幅の狭い小刃をハマグリに仕上げ、更に
刃先にマイクロベベルを付けた特殊技法
の研ぎのナイフ(私の研ぎ)。
この画像で見える広い部分の小刃の幅
は1ミリを切っている。しかしその小刃
の中にさらに極小のマイクロベベルを
刃先に付けている。小刃の中の極細の
マイクロベベルの最頂点の刃先には
さらにエッヂを付けている。なぜこのような研ぎが手研ぎで出来るのか。理由は出来る者は出来るからだ。ダンクシュートは誰にでも出来るものではないが、出来る者は難なく出来る。
そういうものだ。それが理由だ。 でも、出来るんですよ。希望を持って
努力すれば。必ず。
私が私の流儀で研いだ刃物がとんでも
なく切れるのは、「切り」の動作の際
に、この技法による可変的な摩擦抵抗
のプログレッシブな状態を意図的に作り
出しているからだ。
このミクロン単位の先端のエッヂを任意に狙い通りに施せることが刃物の研ぎ
には極めて重要になってくる。切れ味、刃味、切り味を研ぎ手の狙った
制御下に置くには、この刃付け技術は
絶対に必要な技法なのである。
誰にでも出来ない事はいくら公開しても
構わない。再現できないのだから、それ
は秘伝とはならないからだ。
誰でも知ればできてしまう突出したノウ
ハウこそが秘伝というものに類する。
私の刃物研ぎについては、独自のメソッド
を文章と図解でまとめた「早月流研磨要諦」
という解説データがある。
それは刀剣関係者及び懇意の刃物専門家
ならびに私が主宰する刀剣会の会員の希望
者には渡したが、各界の著名人たちからは
賞賛の声を頂戴している。
刀匠藤安将平先生に至っては「参考には
しません。書籍執筆の時にパクります(笑)」
とまで(笑)。
その解説データを読んで研ぎに臨もうと
した刀剣会の友人は「できるか!」と
挫折しかけた。
研ぐということについての正確な作業が
確立していない人には全く役に立たない
メソッド解説書だからだ。
これは「秘伝」には該当しない。再現性
に万人むけの要素が皆無だからだ。
知ったら誰でも出来てしまうから秘匿
するのが「秘伝」なのであるから。
だからといって、見も知らぬ人が読める
ように情報公開するつもりは毛頭ない。
ダンクシュートが出来る人は世の中に
多くいる。
そちらから学べばよい。
私は「先生」ではない。
これは無論、ゼニカネとかの問題ではない。
私が気に入った人にしか、研ぎについても
「切り」についても、私の技法の根幹部分
のメソッドとノウハウは開示しないので
ある。
この刃先の糸刃の中にさえマイクロベベル
を付けている。拡大しないとそれは見え
ない。これは誰にでも出来る事ではない。