【ヒユ科の1年草、実は「畑のキャビア・とんぶり」に】
南欧~アジア原産のヒユ科バッシア属の春蒔き1年草。日本には平安時代に中国から渡来し、江戸時代には各地で栽培されていた。草姿はこんもりとした球状または円柱形で、高さは50~100㎝ほど。和名のホウキギは乾燥し束ねて箒として利用したことから。ホウキグサとも呼ばれる。
学名は「Bassia scoparia(バッシア・スコパリア)」。属名は18世紀のイタリアの植物学者の名前に由来、種小名スコパリアは「箒状の」を意味する。秋に鮮やかに紅葉し、公園などの花壇を彩るのは「trichophylla(トリコフィラ)」という変種。和名は「ハナホウキギ」だが、旧属名から「コキア」の名前で親しまれている。その名所に国営ひたち海浜公園(茨城)、国営みちのく杜の湖畔公園(宮城)など。
ホウキギは夏に黄緑色の花をたくさん付け、熟した直径1~2㎜の小さな実は「とんぶり」として食用になる。秋田県大館市の特産。その魚卵のような見た目とプリプリとした食感から「畑のキャビア」と呼ばれる。「唐から来たぶりこ(ハタハタの卵)」が転じて、とんぶりになったといわれる。「箒木に秋めく霧の一夜かな」(西島麦南)