山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

解散権は首相の大権と言いますが・・・

2012-09-02 | 政治・経済・社会

 政局は、代表選・総裁選に移っているようですが、解散・総選挙はどうなっているのでしょうか。

 衆議院の解散権は首相の専権事項乃至は首相の大権と言われているようです。あるいは伝家の宝刀とも言われているようです。衆議院議員の全ての首を切ることになる訳ですから、それはそれは大した権力であることには違いはありません。ですから首相が好き勝手にこの大権を行使して良いというものでは無いものと考えられます。即ち、議会が気に入らないからといって、何時でも都合の良い時に解散されようものならば、議会は内閣に対して何もものが言えないようになってしまいます。

 ということで憲法の規定を眺めてみると、衆議院の解散に関しては、憲法第7条及び憲法第69条に規定があります。ここで問題になるのが、衆議院の解散が第69条に限定されるのか、第7条によってもできるのかということです。第7条による解散ができるとすれば、先に述べたように首相の好き勝手な時に何の理由も無く解散できることになります。

 そもそも国会議員は、国民の直接選挙によって選ばれた方々です。それに比べ首相は、国会の議決で指名することになっております。また、憲法第41条によって、国会は国権の最高機関であると規定されております。その構成員たる衆議院議員の首を切ることを内閣(実質的には首相)の意思のみで実行することが果たして許されることでしょうか?

 第69条の趣旨は、立法府と行政府が対立した場合に、衆議院が内閣に対して不信任乃至は信任の決議を行い、内閣に対して総辞職または解散の決定を迫るものです。このように対立の最終的決着を国民に求めようといったことでしょう。

 ひるがえって、第7条は天皇の国事行為を定めたものであって、これには内閣の助言と承認が必要であることを規定したものと考えられます。国事行為の中に衆議院を解散することと定められていることをもって直ちに内閣に解散権があると解することにはいささか無理があるように考えます。ただ、現実には第7条による解散が可能であるという説が通説であるようですし、実際に第69条に拠らない解散が行われております。

 しかし、第7条による解散を無制限に認めると弊害が多いように考えます。首相の恣意によって、何時でも解散が可能となれば国民の意思が、首相一個人の意思によって踏みにじられないとも限りません。よくよく第7条解散は、抑制的に行う必要があるように考えます。

 何れにしろ、その黒白は国民が判断すれば良いことです。大義名分無き解散に対しては、国民の鉄槌がくだるものと覚悟して、くれぐれも大権を弄ぶことがないようにお願いしたいものです。