【今年で888回目、17日には4年ぶりに「御渡り式」も】
春日大社の摂社若宮神社の祭礼「春日若宮おん祭」が12月15日始まった。日本最古の文化芸能の祭典といわれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。平安時代から連綿と続いて今年で888回目。15日には奈良市餅飯殿町の大宿所(おおしゅくしょ)で「御湯立(みゆたて)神事」と「大宿所祭」が執り行われた。17日には約1000人・馬約50頭による華やかな行列「御渡り式」と「御旅所祭」が深夜まで繰り広げられる。御渡り式が通常の規模で開催されれば5年ぶりとなる。
◎…御湯立神事は祭り奉仕者の身を清め、祭りの無事執行を祈願するもの。御渡りに参加する「大和士(やまとざむらい)」や「神子(みこ)」(写真)たちが参列した。
◎…湯立巫女を務めるのは祝詞や所作を代々受け継ぐ加奥家(大和郡山市)の加奥満紀子さん。クマザサを大釜につけ「サヨーサ(左右左)、サヨーサ」と唱えながら湯を振りまいた。この後、ササと鈴を手に参拝者もお祓い。
◎…大宿所の室内には御渡りで奉仕者が身に着ける時代装束や道具類などが所狭しと並ぶ。
◎…杉の葉造りの小屋を飾るのは寄進された供え物のキジやタイ、塩ザケ。“懸鳥(かけどり)”と呼ばれる。江戸中期1742年の寄進はキジ1268羽・ウサギ136羽・タヌキ143匹…という膨大な記録も!
◎…奉仕者や参拝者には大根や里芋、こんにゃくなどを煮込んだ“のっぺ汁”がふるまわれた。