母のそばにずっといた叔母が土曜日、自分の家に戻った。
叔母はいる間、フル回転だった。午前中、洗濯掃除。涼しいうちに草取り。草取りが大好きだという叔母、喜んで草むしりにいそしんでいた。母はもちろん草取りも出来ないので、見ているだけ。
その他にずっと念願だった車庫と物置の整理を頼んだ。叔母とわたしと二人で片付けた。母は椅子に座って監督だ。監督の頭の中には物を移動しどういう状態にしたら見栄えが良いだろうかという考えがある。それがあれこれ変わるので、せっかく移動してもまた動かすことになったり。そのたびに三人で意見を交わす。
三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものだ。最終的には落ち着くところに落ち着く。一番良い結果になるということが何度もあった。
叔母がいてくれて、母はどんなに助かっただろう。朝昼晩の食事、台所から運ぶのも出来ず、叔母が運んでくれた。もちろん片付けもだ。家の内外のことはほとんどやってくれた。そして母との語らい。他愛ないことから昔話まで、二人の会話は途切れることがなかった。台所に立ちながら背中でふたりの声を聞く。この時間がずっと続いたらいいのに・・・そんなことも思った。
でもそれはわたしの我が儘だ。わたしが楽をするための我が儘だ。
叔母にとっての家は別にある。ただそこが過ごしやすいかは一概には言えない。こうして母と過ごす叔母の姿を見ていると、しあわせの形がここにもあるのかなと思えてくる。
実家に行くとわたしが夕飯の準備をする役目だ。午後に台所に立っていると汗だくになる。それが分かっているので夕方にはお風呂に一番先にわたしに入れと勧める。わたしも汗臭いのでお風呂をもらう。お風呂から上がると居間に声をかける。
「上がったよぅ。次の方、どうぞぉ」と二人を見る。
すると先日、母が
「友だちが来るからまだ入らないよ」と答えた。
えっ? 叔母とわたしは顔を見合わせた。こんな時間(午後5時)に誰が来るっていうの? って。
母が笑って言った。
「ほら!」
指さす向こうにテレビの画面。そこに映るは『暴れん坊将軍』(しかも40年も昔の)、今まさに馬にまたがり颯爽とこちらに駆けて来るところだ!
「母さんの友だちって将軍様かあ!」とわたしが素っ頓狂な声を出すと叔母が
「たいしたもんだ、将軍様を友だちだなんて言う人、姉以外いないよ」と笑った。
その後しばらく何かあるたびに、ふたりで「なんといっても将軍様を友だちに持ってる人は違うなあ」と言うことが多くなった。特に母が何かしてほしいと頼むときに。
「どうして~、将軍様を友だちに持つ人の頼みだものね。断れないよね~」
母が「んだんだ、断ったら怖いよ~」と笑って言う。
困ったときの神頼み、じゃなくて将軍様頼み。母の友だちは広範囲なのだった。
叔母はいる間、フル回転だった。午前中、洗濯掃除。涼しいうちに草取り。草取りが大好きだという叔母、喜んで草むしりにいそしんでいた。母はもちろん草取りも出来ないので、見ているだけ。
その他にずっと念願だった車庫と物置の整理を頼んだ。叔母とわたしと二人で片付けた。母は椅子に座って監督だ。監督の頭の中には物を移動しどういう状態にしたら見栄えが良いだろうかという考えがある。それがあれこれ変わるので、せっかく移動してもまた動かすことになったり。そのたびに三人で意見を交わす。
三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものだ。最終的には落ち着くところに落ち着く。一番良い結果になるということが何度もあった。
叔母がいてくれて、母はどんなに助かっただろう。朝昼晩の食事、台所から運ぶのも出来ず、叔母が運んでくれた。もちろん片付けもだ。家の内外のことはほとんどやってくれた。そして母との語らい。他愛ないことから昔話まで、二人の会話は途切れることがなかった。台所に立ちながら背中でふたりの声を聞く。この時間がずっと続いたらいいのに・・・そんなことも思った。
でもそれはわたしの我が儘だ。わたしが楽をするための我が儘だ。
叔母にとっての家は別にある。ただそこが過ごしやすいかは一概には言えない。こうして母と過ごす叔母の姿を見ていると、しあわせの形がここにもあるのかなと思えてくる。
実家に行くとわたしが夕飯の準備をする役目だ。午後に台所に立っていると汗だくになる。それが分かっているので夕方にはお風呂に一番先にわたしに入れと勧める。わたしも汗臭いのでお風呂をもらう。お風呂から上がると居間に声をかける。
「上がったよぅ。次の方、どうぞぉ」と二人を見る。
すると先日、母が
「友だちが来るからまだ入らないよ」と答えた。
えっ? 叔母とわたしは顔を見合わせた。こんな時間(午後5時)に誰が来るっていうの? って。
母が笑って言った。
「ほら!」
指さす向こうにテレビの画面。そこに映るは『暴れん坊将軍』(しかも40年も昔の)、今まさに馬にまたがり颯爽とこちらに駆けて来るところだ!
「母さんの友だちって将軍様かあ!」とわたしが素っ頓狂な声を出すと叔母が
「たいしたもんだ、将軍様を友だちだなんて言う人、姉以外いないよ」と笑った。
その後しばらく何かあるたびに、ふたりで「なんといっても将軍様を友だちに持ってる人は違うなあ」と言うことが多くなった。特に母が何かしてほしいと頼むときに。
「どうして~、将軍様を友だちに持つ人の頼みだものね。断れないよね~」
母が「んだんだ、断ったら怖いよ~」と笑って言う。
困ったときの神頼み、じゃなくて将軍様頼み。母の友だちは広範囲なのだった。