■【あたりまえ経営のすすめ】経営戦略編 経営理念の構築・再構築 31 経営理念の役割・必要性・効果
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀にわたる経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■【経営支援編】第5部 経営戦略編 戦略思考で経営者・管理職のレベルアップを図る 3章 経営理念の構築・再構築に取り組む
企業経営では、日常業務におけます事項から、経営戦略など、企業の根幹になるようなじこうまで、いろいろなレベルや内容の意思決定をしなければなりません。
高度な戦略的な意思決定を行うには、戦略思考ができませんと、誤った方向に企業が走り出しかねません。
一方で、戦略思考というのは、容易には身に付けることは困難です。この課題に取り組んで行きましょう。
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5-3 経営理念の構築・再構築に取り組む
経営理念とは何かについて、共通認識ができましたら、実際に経営理念構築・再構築の実務編に入りたいと思います。
経営理念をどの様に構築・再構築するか、その方法となりますと一般的には確立されていないといえます。他社の事例を参考にして経営者が、エイヤーッと作成したり、経営コンサルタントに依頼して作成したりとするケースが多いようです。
ここでは、経営理念だけではなく、経営基本戦略や中長期経営計画など、経営管理を行う上で、関連する次項を念頭において、経営コンサルタント歴40年余の実績から、経営理念構築・再構築の方法をご紹介します。
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◆5-31 経営理念の役割・必要性・効果
経営理念を、なぜ必要なのか、「必要性」と「事例」いう観点を勘案したうえで、その役割をみてきました。その中で、各社はどの様な考え方で経営理念を構築しているのかをご紹介しました。
ここでは、経営理念を実際に構築したり、すでに経営理念がある企業では、それを見直したりする具体的な進め方についてお話します。
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経営理念に関する本を読んだり、セミナーを聞いたりした経営者から、「経営理念を新たに作っていただきたいのですが、おいくらくらいかかりますでしょうか?」という問い合わせを時々いただきます。
新曲の歌詞を作詞家の先生に依頼するように、経営理念を専門としているコンサルタントに依頼すれば、立派な経営理念が出来上がるとお考えの経営者が結構いらっしゃいます。
作詞家のような経営理念作成家というような先生がいたとしたら、さぞかし美しい日本語の経営理念が出来上がるのでしょう。しかし、そこに魂を宿らせなければ、絵に描いた餅、「経営理念もどき」にすぎません。
経営理念は、汗水流して、自社で創りあげるべきものです。
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実際に、経営理念構築・再構築の前に、再度「経営理念のあり方」を確認しておきましょう。
経営理念は、「企業内の人間と、その諸活動全体の精神的な支柱となるべき思想」で、下位概念がぶれずに規定でき、展開できる原点でなければなりません。すなわち、経営基本戦略、経営方針、経営ビジョン、経営計画、行動指針・行動基準などのベクトルを、経営理念にあわせられなければならないのです。
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経営理念が、企業経営の最上位概念であることは、再三申し上げているとおりです。
これを経営活動面から見ますと、図のように階段状で表記することもできます。経営理念を最上位概念とし、「上位概念整合性」という、下位の概念は直上の概念と整合性を持たなければならないという考え方で、こちらも他項でご紹介しているとおりです。
「上位疑念整合性」を階段状に表記することで、その理解を全社員に共通認識させるときに有効でしょう。
この経営理念構築におきましては、こちらもすでにご紹介しましたように「ビジョン・ミッション・ストラテジー」という考え方で、まず、経営理念の骨格を築くときに有益な方法の一つといえます。
このように、「経営理念」という抽象的な概念を決める時には、関連する要素を分解して、すなわち「要素分解法」という考え方を用いて、経営理念構築・再構築を進めてゆきますと良いでしょう。
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企業が、反社会的では、周囲の人達だけではなく、社員ですら、その企業の存在意義を高く評価し、その企業の商品・サービスに信頼を置くことはできません。近年、コンプライアンス意識の高まりと共に、社会的責任性を見る目が厳しくなってきています。
「わが社の経営理念の思想に基づいて行動すれば、必ず成功する」と社員が固く信じることができれば、この会社で自分を成長させることができるという意識も高まり、当然定着率も改善します。経営理念に社員が賛同できれば、モチベーションも上がります。
経営者も、自社をどの様に育てて行ったら良いのかをイメージしやすく、経営理念実現の強い意志を社員に感じさせることができるでしょう。管理職に指示を出す際にも、方向性がぶれたりせず、自信を持って行えますので、管理職も経営者の自信や確信を感じ取れます。管理職が、部下に対しても同様に、自信ある話し方で接することができれば、社員も上司を信頼するでしょう。
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経営理念構築・再構築作業に取り組む前に、これらを念頭において、取り組めば、社員だけではなく、ステークホルダーも、会社を強くサポートしてくれるでしょう。
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