稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

トイレ掃除

2016年11月14日 | つれづれ
20年近く前、いまは無い、ホワード株式会社という会社の役員だった。
ホワードは大阪の船場、中堅の繊維卸問屋でいわゆる前売り問屋と言う形態だ。
当時、経営の主流から外れていた私は役員とは名ばかりだったが、
役員会では自分の意見をはっきり言う、という姿勢は絶対に崩さなかった。

営業改革は手詰まりで、現業で売り上げを伸ばすことは不可能に近く、
会社は下り坂のまま、年間で実に1億円もの赤字体質が続いていた。
そして経理畑の役員が主導権を握ったあとは、経費削減が役員会の主議題となってしまった。

ある日の役員会で、経理のY専務から、
外部業者に委託されていたトイレ掃除を社員で全部やったらどうか・・
という案が出た。おお、それは良い案だと、全員が頷いた。

「大賛成です。役員室のあるこの階のトイレ掃除は役員が担当しましょう。
そして会社の中で皆がビックリするぐらいキレイなトイレにしましょう。」
こう私が言った瞬間、場は凍りつき、みんなの顔は曇り、誰も発言しなくなった。
ブツブツ言う者が数人いて、気まずい雰囲気のままこの案は流れてしまった。

結局、役員会では何も審議されないまま、外部委託のままはまま、
日に2回のトイレ掃除が1回になり、数人でやっていた掃除も1人となった。
会社全体でトイレは10数か所あり1人で掃除するのには多過ぎる。
当然、汚れや臭いは目立つようになった。業績はますます低迷しだした。
反主流の私はほどなく役員を降ろされた。

トイレが汚い企業は業績が悪化するという話を若い頃聞いた事がある。
商業界という故倉本長治先生が主宰するセミナーだったと思う。
それから会社のトイレは使うたびにキレイに使うよう心掛けた。
前の人の汚れでも関係なく掃除するようにしたものだ。

今も事務所のトイレだけはキレイにしようと心掛けている。
トイレ掃除をしながら、ふと昔のことを思い出し書いた次第である。
コメント
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