藤前干潟
今日の満潮時間 6時19分 潮位250cm
今日の干潮時間13時04分 潮位 3cm
今日は、雨が時折パラパラと降る、湿度の高い梅雨らしいお天気でした。
とてもさわやかだった一昨日のお天気が懐かしいくらいです。
先日(5月26日)の藤前干潟クリーン大作戦の清掃後に、中堤会場では干潟観察会とヨシ植栽実験が行われました。
野鳥観察館のスタッフがお手伝いした干潟観察会については5月26日の日記で少々報告しましたが、この観察会と同時間帯に「ヨシ植栽実験」として、中部大学上野研究室の学生さんや一般参加者の方が、干潟にヨシを植えていました。
庄内川河口には広大に広がるヨシ原があるのですが、近年、そのところどころにヨシが全く生えず、ぽっかりと泥だけが広がる場所できてきて、だんだんと目立つようになってきています。
ヨシ原は生きものがたくさん生息する場所です。また、漂着ごみの観点から見ると、ヨシがあることで庄内川河口に流れてきたごみの一部がヨシにひっかかり、伊勢湾、さらには太平洋に流れ出るごみが少なくなります。また、庄内川河口にごみがとどまっていれば、クリーン大作戦などの清掃で拾うことができるかもしれません。
このようにヨシ原は重要なものであるので、ヨシ原の衰退原因を中部大学上野研究室と藤前干潟クリーン大作戦実行委員会がここ数年調査してきており、5月26日にヨシを植えてみることになりました。
ヨシを植え終わった直後の干潟↓(5月26日、藤前干潟クリーン大作戦実行委員会Sさん撮影)。植えたヨシは写真ではあまりよく見えませんが、3区画にそれぞれ16苗ずつ植えたそうです。
ヨシ植栽実験に参加された方々↓(5月26日、藤前干潟クリーン大作戦実行委員会Sさん撮影)。
そして、今日は、5月26日に植えたヨシの状態を調べる調査が行われていました。
雨が少し降っていたので、パラソルを設置して、それぞれの苗の状態や茎の数、茎の太さ、苗の高さなどを計測・記録していました。
植えてから1か月経っていないので、まだ結果はよく分かりませんが、植えたヨシは無事根付くでしょうか。調査されていた実行委員会のみなさん、お疲れ様でした。
この調査は今後、毎月1回行われる予定だそうです。
そして、調査していたヨシ原の周りでは、カニたちがとても活発に動いていました。恐らくは、薄暗く、雨が降ったり止んだりというお天気だったからだったと思われます。
干潟の上やヨシの根本を歩き回るカニも多数いたのですが、ヨシの茎や葉にのぼっているカニもたくさん観察できて、驚きました。
こちらは葉の上にいたベンケイガニ↓。この少し前には、ヨシの葉の先を器用に裂いてちぎって食べていました。この他、クロベンケイガニもヨシにのぼってヨシの葉を食べていました。
どのカニも葉から葉へ、茎から葉へとスムーズに移動していきます。
今まで、カニは地面にいるものを上から観察するものと思っていたのですが、今日は2m以上あるヨシの高い位置にいるカニたちを少し見上げるようにして観察していて、とても不思議な気分でした。
そして、ベンケイガニたちがヨシを食べているのを初めてしっかりと観察できました。
また、カニだけでなく、ヨシにのぼっていたカワザンショウガイ(大きさ数ミリの小さな巻貝)も観察できました。(※カワザンショウガイの多くは干潟の上にいました。)
今日のヨシ原では多くの発見があり、嬉しい日となりました。
さらに、今日は野跡コミュニティセンターで毎週金曜日行われている「野跡ふれあいサロン」で、稲永ビジターセンターのスタッフと一緒にお話しをしてきました。
(野跡ふれあいサロンは、地域住民のボランティアの方が、地域の住民の方の健康づくりや生きがいづくりを目的として、毎週金曜日の午後に行っているサロンで、地域の方がたくさん集まる場となっています。)
前回にお話に行ったときは、藤前干潟に飛来するカモを紹介した後、「カモのパタパタ鳥」という工作を行いましたが(→3月23日の日記)、今日は「鳥の羽」についてお話してきました。
様々な鳥の羽の実物を紹介し、実際に触れて見た後・・・、
風切羽を投げてどのように飛ぶか見てみたり、風切羽にスポイトで水滴を落としてはじくことを確認したり、と少し実験的なこともしてみました。
鳥の風切羽が水をはじく実験は、多くの方がこんなにきれいにはじくとはびっくりしたと、喜んでくれていました。
鳥が飛んだり生きていくために欠かすことのできない羽。その美しさや微細構造のすばらしさを少しでも知ってもらいたいな、と思ってお話しましたが、私たちの想像以上に興味を持ってくださったようです。野跡ふれあいサロンに参加されたみなさん、今日はありがとうございました。
【藤前干潟に関わるイベント等のご案内】
☆6月1日(金)~7月1日(日)環境省レンジャー写真展2018「中部の自然」@碧南海浜水族館(主催:中部地方環境事務所)
国指定藤前干潟鳥獣保護区、伊勢志摩国立公園、白山国立公園で働く環境省職員「レンジャー」と「アクティブ・レンジャー」が撮影した写真が展示されています。
6月24日(日)には、「藤前干潟の生きものちぎり絵」ワークショップも開催。→詳細はこちら(PDF)
☆7月8日(日)藤前干潟のベンケイガニに触れてみよう@南陽交流プラザ(藤前干潟クリーン大作戦実行委員会)→詳細はこちら(南陽交流プラザのHP)
☆7月22日(日)「野鳥とトビハゼのペーパーキャップを作ろう!」@名古屋市博物館(藤前干潟ふれあい事業実行委員会)
名古屋市博物館では、7月14日(土)~9月17日(月)に特別展「海たび 尾張・知多の海とひとびと」 が開催されます。
この特別展では、盛りだくさんの展示品で尾張(名古屋周辺)・知多地方の海の文化などを知ることができるそうです。
特別展期間中の7月22日には藤前干潟のワークショップ「野鳥とトビハゼのペーパーキャップを作ろう!」が行われます。ぜひ、足をお運びください。
→特別展「海たび」の詳細はこちら(名古屋市博物館HP)
☆7月28日(土)藤前干潟の渡り鳥調査隊~7月~@名古屋市野鳥観察館
毎月1回、野鳥観察館で行っている「渡り鳥調査隊」。藤前干潟の野鳥の観察をしながら、種類と数の調査にチャレンジします。初心者大歓迎です。→詳細はこちら(PDF)
☆コアジサシ営巣誘致募金実施中!(日本野鳥の会愛知県支部)→詳細はこちら(2月14日の日記)
野鳥観察館でも募金の受付をしています。
明日の満潮時間 7時03分 潮位245cm
明日の干潮時間13時50分 潮位 9cm