【オーストラリア原産、旧属名から「ローレンティア」の別名も】
キキョウ科イソトマ属。この属の植物は中南米やオーストラリア、地中海沿岸地方などに25種類ほど分布しているという。ただ栽培されている主なものはオーストラリア、ニュージーランド原産の「アクシラリス」「フルヴィアティリス」「ペトラエア」などで、単にイソトマというときは中でも「アクシラリス」の園芸品種を指すことが多い。本来は多年草だが、寒さにやや弱いことから日本では通常、春蒔き1年草として扱われる。
花期は5月~11月と長い(真夏はいったん開花が鈍る)。草丈は30~40cmほどで、ギザギザの細長い葉がこんもりと茂って、茎の先に星形の筒状花を1つずつ付ける。花径は3~4cm。花色には薄い青紫や白、ピンクがある。イソトマの語源は「等しい切片(分割)」を意味するギリシャ語から。花弁が同じ大きさで5つに裂ける様子に因む。旧属名から「ローレンティア」とも呼ばれる。日本への渡来は1963年(昭和38年)に京都府立植物園に入ってきたのが最初といわれる。
イソトマは全草有毒。5年前の2012年7月、兵庫県宝塚市内の小学校で花壇の手入れをしていた児童7人が目の痛みを訴え病院に搬送された。市教育委員会はイソトマの切り口から出た白い汁が目に入ったためと判断、イソトマに近づかないように指示を出し、その後、イソトマを除去したそうだ。イソトマを扱うときには手袋や手洗いが欠かせない。近縁でよく似た草花に「ヒッポブロマ・ロンギフローラ」(別名イソトマ・ロンギフローラ)がある。「ホシアザミ(星薊)」の和名を持つが、これも汁に触れると炎症を起こす。『園芸植物大事典』(小学館刊)には「猛毒であり、できれば栽培しないほうがよいとされている」と記されている。