【市民が守り育てて四半世紀、今年も見ごろに】
奈良市の北西部を秋篠川(佐保川支流)の源流が西から東に流れる。住宅街が広がる学園前からも程近い距離。25年前の1998年、その堤防沿い1.3kmにわたってソメイヨシノ約150本が植樹された。大切に育てられた桜は順調に生育し、今では市内有数の花見スポットに。例年3月下旬から4月初旬にかけ見ごろを迎える。今年もそろそろその時期に。27日訪ねてみると、期待通りにほぼ満開の桜が出迎えてくれた。
この桜並木は奈良市の市制100周年記念事業の一つとして生まれた。秋篠川沿いを走っていたジョギング仲間の「秋篠川に千本の桜を!」というアイデアが採用され、桜の“里親”を募ったのがきっかけだ。市民でつくる「秋篠川源流を愛し育てる会」(代表青島行男さん)が“川をふれあい・いこい・ときめきの場に”を合言葉に、清掃活動や親子川遊び大会、ふるさとウォークなどに取り組んできた。そんな地道な活動が評価され、10年前の2013年には日本さくらの会から「さくら功労者」として表彰された。
桜の幹には1本1本、里親の名前が記され、地元の小学生が川や桜への思いを綴った短冊も。色とりどりの提灯が花見気分を盛り上げ、小学生たちが描いた風景や草花の水彩画なども目を楽しませてくれる。川沿いの掲示板には「秋篠川クリーン作戦 実施日:4月15日午前8時30分」という貼り紙。清掃活動は会発足以来、毎月1回行ってきた。
堤には秋篠川周辺で見られる動植物をカラー写真で紹介したパネルや、ヘイケボタルをもっと増やそうという「ヘイケボタルプロジェクト」という看板も立つ。川べりにいたアオサギを見ていたら、そこに黒いカワウが飛来し、アオサギの目の前で潜水を繰り返していた。そのそばでは十数匹のカメが甲羅干し。顔にちらっと赤い色が見えた。外来種のアカミミガメのようだ。土手ではこれも外来のヒメリュウキンカ(姫立金花)とみられる黄花があちこちに群落をつくっていた。