く~にゃん雑記帳

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<ムジークフェストなら③> 千住真理子、ヴィヴァルディ「四季」渾身の名演!

2017年06月18日 | 音楽

【テレマン室内オーケストラと協演、映像作品「奈良の四季」も】

 バイオリニスト千住真理子と映像作家保山(ほざん)耕一による「音楽と映像で巡る奈良の四季」と題する演奏会が17日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。第1部は千住が延原武春指揮のテレマン室内オーケストラとの協演でヴィヴァルディ『四季』を演奏。第2部では千住と同オーケストラの演奏に乗せて、保山耕一が奈良の四季を撮った映像作品などが上映された。千住の渾身の名演奏と映像の美しさに、会場からは万雷の拍手が送られた。

     

 第1部では演奏に先駆け延原が『四季』について「最高の描写音楽」「春夏秋冬は全て違う調性」など、特徴的なサワリを聴かせながら解説した。続いて『四季』の演奏が始まった。千住の愛器は約300年前にイタリアで作られたストラディバリウス「デュランティ」。そのふくよかな艶のある音色が会場の空気を終始支配した。時に温かく包み込むように、時に激しくすさまじく。オーケストラとの息もぴったりだった。『四季』が単なる合奏曲ではなくて独奏バイオリンを主体とするバイオリン協奏曲だったことを改めて思い起こさせる名演奏だった。

 第2部が始まる前に千住が司会者のインタビューの中でこう話した。「ストラディバリウスを弾きこなすには体力を使う。この楽器に似合う体づくりに取り組んだ結果、すごく筋肉がつきストラディバリ仕様の体になりました」。そう言いながら左手を上げ観客に力こぶを見せていた。そう言えば、かつては細身の印象が強かったが、今ではかなりがっしりした体躯。舞台の袖で千住の演奏を聴いていた保山も「男は背中で勝負するというけど、バイオリニストも背中で勝負するんですね」と話していた。

 映像作家の保山は2013年に末期の直腸がんと宣告された。それ以降「好きな奈良の風景に別れを告げよう」と奈良の美しい風景の撮影に取り組む。そのライフワークのテーマは「奈良には365の季節がある」。千住の次兄で作曲家の千住明とは10年ほど前、奈良の旅番組で一緒に仕事をしたことがあるという。今回は「うれしいご縁」(保山)で妹の千住真理子とのコラボが実現した。6年目の「ムジークフェストなら」でも音楽と映像のコラボは今回が初めて。

 1年間にわたって奈良県内各地の四季の輝きを撮影した作品は千住明作曲『ヴァイオリンとストリングオーケストラの為の「四季」』の演奏に乗せて上映された。桜と東大寺、吉野の桜、夕陽が沈む二上山、優しく微笑む室生寺の観音様……。どの映像もまさに〝美の極致〟。千住真理子は「動く絵画のよう」と形容していた。続いて奥大和の桜を「1カ月間1日も休まずに追い続けた」という作品も披露された。その演奏曲も千住明が作曲したNHK大河ドラマ『風林火山~大河流々~』。2つの映像作品には自然が放つ命のきらめきへの保山自身の優しいまなざしがあふれていた。

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