【地中海沿岸地方原産、旺盛な繁殖力で野生化】
ヨーロッパ南部~アフリカ北部の原産。キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属(ビンカ属)で、花がニチニチソウに似て茎がつるとなって地面を這うことから、その名がある。ニチニチソウが寒さに弱く1年草として扱われるのに対し、こちらは寒さに強く常緑の多年草という違いがある。
花期は主に3~5月頃。直立した茎の先に、直径4~5cmの爽やかな薄紫色の花をつける。基部は筒状で上部がプロペラみたいに5つに裂け平たく開く。葉の縁に黄色い斑(ふ)が入るものは「フクリン(覆輪)ツルニチニチソウ」と呼ばれる。変種に葉や花が小さい「ヒメ(姫)ツルニチニチソウ」がある。
明治時代に観賞用の園芸植物として渡って来たが、繁殖力が強く最近では路地などで野生化したものもよく見かけるように。属名から「ビンカ」や「ツルビンカ」とも呼ばれる。「ビンカ」の語源は「ひも」や「巻きつく」を意味するラテン語から。「ツルギキョウ」という別名もある。ただし、日本の在来種でキキョウ科に同じ名前の植物があるので注意を要する。
古代ローマではいけにえを捧げる儀式のとき、この草花で花輪を作ったという。中世のイギリスでは死刑囚を刑場に連れて行く際、頭上にこの花の冠をかぶせたとも。さらに中世ヨーロッパでは亡霊の魔よけになると信じられ墓地によく植えられたらしい。一方で、身に付けていると繁栄や幸福をもたらしてくれるという言い伝えもあるそうだ。