く~にゃん雑記帳

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<トビシマカンゾウ(飛島萱草)> ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)の大型変種

2017年06月25日 | 花の四季

【新潟県の佐渡と山形県の飛島・酒田海岸にだけ分布】

 ユリ科ワスレグサ属(ヘメロカリス属)の海岸近くに生える多年草。ニッコウキスゲと呼ばれることが多いゼンテイカ(禅庭花)の島嶼(とうしょ)型の大型変種といわれる。山形県酒田市の北西に浮かぶ小さな飛島で最初に発見されたことから「トビシマ」を冠する名前が付いた。トビシマカンゾウはこの飛島と酒田海岸、それに新潟県の佐渡島にだけ分布する。

 5~6月頃、高さ1~1.5mほどの花茎の先に鮮やかな黄橙色の6弁花を十数輪付ける。花は朝開き夕方に閉じる一日花だが、次々に開花するため花期は比較的長い。真夏の高原を黄色く染めるニッコウキスゲに比べると、草丈が高い、花の時期が早い、1本の花茎に付く花数が多いといった特徴がある。学名は「ヘメロカリス・デュモルティエ・変種エクサルタタ」。属名はギリシャ語の「一日」と「美」から、種小名はベルギーの植物学者の名前に因み、変種名は「非常に背が高い」を意味する。

 トビシマカンゾウは酒田市の「市の花」に制定されている。佐渡には海岸のトビシマカンゾウに加え、内陸の野山に八重咲きのヤブカンゾウが自生することもあって、佐渡市は単にカンゾウとして「市の花」にしている。国内最大の群生地は佐渡の北端にある大野亀(海に突き出した標高167mの大岩塊)。毎年6月第2日曜日に「佐渡カンゾウ祭り」が開かれており、今年(6月11日)で40回目を迎えた。トビシマカンゾウは佐渡で「ヨーラメ」と呼ばれる。「ヨー(魚)」と「ハラミ(孕み)」の略語。この花が咲く頃に卵を孕んだタイなどの魚が磯にやって来るという。トビシマカンゾウはいわば〝漁告げ花〟というわけだ。(写真は京都市在住のT・Nさんの提供。佐渡・大野亀で撮影)

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