曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

カバマダラの卵が大変なことに !

2016年11月30日 | 日記

今日の花

秋桜  秋と春の二回咲きます。と言うより、秋に咲き始めて春までずっと少しづつ咲き続ける桜です。

 


11月も今日で終わり明日から師走です。一年の経つのは早いですね。

 昨日の晩、カバマダラの卵に大変なことが起こっていました。今、室内に置いたカバマダラの卵を毎日眺めて楽しんでいますが、夕方飼育室で幼虫や卵をいつものように眺めていると、一つの卵からちょうど生まれつつあるカバマダラの幼虫の頭が出た状態のところでした。いいタイミングとばかりに写真や動画を撮りました。普通卵の殻を破って孵化するのはそれほど長くはかからないものですが今回はなかなか出てきません。様子を見ていると玉子の殻にあけた穴が小さすぎて途中で体が出なくなった様子で、前にも進めず後ろにも退けずの状態に陥っている模様です。どうしようもないのでしばらく様子を見ることにしました。2時間経ってもそのままです。このままおいておくと卵から出られないまま体力を消耗してやがて死ぬでしょう。何とかしなければと、卵の付いたトウワタの葉先を切り取ってテーブルの上に置きカメラの拡大機能を使って大きくモニターに映して様子を見ると卵の横に穴をあけて出ようとしているのが分かりました。自分でかじって開けた穴が小さすぎたのです。穴を大きくしてやればよいのですが幼虫を傷つけずに卵の穴を大きくするにはどうしたらよいか考えました。よく見ると卵の上部は空になっています。そこに針の先を突き刺して上に引っ張れば横にあけた穴は大きくなるかもしれません。幼虫の体力を考えるととにかく早くやるしかないのです。木綿針を持ってきましたがそのままでは針の先端は大きすぎます。砥石で針先を鋭くなるよう砥いでかなり細くしました。直径0.3mm高さ1mmの卵の先端部に針を刺すのですからとても難しいです。肉眼では先端に挿す自信がありません。カメラのモニターに大きく映して画像を見ながら針を動かします。まるで脳神経外科みたいですよね。慎重に慎重に針をさして卵を上に引っ張りました。卵の殻が破れてくれることを期待したのですが、卵の殻は意外に弾力があり丈夫で引っ張ると卵が葉から離れてしまいました。こうなると殻を針で破ることはできなくなりました。策の無くなった私は途方に暮れていましたが卵が葉から離れたものだから体半分出している幼虫は足で這うことができるようになりました。体の半分が卵の中に入った状態の卵を引きずって這い始めたのです。まるでカタツムリのように。私にはもうどうしようもありません。仕方なく幼虫は放っておいて食事に行きました。30分後に帰って来てみるとカタツムリの幼虫はいないのです。切り取ったトウワタの葉がテーブルの上にあるだけです。ピンセットでそっと葉をひっくり返してみると卵の殻から抜け出した幼虫がトウワタの葉に付いているのが見えました。やったねー ! 卵の殻が何かに引っかかった状態で自分の足を使って下半身を引っ張り出したのでしょう。おめでとう。よく頑張ったね。私の針での失敗も無駄ではなかったようです。この小さな命がこれから無事に成長することを祈ります。

 


カバマダラの孵化の瞬間

 

卵から頭がのぞいているのを見つけました。

10分たっても出てきません。おかしいと気付きました。

詳しく見るためには作業のしやすいところに置かねばなりません。葉先を切り取りました。

よく見ると足が2本しか出ていません。幼虫には足が3対の6本あるのです。足が全部出ていたら卵の外につかまって体を引き出すことができたかもしれません。

これからとても難しい針を卵の上部の空洞になっている所に挿さねばなりません。この作業は写真に撮ることはできませんでしたがなんとかうまく幼虫を傷つけずに卵の殻の上部に針を刺しました。

その結果がこうです。

失敗だと思いましたが、足が全部出ているのです。カタツムリのように卵を背負って歩くことができるようになりました。

 

40分後 無事に自力で卵から抜け出していました。

針は正確に卵の上部の真ん中を刺していました。

 

そして今日の状態です。 トウワタの葉を2か所かじっています。

無傷で成長を始めたようです。私の手助けで小さな命が生き続けることができたようです。

 


もう一つの小さな命

この幼虫はお母さん蝶が間違えて補虫網に卵を産み付けた卵から孵りました。エサとなるトウワタの上に乗せなければなりません。

 

今日の様子

 


別の幼虫

 

花に産み付けられた卵  花が散る前に孵化しないと落ちてしまいます。