山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

種蒔き時期に月の引力が関係???

2016-03-25 | うんちく・小ネタ
 昔より種蒔きを満月(人によっては新月)の時期に行った方が良いと言われております。農業にはこの種の言い伝え的なものが数多くあります。長年の経験から出てきたものもあるでしょうし、まったくの迷信みたいなものもあります。私は全く気にせずに、天候や自分の都合によって種蒔きを行ってきました。

 満月や新月に種蒔きを行った方が良いというのは、太陰暦を採用していたことからくるのだと思われます。ところがネットで調べてみましたところ、潮の干満により地下水が上下したり、月の引力で植物体の水分が移動するだの、果ては種が発芽するのは先ず根が先だから、月の引力が下に働く時期(満月の時)が根が伸びやすいといった理屈付けがなされておりました。

 潮の満ち引きに月や太陽の引力が関係しているのは良く知られるところです。しかし、海のそばでない限り、潮の干満で地下水位に影響があるとは考えられません。

 そこで月の引力を計算し、地球による引力と比較すると月の引力は、概算で1/280000と大変微弱なものとなります。また、地球は地球と月の質量中心の廻りに円運動をしております。この遠心力も月の引力と同じオーダーですので、月の引力と同程度といったことになります。遠心力の方向は地球の自転により変化しますので、一日を周期として変化します。

 ということで、月の引力と円運動による遠心力の合力は、地球の引力に比べると無視できる位に小さなものと言えます。よって、植物の発芽や成長に等々にとって月の引力は無関係であると推測できます。もし、月の引力が関係あるとすれば植物は非常に高感度な加速度センサーを持っているということになります。
 更に言うならば、満月の夜は月は天空にある訳ですから、月の引力は月の方向すすなわち上を向いているのでは?(昼間は下向きとなりますが・・・) 

 種蒔き時期と月の引力の関係の論者の主張は、一見合理的であるように思えます。事実多くの方々が賛同しておられます。しかし、数量化してみるとおよそあり得ないことであることが理解できます。何事も鵜呑みにすることなく、色々と検討してみることが重要であると思いますし、私もできるだけそのような態度で臨みたいと思っております。

 このような検討を加えていく中で、潮汐力について誤解していたことに気づかされました。潮汐力が月の引力によるものだということは漠然とは理解しておりましたが、なぜ一日で干満が2回起こるのかといった疑問をもっておりました。つまり、満潮は月の方で干潮は月の逆側で起こるものだと単純に理解しておりましたので、これでは説明がつかないのですが、それ以上考えることをしておりませんでした。というかあまり興味が無かったのです。今回の検討でこれが間違いで、これら両方が満潮でその90°方向が干潮であることが分かりました。これでやっとストンと落ちた思いです。やはり思い込みは怖いですねー。