山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

害虫といわれる昆虫について(農薬そして雑草と共存することについての一考察)

2012-09-27 | 農業

 害虫駆除のため多量の農薬が使用されております。ミツバチが激減したのも農薬が原因だと主張されております。農薬は害虫だけでなく益虫も殺してしまいます。そもそも「害虫」や「益虫」と分類することは、何とも驕った考えではないのでしょうか。人間にとって都合が良いか悪いかだけで勝手に害虫とされてしまった虫君こそ哀れです。そして農薬を散布しても、一時的に抑制できても害虫を根絶することはできません。

 と言いつつ、私も農作物に影響を与える虫を駆除しております。ただ農薬を使用せず手作業で実施しております。これは作物の生育を大きく阻害している場合に必要最小限(これは労力が足りないからでもありますが・・・)に抑えております。

 植物に虫が取り付くのは、植物本体を食べたり、養分(体内の液体)を吸いとるためです。植物は生長を妨げられたり、極端な場合には枯れてしまいます。虫の中には雑草に取り付く虫もいます。ですから作物に取り付けば害虫とされ、雑草に取り付けば益虫とされるのでしょう。

 ミツバチは花の蜜や花粉を集める際に受粉を手助けすることから益虫として扱われております。蝶も同様に受粉の手助けをしますが、一方で作物に産卵し、その幼虫は作物の葉を食害します。ですからどの範疇に入れるべきでしょうか。更に、例えばテントウムシがアブラムシを捕食するように害虫とされるものを捕食する虫、いわゆる天敵と言われている虫も益虫であると考えられます。

 田畑の植物が多様であれば、昆虫も多様になります。害虫が増えれば、それを捕食する天敵も増加して一定の均衡を保つようになっております。このように田畑においては、小さいながらも生態系を構成しているといえます。しかし、現代農業においては、生産性の向上のため単一作物を作付けすることが主流となっております。そうすると、その作物を好む害虫が大量に発生する要因になります。天敵の数は、害虫の増加にやや遅れて増加するでしょうから、均衡する前に作物は害虫によって大きなダメージを受けてしまうでしょう。これを避けるために農薬散布による害虫駆除が行われることになります。害虫だけを選択的に駆除することは難しいでしょうから、益虫をも同時に駆除してしまうことになります。しかし、しばらくすると再び害虫が発生します。このとき天敵もいなくなっておりますので、また農薬に頼らざるを得なくなります。

 田畑の植物が多様であれば、害虫も天敵も多様になります。一時的に特定の害虫が優性になっても、多様な天敵により害虫が抑制され、単一作物ほどの被害は受けなくなります。また、害虫の被害を少なくしたいならば、手作業等で一時的に害虫を駆除してやれば天敵優性な状況を作れますので均衡の時期を早めることができます。これは作物と雑草の関係と同様に考えられます。

 このような観点から、たとえ単一作物を作付けした場合でも雑草と共存することにより生物多様性を高めることができるのではないかと考えます。これが「雑草と共存する農業」で述べている「雑草の繁殖は害虫の温床になる」との指摘への私なりの回答になろうかと思います。

 余談になりますが、F・シャブスーによれば、害虫が好む植物の体内には、アミノ酸、糖類、可溶性の無機養分などの水溶性の養分が多く蓄積されているとのことです。健康な植物は、物質代謝が高く、これらの養分が蓄積することが少ないそうです。これらの養分が蓄積される要因として、植物が不健康であるか、与えられた養分が過剰であることが挙げられると思います。いわゆる化学肥料は植物にとって吸収しやすい形態となっており、これを過剰に与えることによって、植物体内に不要な養分の蓄積が発生してしまうことになるという訳です。

 害虫といえども不味いものは食べたくないでしょう。先ずは美味いものに取り付くのが道理です。現代農業は自ら害虫にとって美味しいものを提供して、害虫を呼び寄せ、そして天敵もろとも駆除しているともいえるのではないでしょうか。ここ数十年このようなことを繰り返し繰り返し行ってきても一向に害虫が死に絶えたという話を聞いたことがありません。それどころか次々と新しい強力な(?)農薬が開発されているではありませんか?

<参考> 「現代農業は巨大な化学実験場か?