【まれに白花のものも、よく似た仲間にトキワハゼ】
ハエドクソウ科(旧ゴマノハグサ科)サギゴケ属の多年草。本州、四国、九州の田畑の畦や河川敷など、やや湿った明るい草地に生える。朝鮮半島や中国の南部、台湾にも分布する。花期は4~5月。草丈は5~15cmで、花冠の長さが1.5~2cmほどの紫色の唇形花を付ける。上唇は2裂してウサギの耳のように立ち上がり、大きな下唇は3裂し、中央基部に黄褐色の斑点模様が入る。
サギゴケのサギは花の姿を羽を広げた鳥のサギに見立てたもの。ゴケは匍匐枝を伸ばしコケのように地面を覆う様から。まれに白い花もあり、一般的な紫花と区別するためシロバナサギゴケまたは単にサギゴケと呼ぶことがある。ムラサキサギゴケの学名は「Mazus miquelii(マズス・ミケリイ)」。牧野富太郎博士(1862~1957)が命名した。属名の語源は「乳頭突起」を意味するギリシャ語から。この属の植物には花冠下部に突起があることによるという。種小名はオランダの植物分類学者F.A.W.ミケル(1811~71)の名に因む。
同属で花がよく似た植物にトキワハゼ(常磐爆)がある。学名は「Mazus pumilus(マズス・プミルス)」。こちらは常緑1年草で、花期が初春から晩秋まで長いのが特徴。花冠は径が約0.5cm、長さ約1cmと、ムラサキサギゴケに比べるとやや小さい。種小名プミルスも「小さい・低い」を意味する。茎が地面を這わずに直立するのもムラサキサギゴトとは大きく異なる。名前のハゼは蒴果がはぜて種子を勢いよく飛ばすことに由来する。