そして、自分で身の回りのことができなくなり、快復の見込みがないとなれば、静かに終末を迎えたいと思っております。
 だからと言って、お上からとやかく言われたくもありません。ましてや、老後も働くべきだとか、働けなくなったら早く死ねなどと言われたくもありません。老後の生活のあり方規定するのは、あくまでも一人一人の自由意思によると考えるからです。

 国は国民が活躍できる社会を実現させるべきであって、国民に向かって活躍せよでは、自ら無策であることを言っているに等しいものだと思います。

 このようなスローガンより、具体策の策定とその実現に重きを置いて欲しいものです。


消費税の軽減税率について(6)~還付方式(その2)

2015-09-15 | 政治・経済・社会
 ネット販売等に関する還付方式について財務省案では、宅配時に端末によってマイナンバーカードを読み込ませることで対応するとのことです。
宅配業者さんも大変ですね。いつも忙しそうに飛び回っている業者さんに余分な時間ロスを発生させます。それに宅配業者さんに徴税請負人みたいな仕事をさせて良いのでしょうか。一歩間違えば御用ともなりかねませんよ。従業員一人一人にこのようなリスクを負わせてよいものでしょうか?
おまけに、ネット通販の場合、配送した後にキャンセルとか返品とかもあるわけで、宅配業者さんが絡むと関係が複雑になりはしませんか。売買は直接には売り主と買い主の間のことであって、宅配業者さんは本来ならば関わりのないことでしょう。

 また、自販機による飲料品にも軽減税率を適用させるとなると自販機の変更が必要となります。一体全体全国にいかほどの台数が設置されていることやら。もっとも、清涼飲料水に軽減税率が必要かどうかということも疑問です。もっと他に軽減させるべき生活必需品があるのではないでしょうか。飲料は良くて酒類はダメといった理屈もわかりません。私からすれば、コーラや無果汁ジュースなどはビールと同じもの(嗜好品であって生活必需品ではない)に思えます。更に言えば、酒類には酒税が課せられており、それに加えて消費税が課されるといった、いわゆる二重課税の問題があります。
それから自販機のような無人の場合には、不正が行われ易くなることが考えられます。例えば、マイナンバーカード読取装置に仕掛けを施しデータを盗んでしまうとかいったことが横行しそうです。

 そもそも日常生活においてマイナンバーを頻繁に使用することは想定されていないことであろうかと思います。マイナンバーによって重大なプライバシーに関する情報が管理できるようになっております。この番号情報の取扱者は罰則を含めた管理義務が課されております。このような制度であるにも関わらず、一方では買い物をするたびに掲示させたり、宅配業者に読み取らせたりなど容易にカードを使わせようといった発想をするなどまったくもって理解できかねます。

 この還付方式に拘るならば、マイナンバーカードではなく「消費税還付カード」といった新たなカードを作った方が良いのではと考えます。あるいは無記名式の消費税還元ポイントカードでも良いではないですか、高々年間数千円のことでしょう。発行枚数を減らすには、対象者だけに還元額に相当する金額のプリペイドカードを交付するといったことも考えられます。このカードから消費税の2%支払い分だけ支払いの都度引いていくようにすれば、現金給付が他の用途に使われることも防ぐこともできます。

 そもそもマイナンバーカードが不評だから消費税還付を餌にして国民を釣り上げてしまおうなどといった助平心を起こしたこと自体が間違いなのです。
 高々年間数千円のために国民のプライバシーを危険にさらすような制度の導入を議論する必要があるのでしょうか。
 
<参 考>
消費税の軽減税率について(5)~還付方式





消費税の軽減税率について(5)~還付方式

2015-09-08 | 政治・経済・社会
 報道によりますと自公両党が7日、消費税10%への引き上げ時に、酒を除く飲食料品について購入時10%払った消費税の内、2%分を戻す還付制度の導入に大筋合意したとのことです。

 購入時にレジでマイナンバーカードを提示する方式だそうな。還付して欲しけりゃマイナンバーカードを持ち歩けということのようです。国民の大多数はマイナンバーカードを持ちたくないといっているのにね。
 多分この方式の導入は無理だと思います。その理由について以下述べてみたいと思います。

1.酒を除く飲食料品の線引き
 このことは以前から指摘してきたところですが、何ら解決されません。国税庁のサイトでも指摘されておりますように、いわゆる「食料品の譲渡の範囲(飲食サービスとの仕切り)」問題です。これから議論が行われるでしょうが、線引きは永遠の課題となるでしょう。泥沼の裁判合戦になる可能性大です。

2.POSシステム更新
 マイナンバーカード対応できるPOSシステムに更新する必要があります。多大な費用が発生することでしょう。中小零細の店舗が果たしてこの負担に耐えられるでしょうか?
 この店舗では還付できないとなれば死活問題です。導入費用が捻出できなければ死ねというに等しいことです。政府は導入費用を全額負担してくれるのでしょうか?

