アメリカで隔月刊発行されている日本庭園専門誌「Journal of Japanese Gardening」で日本庭園のナンバーワンとして島根県の足立美術館が選ばれたという記事を日経新聞のコラムで読んだ。2013年の第1回から12年連続らしい。
1位 足立美術館(島根県)
2位 桂離宮(京都府)
3位 山本亭(東京都)
4位 京都平安ホテル(京都府)
5位 養浩館庭園(福井県)
確かに足立美術館の庭園は背景の山を借景としてうまく利用していて広大で美しい庭園だとは思う。特に日々の手入れが隅々まで行き届いていて、いつ訪ねても綺麗で美しい。
だけど日本文化には歴史という要素が欠かせない。
歴史の厚みという要素が加わることで美しさに深みが出てくる。庭園に限らず伝統芸術や伝統工芸品にも同じことが言える。だから庭園の規模は小さくても、樹間から落ちる光線を受ける苔にさえ目を奪われ、心が安らぐ。長い歴史を経た庭には独特の落ち着いた奥深い寂れた美が感じられる。
足立美術館の庭園は綺麗ですばらしいと思う。だけど、日本を代表する最高の庭園と言われると正直、首を傾げてしまう。日本には遥かにそれを凌ぐ価値のある古い庭園が数多く存在する。地味だけど歴史を重ねた古い庭園との思わぬ出会いは旅をする楽しみの一つでもある。おそらくこういう歴史を重ねるものの価値観は日本人には容易に理解できても、欧米人には理解しづらいものなのかもしれない。