
小松市の観光スポットレポート(No.955)
◇前田利常公の足跡を訪ねて ⑦多太神社
10)多太神社(八幡宮)
遥か昔、武烈天皇5年(503年)の時に創建されたと伝えられている歴史ある多太神社。
ここには、とある伝説の兜が奉納されている。国指定重要文化財(旧国宝)で、斎藤実盛の兜である。
■写真は多太神社鳥居

時代は平安末期、源平合戦のまっ最中。兜の持ち主だった斎藤実盛は、平家の武将として戦っていた。倶利伽羅峠の合戦で敗れ、加賀の篠原で再び陣を取り戦ったが、木曾義仲軍の前に総崩れとなった。そんな中、実盛は老体であったが踏みとどまって奮闘し討ち死にした。
その後、義仲がその首を池で洗わせると、墨で塗った黒い髪がみるみる白くなり、幼い頃に命を救ってくれた実盛の首だとわかった。義仲は人目もはばからず涙したという。
実盛は出陣前からここを最期の地と覚悟を決めており、老いを侮られないようにと白髪を黒く染めて出陣したのだ。時に実盛73歳の老齢だったという。
■写真は斉藤実盛の兜

後に、義仲が戦勝祈願のお礼と実盛の供養のために、多太神社に兜を奉納したのである。この兜にまつわる実盛と義仲の話は「平家物語」巻第七に「実盛」として語られている。
■写真は斉藤実盛像

それからずっと後の元禄2年(1689年)、松尾芭蕉が「奥の細道」の途中にこの地を訪れた。兜を見た芭蕉は実盛を偲び句を詠んだ
「むざんやな 甲の下の きりぎりす」
■写真は芭蕉像

境内には句碑が建っている。その句碑のそばに「松尾神社」という神社があるが、これは松尾芭蕉とは関係ないので「俳句がうまくなりますように…」などとお参りしてもご利益は期待できない…。ちなみに松尾さんはお酒の神様です。
(資料:まるごと・こまつ・旅ナビホームページより)
■写真は芭蕉句碑「むざんやな 兜の下の きりぎりす」
住所:石川県小松市上本折町72
□多太神社紹介ページ


■写真は芭蕉句碑「あなむざん 兜の下の きりぎりす」と看板


■写真は拝殿
(つづく)