3.ネット販売
 購入毎にマイナンバーを打ち込めっていうことでしょうか。それともカードリーダーを買えって言うことでしょうか。ハッカーの良いカモになるでしょう。マイナンバー制度の崩壊にも繋がりかねませんよ。

4.カードを忘れたら
 「それって自己責任でしょ!」で済まされるのでしょうか。もしカードを紛失したら即時発行してくれますか。数日でしたら我慢もしましょう。10日以上とか1カ月掛かってしまうとすれば、代替措置が必要でしょう。代替措置ができるとすれば、証拠資料(レシートなど)を添付して申告による還付もできるといった制度も必要でしょう。そうすると事務経費が大きくなってしまいます。

5.間に合わない
 2017年4月に10%に引き上げる予定だとすると、現実問題としてシステムの開発が間に合わないでしょう。報道によりますと、今後制度設計に入るとのことです。早くても半年位かかるでしょう。すったもんだすると一年位かかるかも知れません。それから、システム設計をしてとなれば、もう現時点で絶望的でしょう。

 まだまだ色々突っ込めるとは思いますが、これ位にしておきます。
挙句の果てがトラブル続出で大混乱となるしょうね。そこまでして軽減税率にこだわる必要があるのでしょうか。たった2%のために国民を大混乱させる意味が分かりません。もっとスマートに解決できる方法が他にあると思いますが・・・。


<参 考>
消費税の軽減税率は不毛な議論だ!」「消費税の軽減税率について」「消費税の軽減税率について (2)」「消費税の軽減税率について(3)~その先にあるもの」「消費税の軽減税率について(4)~たったの2%軽減ではやる意味ないでしょ!」「マイナンバー制度に思うこと

参議院の選挙区選挙が合区に

2015-07-23 | 政治・経済・社会
 報道によりますと来年夏に行われる参議院議員選挙の選挙区選挙において合区などすることで10増10減とする見通しになったということです。合区に関しては自民党の反対により見送られておりましたが、(参考:「参議院一票の格差是正を放棄!」)一転妥解決したかのように見えますが、これは違憲判決を突きつけられ切羽詰まった状況に追い込まれた末の妥協の産物として生まれた結果にしか過ぎません。10増10減したとしても一票の格差は2.97倍としかならず、抜本的な解決とは程遠いものがあります。現在の制度を前提とする限り、対象となる合区を広げていくしかありません。しかしながらこれを進めていけば、程度の差こそあれブロック制といったことになります。

 さて、選挙区が都道府県単位となっていることにどのような合理性があるのでしょうか。地域代表といった側面があることは否定できないでしょう。であるならば、都道府県の人口の多寡に拠らず一選挙区当り同一人数にするという手もあるはずです。例えば、アメリカ合衆国上院議員は各州2名となっております。
しかしながら、立法では人口比例の原則に則った定数配分としており、最高裁の判決もこの立場に拠ったものとなっております。

 自民党が合区に反対なのは、結局のところ合区により議席がなくなることが問題なのであって、都道府県単位の選挙区の必要性が議論されているようには思えません。どうしても都道府県代表が必要とならば、アメリカ上院のように一票の格差が如何に大きかろうとも各選挙区同一定数とする方が望ましいでしょう。無論、最高裁判所の違憲判決がある以上、憲法改正する必要があるということになりますが・・・。そこまでやる気がないのなら、合区に反対することはお止めになった方が良いと思います。でなければ何か別の制度へ移行すべきであろうと考えます。

 やはり議員定数や選挙制度の問題は、もっともっと掘り下げた議論をする必要があります。小手先のやり繰りで一時しのぎをしても直に行き詰ってしまいます。

<参 考>
議員定数削減は本当に国民の要望か?」「議員定数削減と選挙制度改革(衆参の選挙制度の同時改革)」「なさけなや参議院!!-0増5減再可決



植物工場の「みらい」

2015-07-01 | 政治・経済・社会
 帝国データバンクによりますと植物工場で野菜の生産・販売を手がけているベンチャー企業「みらい」(東京・日本橋)が6月29日に民事再生法の適用を東京地裁に申請したそうです。負債総額は10億9200万円とのこと。

