曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

アサギマダラの様子 1月4日

2015年01月04日 | 日記

 元日から毎日、地元周防大島のアサキマダラの生息地に出かけて観察・調査を行っています。昨日も見てきた生態調査を報告したばかりですが今日4日にはとても面白いというか興味深いことが見られましたので続けて報告します。

今日調査に行った場所は旧東和地区の地家室です。何時もマーキング調査に協力していただいている福田さんの畑でフジバカマが数百株も植えてある畑で秋には数百のアサギマダラが集まる場所です。畑の側に水路があってそこの木陰になった所にキジョランが2本植えてあります。樹高はまだ2mくらいで観察するには最適の大きさです。写真でお見せしますがどの葉にも多数の食痕があって沢山の卵が産み付けられたことが分かります。今日の調査では各葉に1匹づつほとんどの葉に幼虫がいてキジョランの木の大きさに対して過剰な数の幼虫を見ました。大きさはほとんどの幼虫が2齢から4齢でこの時期としては普通かなと思いました。ところが一枚の葉に生まれたばかりの初齢幼虫が2匹いるものを見つけたのです。よく観ると生まれたばかりではあっても大きさに少し差がありました。やや大きい方の幼虫は前日に孵化して卵の殻を完全に食べ尽くし今日はキジョランの葉に円形の傷をつけ始めた所の様でした。面白いのはもう1匹の小さい方の初齢幼虫です。肉眼で見たときには何をしていたのかよくわからなかったのですが帰って写真を拡大してみるとまだ自分の卵の殻を食べていたようです。写真には食べかけの卵の殻が写っています。同じ葉の別の所に食べかけで放置してある卵の殻もありました。これらの写真から考えられることは今日を含めた数日の間に数個の卵が孵化したことになります。大島としてはとても遅い時期の孵化だと思いますが昨年も別の場所で1月の初めごろ卵とこのような生まれたばかりの初齢幼虫を見ています。このような遅い時期に孵化する卵はいつ産み付けられたのかこれが興味深い疑問なのです。雌の成虫はいつまでこの大島に滞在するのかそれが知りたいところです。夜になって屋久島の方と電話で話して屋久島での今の生態状況を聴かせていただきました。さすがに屋久島は南国で4日の調査では10頭くらいの成虫を見かけてそのうち6頭を捕獲してマーキングされたようです。ということはこの時期でもメスの産卵は続いているのでしょう。春の新しい成虫が出るのが屋久島と周防大島では約1か月違います。秋から冬にかけての成虫が姿を消すのもやはり1か月の差なのでしょうか? 観察して行けば行くほど新しい謎が生まれてきます。楽しいですね。

 


1月4日 地家室のキジョランにいるアサギマダラの幼虫

 

 

生まれたばかりの初齢幼虫2匹

 

これが問題の幼虫です。

 

孵化した後放置された卵の殻

 

ここのキジョランはあまり大きくないのでこれだけ沢山の幼虫を養うことはできないでしょう。春まで生き残るのは何匹でしょうね。