曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

カバマダラの羽化

2013年08月27日 | 日記

 8月25日の早朝待ちに待ったカバマダラの羽化が始まりました。

7月中からオレンジ色の蝶が家の近くで飛んでいるのを見かけていたのですがカバマダラだとは思わなかったので確認しませんでした。8月3日に初めてトウワタの花に止まっている姿を見てカバマダラだと気が付いたのです。その日のうちに町内を一回りして生息状況を調査しましたが5頭ほど町の中で見かけたくらいで大発生とまではいっていませんでした。幼虫は見つかりませんでしたが蛹殻や羽化できなかった蛹は数個見つかったのでその時期1次発生がちょうど終わったところだと考えられます。家のまわりのトウワタにはすでに卵が産み付けられていて2次発生がすでに始まっていました。8月の5日ごろから毎日卵の様子を観察し初めましたが卵は孵化する前に姿を消すものが結構多く蟻か何かが持ち去るのかもしれません。初めには結構たくさんあった卵がどんどん減ってゆくのを見ると少しは確保しておかねばならないかと思いトウワタと一緒に数個家の中に持ち込みました。その後野外の卵も残ったものは孵化し始めましたが、これで順調に行くかとみていると幼虫も大きくなる端から姿を消すようでこのままでは絶滅の恐れもあると考え、今度は初齢の幼虫を集めては家の中に確保することにしました。ようやく10匹あまりの幼虫を集め飼育箱で育てたのですが何とかみんな無事に育っています。その中で初めの頃確保した卵から育ったものが25日に2頭・26日に4頭が羽化しました。メスが2頭とオスが4頭です。何とか次の世代に繋がってほしいと思っています。飼育の方は順調なのですが時期的に見て野外で育った蝶も運よく生存できたものはそろそろ出始めてもよい頃です。注意して家のまわりを見ているのですが昨日初めてオスが1頭見つかりました。今日も飛んでいたのは1頭だけですぐには数が増えません。今飼育したものを外に放つと自然のものと区別がつかなくなるのでもう数日間飼育の蝶は家の中で隔離しておこうと思います。4年前に近所で大発生した時は10月以降でした。今回は7月からの発生で前回とは状況が少し違います。一般的な蝶の幼虫の天敵としては蜂類が挙げられますが、蜂の子育ては遅くとも9月までで10月以降はほとんど餌として幼虫を狩りすることはありません。8月はまだ蜂の子育てが行われていて観察していると蜂は頻繁にトウワタにやって来て餌を探しているようです。私が幼虫の状態を観察している時、トウワタを順々に見てゆきますが幼虫のいた所に印を付けて一回りして元の所へ帰ってみるともう幼虫の姿が消えていることが何度もありました。終齢幼虫のように大きなものでしたら数分で自分で移動して姿を消すことは可能でしょうが初齢とか2齢の幼虫はしばらくは同じ葉にとどまるものです。消えたということは何かが持ち去ったということでしょう。このように今の時期にはカバマダラにとって卵や幼虫を天敵の何者かに取られる確率は非常に高く成虫にまでなれるものはいくらもいないのではないかと想像できます。それから、4年前に大発生した時と状況が異なっているのは餌のトウワタが町の中から激減していることです。4・5年前まではトウワタはきれいな花として庭や花壇に植えていたお家が沢山ありました。ところがトウワタはタンポポのように毛のついた種を大量に飛ばしあちこちに異常に繁殖する植物だとわかって最近は見つかるとすぐに引き抜かれ目の敵にされるようになりました。町の中を調べてみて分かったのですがトウワタはごく限られたところにしか残っていませんでした。これでは前回のような大発生はあり得ないかもしれません。今月カバマダラを観察していてもう一つ面白いことが考えられるようになりました。7月に発生したカバマダラは8月の15日ごろまでは家のまわりにかなりの数いましたがその後急に姿を見なくなりました。カバマダラは普通数か月は生きるはずですから全部死に絶えたとは考えられません。この近辺に食草のトウワタがあまりないことから卵を産むだけ産んでからどこか他の所を目指して飛び去ったのではないでしょうか。カバマダラはよく台風に乗って南から運ばれた迷蝶だとされていますが、自らの意思で北を目指して移動してきたのかもしれません。実際今年は南の迷蝶を運ぶような台風は6月7月にはありませんでした。アサギマダラのように自ら北を目指して飛んできたのかもしれません。8月初めに生まれたカバマダラはさらに北へ行ってしまったのではないでしょうか。安下庄にカバマダラがやって来たのは4年ぶりですがその間近くの光市で発生した例もあります。こんなに頻繁にやって来るのは何か理由があるのでしょうか。あくまで仮説ですがアサギマダラのような渡りの性質をカバマダラも持っているのかもしれません。それとも、食草のトウワタの本土への普及がカバマダラを誘っているのかもしれません。飼育してみるとその蝶の生態がよくわかりさらに不思議な行動が見つかったりして、いろんなことが次々と想像されてこれもまた楽しいことです。

 


カバマダラの羽化を動画に撮ってみました。

2頭が続けて羽化したので少し長くなりました。15分もありますが退屈しないように音楽をつけておきましたので最後まで見てください。

卵から幼虫になり蛹を経て蝶になる、しかもたった20日くらいでここまで変化することは不思議ではありませんか。 

 

動画を見るには下のアドレスをクリックしてください。 

 

http://www.youtube.com/watch?v=qeAlI6WvERs&feature=youtu.be