 以前「植物工場(野菜工場)」や「スマートアグリについて」などで植物工場の投入エネルギーは半端ではないであろうと指摘しておりました。
そこでネットで調べておりましたら、次のサイトを見つけました。
 ⇒「大企業が続々参入 植物工場は儲かるか
このサイトによれば、植物工場産のレタスの生産コストは1キログラム当たり1100~1500円(露地物は300~600円)とのことです。出典は明示されておりませんが、一応正しいものとして考えると慣行栽培ものと比較すればべらぼうに高くなっております。おそらくは設備の原価償却とエネルギー及び肥料のコストが大きなウエイトを占めているものと推測されます。これでは、よほど高く売らなければ採算が合いません。よく今までやって来れたものだと逆に感心してしまいます。
 マスコミが取り上げたものだから、しばらくの間はやってこれたのでしょうか。消費者ももの珍しさも手伝って購入したものの、こんな高いものでは長続きしないのも道理だと思います。

 政府は農業を大規模化や集約化によってコストダウンや高付加価値化を目指しております。これらについても「TPPについて(17)-農業の経営規模拡大の行き着く果ては?」などで既に議論したところです。結局のところは「TPPについて(20)-強いものが生き残るのか、生き残ったものが強いのか?」で指摘したようにならないかと危惧します。

 何となく今回の「みらい」の民事再生法の適用を東京地裁に申請は、植物工場のあるいは大規模集約農業の「未来」を暗示しているのではないかと思ってしまいます。

 

マイナンバーの運用開始をしばし延期しては?

2015-06-03 | 政治・経済・社会
 この度の基礎年金番号流出にみられるように悪意を持った攻撃に対するシステムの脆弱性が露呈されました。完璧なコンピュータシステムは構築できるはずもありません。これに対抗するためにはシステムの運用のみでなく制度全般にわたる対策が必要です。
 マイナンバーについては、基礎年金番号とは比較にならないほど影響が広範囲に及びます。もれ聴こえてきている情報に拠れば、システムの開発が遅延しているとのことです。おまけにシステムの運用にあたる窓口などの担当職員に関するマニュアルや教育などといったことは無に等しいとやら・・・。このような状況で拙速に運用開始したとしても現場は大混乱をきたすことは必至でしょう。そしてハッカー達の格好の餌食となることでしょう。
 また、マイナンバーを管理するのは官公署だけでなく民間企業においても管理する必要性に迫られます。企業でもマイナンバーに対応するためにシステムのリプレースを余儀なくされますし、新たに取り扱い規定の整備なども必要とされます。そして、マイナンバーに関わる担当者全員に対して必要とされる教育も必要とされます。
 これらのことが運用開始までに準備が間に合うでしょうか? 私には限りなく絶望的に思えます。このようなリスクを抱えた状態で、見切り発車的に運用開始しても良いことは一つも無いと思います。
 この際、運用開始を延期して準備を整えた方が良いと考えます。期日通りに運用開始しないと面子が潰れるとお考えになられる方々もいらっしゃるかも知れません。しかしながら、無謀にも運用を強行して失敗した方のダメージが大きいのではありませんか?
 マイナンバーは、それこそ最近よく耳にする憲法13条の「国民の生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」に重大な影響を及ぼすようなものではないのですから。この際、粛々と準備を進めることが肝要かと考えます。

<参考> 「マイナンバー制度に思うこと」「背番号いったいいくつ付けられる


 

参議院一票の格差是正を放棄!

2015-05-30 | 政治・経済・社会
 報道によりますと参議院議長が主催する「選挙制度改革検討会」が議論の打ち切りを決めたとのことです。結局のところ自民党が6増6減に拘るあまり、野党の合意を得られないところからきているのでしょう。6増6減としても一票の格差を是正するには程遠いものがあります。現行の選挙区制度をとる限り一票の格差是正は絶望的です。
 しからば野党案のように合区をすれば良いかというと、そう簡単なものでもありません。一番の問題は選挙区制の意義が失われます。選挙区制は都道府県を単位としていわゆる地域代表的な要素を持たせております。これを単純に格差是正といった技術的側面から合区すればよいといった議論は乱暴に過ぎるでしょう。先ずもって、選挙区制度の必要性から議論することが筋ではないかと考えます。
 都道府県単位の代表が必要ならば、どれほどの一票の格差が許容されるかといったこととの比較衡量が可能となります。そしてその必要性がさほど高くないのであれば、少々制度をいじっても抜本的な解決は望めない以上、さっさと廃止して別の制度に移行すればと考えます。

 今まで暴論に近いものですが「議員定数削減と選挙制度改革(衆参の選挙制度の同時改革)」や「なさけなや参議院!!-0増5減再可決」といった記事を書いてきました。その後、二大政党政治を目指した小選挙区制度は、英国の状況をみるまでもなく問題ありと考えざるを得ないと思われます。

