落葉松亭日記

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「形なき侵略戦」

2006年03月28日 | 政治・外交
 正論3、4月号で中西輝政・京大教授の「形なき侵略戦」と言う記事を読んだ。戦後の日本が各国の諜報活動に赤子のように無防備であることを警告している。そして今こそ政治家も国民も、日本を「自分の足で立てる」国家にするのだという問題意識を強く持つことが望まれるという。
 長い論文から印象に残った文を引用する。
 インテリジェンス・リテラシー(諜報活動を含む情報活動に対する認識や対処)の貧困がいかんともしがたい。

 卑近な例として、上海領事館員自殺事件があり国家の存立にもかかわる重大事件であったにもかかわらず、国会での議論が日本側の対応を俎上にあげるばかりで、卑劣な工作で日本外交官を死に追いやった中共に対して具体的にどう対処していくかという本質的な議論がなされていない。

 産業界ではヤマハ発動機が軍事転用可能な無人ヘリを不正輸出した例もある。

 中国側の根拠のない尖閣諸島領有権の主張や、潜水艦の領海侵犯で高まった東シナ海の緊張、いわゆる「媚中派」がはびこる日本の政界官界など、米国防情報局N・エフティミアデス分析官が10年前に予測していたことが、今予言通りに展開していることに驚かされる。

 1970年代のソ連の諜報活動について・・・
 ソ連共産党政治局が当時の日本社会党に10万ルーブル(3500万円)を提供することを決定し、以降毎年同じぐらいの額を与えていたということがKGB公文書で明らかにされている。社会党の勝間田清一氏がKGBのエージェントで1974年に400万円が彼個人に支払われた。
 自民党の石田博英元労働大臣もエージェントだった。驚くことにこの二人は勲一等旭日大綬章を受章している。
 ・・・
 スパイ防止法、機密保護法制、防諜体制を整備するという国家意志の発動が待ったなしに迫られている。

 これらの論文を読んで現在の日本がいかにインテリジェンス・リテラシーのない国であるかを思い知らされた。
 その方法も手の込んだものや単純なものまで様々、昔「スパイ大作戦」というTV映画があったが、荒唐無稽でも何でもなく、「形なき侵略」が政界経済界、大学、報道など広く深く浸透している。

 おりしも、この3月末、日中友好7団体が中日友好協会の招きに応じて訪中し、胡錦涛国家主席の「重要講話」を聴くそうだ。
 訪中する7団体と会長は、社団法人日中友好協会の平山郁夫会長、日本国際貿易促進協会の橋本竜太郎会長(元首相)、日中文化交流協会の辻井喬会長、日中友好議員連盟の高村正彦会長(元外相)、財団法人日中経済協会の千速晃会長(新日鉄会長)、社団法人日中協会の野田毅会長(元自治相)、財団法人日中友好会館の林義郎会長である。
 麻生外相がいうように「国益と友好」の優先順位を間違えないようにしてもらいたいものだ。