大晦日の昼、バイクを走らせて、息子の工房に向かう。田舎の空気を胸いっぱい吸うと自然と心も和む。工房の草木や苔や葉を落とした柿の木を眺めても気持ちが和らぐ。つい、カミさんがそばにいたら、季節の移り変わりの小さな変化を発見して、短い会話を交わしただろうなあって、思ってしまい、また切なくなる。
工房の片隅に山道具を置いている「秘密基地」に入り、薪ストーブに火を入れる。長居するわけでもないけど、焚き納めだ。
小枝から薪に火が移り、美しく揺らぎだす炎を静かに眺める。揺れる炎に、しょげた心が癒される。
2014年は今日で終わる。新しい年はカミさんのいない未知の生活の始まりでもある。
今の深い喪失感からいつ立ち直れるのかわからない。焦らず、自然体で、ゆっくりと義母と二人っきりの生活を立て直していこうと思う。
日々の生活で空気のような存在だったかけがえのない人を失った今、寂しさに負けずに努めて明るく生きようと思う。