 選挙制度は、その後の政治状況を形成する大きな要素です。徒や疎かにすべきことではではありません。
にも関わらず、このたびの醜態は参議院が機能不全に陥っているといわれても仕方のないことのように思われます。

 現在の国会では、重要法案が議論されております。また、憲法改正も議論されております。このような時にこそ、民意の基となる選挙制度を国民が納得するようなものとする必要があるものと考えます。



クロネコメール便廃止について

2015-01-23 | 政治・経済・社会
 この3月期末でメール便が廃止されるそうです。その理由として、ユーザーの中に法で禁止されている信書を送っていることが挙げられております。クロネコ様は、ご親切にもユーザーが摘発されないようにメール便を廃止していただけるとのことです。
 しかし、摘発されるのはユーザーの自己責任であって、運送事業者はそのことを周知徹底していれば済むことです。あるいは、受付の段階で信書でないことを確認するようにすれば良いのです。実際にも受付時に内容物にチェックし、信書を取り扱いできないと銘記された出荷票に署名させられます。
 ですから、クロネコさんが主張されている、信書云々は単なる理由付けに過ぎないものと考えます。今までのクロネコさんだったら、そのような法規制を緩和する方向に力を注いでいたのではないでしょうか?

 ということで、要はメール便が儲からないからやめたいというのが本音なのではないかと考えている次第です。ならば、素直に値上げさせてくれと言った方が何ぼか良いと思いますよ。これ以上でないと採算が取れないから料金を上げさせてくれといわれれば、こちらもある程度のことには協力できますのに!
いきなり「ヤーメタ!」と言われても釈然としません。というか物凄く悪い印象を受けます。

 これまでメール便を大変便利なサービスとして利用させていただきました。A4までの書類ならば、定型郵便の料金で送付できますし、投函の確認までできる画期的なサービスでした。そして、クロネコさんのシェア拡大にも大いに寄与してきたことでしょう。

 今後、メール便廃止にどのように対応するか検討を迫られます。クロネコさんは代替手段を講ずるとしておりますが、大いなるコストアップになることは必至でしょう。是非とも再考を願いたいところです。

<2015/01/31 追記>
 クロネコさんがメディアを通じてメール便廃止の自己弁護をされているようです。何と主張されようが、今後正式に発表されるクロネコDM便の料金体系をみれば自ずと明らかになるものと考えます。主張通りの廃止理由ならば、メール便の料金と同じ水準とならねばなりません。大きく料金がアップすれば、採算性が主要因であって、信書云々は方便に過ぎなかったということになります。
 そういった意味でクロネコDM便の料金体系が試金石として重要になります。発表を注目して待つことにしましょう。


消費税の軽減税率について(4)~たったの2%軽減ではやる意味ないでしょ!

2014-12-05 | 政治・経済・社会
 報道によりますと税率10%アップ時の軽減税率は現行の8%が基準となると誰かさんが言ったそうです。
どうもたった2%のために大混乱を引き起こすおつもりのようです。どうせなら非課税とでもどでかい花火を打ち上げた方がなんぼかましでしょうに、いくらなんでもみみっち過ぎます。

 要は、制度を導入したいがため反対勢力に配慮を見せてということでしょう。このように政権与党に留まりたいがために全てが骨抜きにされているようでは存在価値がありません。といった批判が内部から出てこないのでしょうか?

 それは置いておいて、軽減税率を導入すると一番困るのが現場なのです。消費税の徴収・納付は事業者が行うことになっております。現行は一律課税ですから会計システムも比較的簡単に構築できます。しかし、品目毎に税率が異なってくるとなるとシステムのリプレースが必至です。おまけに色々な疑義が発生しまくりで、落ち着くまでに相当な時間が掛かるでしょう。そして政治的圧力とやらで、これも入れろと後から変更になる。それらの負担は誰がしてくれるのでしょうか。結局は事業者負担が増加するだけです。

 税率アップが先延ばしされたとはいえ、そもそも制度設計が間に合うのですか?
自民党はインボイスの導入などといったことを言っております。軽減税率の導入を何時決めるのですか。今決めたって間に合うかどうか分かったものではありません。

 財務省の肩をもつ訳ではありませんが、国税庁のWebサイトに「食料品等に対する軽減税率の導入問題」といったページがあります。ここでも種々の問題点を指摘し、軽減税率に疑問を提起しております。

 このように多くの問題があるのに、たったの2%しか軽減しないというのでは全くもって意味が無いのではないかと思うのであります。


<参考>「消費税の軽減税率について(3)~その先にあるもの