く~にゃん雑記帳

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<国史跡「頭塔」> 破石町バス停から〝丸見え〟

2022年05月21日 | 考古・歴史

【ホテル撤去で駐車場に 「見学の方はご自由に」の掲示も】

 奈良市高畑町の住宅街の一角に〝奈良のピラミッド〟と呼ばれる方形7段の土塔がある。その名は「頭塔」。大きさは基壇の一辺が約32m、高さは約10m。ちょうど100年前の1922年(大正11年)に国の史跡に指定された。先日、市内循環バスに乗るため破石町バス停へ。そこで背後の西側に目を向けると、広い更地の先に頭塔が丸々姿を見せていた。以前は大きなホテルの陰に隠れ、バス通りからはほとんど見えなかった。ところが新型コロナの直撃を受けたホテルが休業の末、昨年の夏に解体されたとのこと。以来、市民や観光客が立ち寄っては写真に収めているそうだ。

 頭塔があるのは東大寺の南大門から南へ約1キロ。奈良公園の観光名所の一つ、浮見堂からも程近い。バス停前の更地はロープなどで囲まれていた。ただ、ありがたいことに入り口に「無料駐車場 史跡『頭塔』見学の方はご自由にお入りください」という不動産会社名の掲示があった。頭塔には十数年前一度訪れたことがある。その時は管理する近くの方に声を掛け保存協力金300円を払って鍵を開けてもらい見学デッキを巡った。その際もらったパンフレットをスクラップブックに挟んでいたはず。だけど断捨離で他のパンフ類と一緒に処分したかも。そう思いながら今朝探すと、あった!

 頭塔には奈良時代の僧玄昉の頭を埋めたという伝説がある。それが名前の由来になっているとも。だがパンフの記述は〝玄昉首塚説〟をこう否定していた。「本来の土塔(どとう)がなまって頭塔(ずとう)と呼ばれるようになったものと思われます」。東大寺の古文書から二月堂の修二会「お水取り」を始めた僧の実忠が767年に築いたとみられ、その役割については「五重塔などと同じように仏舎利を納める仏塔と考えられます」とのこと。

 奈良国立文化財研究所(現奈良文化財研究所)は1986年から十数年がかりで発掘調査を行った。その結果、第1~7の奇数段の土壇4面にそれぞれ11基ずつ(下から5・3・2・1基)、計44基の如来坐像などの石仏が配置されていた可能性が高いことが分かった。これまでに確認された石仏のうち22基が国の重要文化財に指定されている。失われた石仏の1基は郡山城の石垣に転用されていたことも分かった。奈良県教育委員会は北側の半分を復元整備し見学デッキや解説板などを設けて公開中。原則事前予約制だが、春と秋の特別公開中は予約なしで見学できる。南側半分は現状保存ということで樹木が生い茂ったままになっている。

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