く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ジャーマンアイリス> 和名ドイツアヤメ、原産地は不詳

2022年05月28日 | 花の四季

【カラフルで豪華な花姿、米国中心に続々と新品種】

 アヤメ科アヤメ属の多年草で、学名は「Iris germanica(イリス・ゲルマニカ)L.」。属名のイリスは「虹」のことで、ギリシャ神話の虹の女神イリスに因む。ゲルマニカは「ドイツの」。この種小名からドイツ原産と思われがちだが、原種や原産地ははっきりしていない。地中海沿岸などヨーロッパのいくつもの野生種が交雑する中で生まれた。学名後尾の「L.」は命名者が〝分類学の父〟といわれるスウェーデンの生物学者カール・フォン・リンネ(1707~78)であることを示す。たまたまドイツから持ち込まれたためリンネがドイツ産と勘違いして命名した結果、後にジャーマンアイリスの名前で世界に広がったといわれる。

 日本には明治時代の1900年前後に米国から渡ってきたらしい。和名のドイツアヤメは学名や英名の直訳。ただ今では国内でもジャーマンアイリスの名前が広く定着している。ハナショウブ(花菖蒲)が湿地に生えるのに対し、ジャーマンアイリスは逆に加湿を嫌い乾燥した環境を好む。和風でやや控えめなハナショウブに対し、ジャーマンアイリスは花が大ぶりで派手な印象。花弁6枚のうち内側の花被片3枚は立ち上がり、外側の3枚は垂れ下がる。その中央付け根近くにヒゲやブラシ状に毛が密生するのが大きな特徴。そのため「ビアデッド(ヒゲ)アイリス」とも呼ばれている。

 花の色は白・黄・紫・青・茶・橙・ピンクなど多彩。加えて学名イリスの語源からか、ジャーマンアイリスは「レインボーフラワー(虹の花)」とも称されている。内と外の花弁の色も単色のほか、上下で異なってコントラストが美しい品種も多い。花びらにフリルが付いたものなどもあって花姿は変化に富む。品種改良の主体は初めドイツやフランス、英国などヨーロッパ勢だったが、1900年代以降は栽培熱の高い米国に移っていく。今では年間300~400もの新品種が作出されているという。米アイリス協会は約100年前の1927年「DM賞(ダイクスメダル)」を創設、最優秀の1品種に毎年このメダルを授与している。アイリスの分類と品種改良に貢献したウィリアム・ダイクス氏の功績を讃えて設けられた賞で、ハナショウブも含め根茎アイリスの育種家たちにとって最大の目標になっている。

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